- 締切済み
到達真空度の見積もりって・・・
素人な質問、もしくは既出の質問でしたらすいませんがどなかた教えていただけるとありがたいです。 当方、普段から真空装置(チェンバー・RP・TMP等)を使用して実験を行っています。最近、装置改良のためチェンバーを二ヶ月近く大気圧にさらしていました。そしていざ、真空を引き始めるといまいち到達真空度がよろしくありません。そこで考えられる可能性としては ・長い間大気圧に放置しすぎた ・TMPの排気速度が充分ではない 等を考えています。放置していた件に関してはベイクしてやるか時間をかけてやれば良いと考えています。排気速度に関しては理論的な到達真空度を見積もってやることによって排気速度の見直しを行おうと考えました。色々と調べたのですが排気速度から到達真空度を算出する適当な方法が見つかりませんでした。 どなたかご存知の方がいらしましたらご教授願います。 宜しくお願いいたします。
- みんなの回答 (5)
- 専門家の回答
みんなの回答
- pc_knight
- ベストアンサー率66% (52/78)
排気速度から到達真空度を求めるのは容易ではありません。 真空室内壁や、真空室内に収容している物からのガス放出量やリーク量を見積もるのが難しいからです。両者を見積もることが出来たとして、仮にガス放出量がQOUT(Torr・L/sec)、リーク量がQLEAK(Torr・L/sec)であり、ポンプの排気速度をS(L/sec)とすると、ポンプ入口の到達真空度(圧力)をPP(Torr)ば、 PP=(QOUT+QLEAK)/S・・・・(1) となります。 真空室とポンプをつなぐ導管のコンダクタンスをC(L/sec)とすると、真空室の到達真空度(圧力)をPC(Torr)ば PC=PP×(1+S/C)・・・・(2) となります。 現実には、ポンプの排気速度Sは、どの真空度に対しても一定と言う訳ではなく、真空度によって変わります。従って少々複雑になります。PPとSの関係のグラフは、カタログに記載されている場合があります。ご使用の真空装置では、ポンプの排気速度Sと導管のコンダクタンスCは、既定値ですから、到達真空度を良くするのは、ガス放出量QOUTとリーク量QLEAKを限りなく小さくすることにつきます。 チェンバーを二ヶ月近く大気圧にさらしたことら判断して、到達真空度のよくない原因は、恐らくガス放出量QOUTの増加と思われます。 回答者の方々が書かれてますが、ガス放出量を減らすためベーキングを充分に行い様子見したら宜しいかと・・・。 一般にガス放出成分はH2Oが多いですから、液体窒素などで冷却した面にH2O分子を吸着させるのも一法です。(装置の改造を伴う) 放出ガスの主成分がH2Oかどうかの検証は、一日の室温の最高と最低時における到達真空度の実測値を比較し、P∝exp(-L/RT)が成立するかどうかである程度可能です。 ここで、L:10.6Kcal/mol、R:気体定数8.31 J mol-1 K-1、T:絶対温度。
- gandhi-
- ベストアンサー率73% (22/30)
装置を改良したようですが、その際に、 TMP、または真空チャンバを新しいものに換えたのでしょうか? もし改良前と同じTMP、チャンバをお使いでしたら、 排気能力などに変化はないはずなので、長期間大気に曝した ことが原因でしょう。 単純に以前の真空度に戻したいのであれば、一度ベークしてみて、 様子をみるのが手っ取り早い気がします。 もしベーク後も真空度があがらないのであれば、 次の対策を検討されるのがよいかと思います。
- nzw
- ベストアンサー率72% (137/189)
TMPの排気速度はその径に依存し、大きな排気速度のTMPは通常より大きな径を持ちます。TMPの利用を前提として設計した真空容器の場合、通常、TMPの径とほぼ等しい径のポートを使っているはずです。したがって、同じポートを利用して、より径の大きなTMPを接続するためには変換フランジを介する必要があります。 さて、下でご紹介したサイトの一つ上の階層 http://www.nucleng.kyoto-u.ac.jp/people/ikuji/edu/vac/index.html からたどれるA-10に記載されていますが、実効排気速度は配管のコンダクタンスの影響を受けます。コンダクタンスが小さい状態では、ポンプの性能をあげても、実効排気速度はなかなかあがらないことになります。 大きなTMPを接続するための変換フランジのコンダクタンスは、A-10の直列接続の式、ないしはA-9のラッパ管の式で見積もることができます。これらを利用して、分子流領域での実効排気速度の改善効果をみつもられるとよいでしょう。 ところで、もし下記真空度が十分なベーキングを行う前の値だとしたら、増強を検討される前に、ベーキングをまず十分行うことをおすすめします。特殊な形状の真空容器の場合、ヒーターが巻きにくく、十分に温度があがっていない箇所が発生している危険性があります。ベーキングが十分かどうかは、ベーキング開始ないしは温度をそれまでよりあげてから真空度の時間変化をみて、真空度悪化から良化に転じたかどうかが一つの目安になります。 また、おそらくないとは思いますが、超高真空部品の製造になれていない工場で制作された部品の場合、切削油などが十分除去されていないこともあるかもしれません。どうしても真空がよくならないようでしたら、お尋ねになってもいいかと思います。
お礼
度々回答していただいて本当にありがとうございます。 一箇所だけTMPの径とチェンバーの径が異なるところがあり、そこは変換フランジを介しています。そこの実効排気速度は一度見積もろうかと思います。 以前に他の実験においてベーキングを行ったのですが劇的に改善されたということは無かったのであまりベーキングに対して良いイメージを持っていませんでした。ですが増強の前にもう一度ちゃんとベーキングしてみます。 部品が届いてから一度自分たちで超音波洗浄等も行っているのでそのようなことはないかと思いますし、部品の製造に関しては専門の業者さんにお願いしているのでそのようなことはないかと思われます。どうしても下がらないときには尋ねてみます。そのようなこともあるのですね。 大変詳しいアドバイス、ありがとうございます。
- nzw
- ベストアンサー率72% (137/189)
TMPをお使いということは、高真空ないしは超高真空をつくろうとされているのですよね?適切な回答を得るためにも、 ・到達したい真空度 ・以前達成できていた真空度 ・現在の真空度 ・利用のしかた(ガスを流しながら排気するのか等) を書かれた方がよいかと思います。 真空度変化の計算については、 http://www.nucleng.kyoto-u.ac.jp/people/ikuji/edu/vac/app-A/evac.html が詳しく、わかりやすいと思います。 超高真空領域になると、壁面に吸着している分子(大気解放後は水がメイン)が到達真空に大きな影響を与えます。これをベーキングで十分除去しておかないと、なかなか真空がよくならないということになります。 たとえばロードロックからサンプルを導入した後や、サンプルの前処理などのために水素などをチャンバに入れた後に、超高真空までの回復時間を短縮したいというのであれば、排気速度が大きなポンプに付け替えるということも有効かと思います。ただこれにしても、フランジ径の制限から、実際問題としては難しいことが多いのではないかと思います。 あと、リークチェックは十分されていますでしょうか?もしQ-massが利用可能であれば、残留ガスの成分を見て、酸素や窒素があればリークを、水が多ければベーキング不足を疑ってください。
お礼
回答ありがとうございました。 指摘された通り情報が不足していて申し訳ありません。この場を借りて補足させてもらいます。 当方では超高真空を作り出します。 ・到達したい真空度→5.0*10^-8[Torr]以下 ・以前に達成できていた真空度→2.0*10^-8[Torr]前後 ・現在の真空度→1.8*10^-7[Torr] 現在装置を復帰させてからおよそ30Hほど経過しています。 ・利用の仕方→TOFの使用(排気自体はガスは入れずに行っており上の数値はガスを導入してはいない状態での真空度です。) 当方では測定の際にはサンプルガスを常に導入しながら測定を行うので特に回復時間というものは考慮していませんでした。 フランジの径が変わらないので現状での実効排気速度が限界に達しているのなら排気速度が大きなポンプに変更しても到達真空度はあまり変化しないという解釈よいのでしょうか? リークチェックは充分に行っております。QMSは取り付けることはできなくはないのですが装置形状の関係から以前取り付けた時には思うようなスペクトルが得られなかったということがありました。また現在他の実験においてQMSを使用しているのですぐに取り付けてということは難しい状況です。使用できるようなら一度試してみたいと思います。 色々と詳しいアドバイス、ありがとうございました。
こちらの文献の「2.4 排気速度と到達真空度」などは 参考になりますでしょうか。 真空技術 http://www.sci.u-toyama.ac.jp/~ikemoto/GakuseiJikken/Vacuum_050315.pdf
お礼
回答ありがとうございました。 このページには当方も辿り着いたのですが 簡単に計算してみたところしっくりくる回答が得られませんでした。 もう一回しっかりと計算してみます。
お礼
回答ありがとうございます。 改良を行うことによってチェンバーを増設したために容積が増えた、またチェンバー内に部品が増えのでTMPを一台増設しました。新しく設置したTMPは排気速度の速いものでしたので大丈夫だと思っていました。また到達真空度の見積もり方法を知らなかったのでとりあえず真空に引いてみたという感じです。 やはりベークは大事なことなのですね。 ちゃんとベークしてみます。 ありがとうございました。