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チベットのアーリア系とは?
中国の少数民族について、勉強し始めた者です。 このカテゴリーの何番か前のヒトラーとアーリア人に関する質問の中の回答に「チベットのアーリア人」の記述があります。 またウィキペディアのヒトラーの項にも次の記述があります。 >「ヒトラーやナチスの人種主義は、単に東洋人を蔑視するものではなく、アーリア人のルーツとしてインドやチベットのアーリヤ系を高く評価している。」 チベットにアーリア系人種は居るんですか、または、居たのですか。居る(または居た)のであれば、具体的にどのような民族または人種なのでしょうか?
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アーリア人とは何かという点に関する理解がキーポイントではないでしょうか? そもそも「アーリア人」とはインド大陸から欧州までに分布するとされる語学上の系統「インド・ヨーロッパ語族」(英語やドイツ語のような文法規則・語法を有するのが特徴的)の母体として「アーリア人」という民族があるという理解(アーリア人学説)による概念です。一般にはインド・ヨーロッパ語族の歴史的共通祖先をさすものとして使われ、その後、現に今インド・ヨーロッパ語族を話す民族全体をさすものとして使われるようにもなりました。ヒトラーがドイツ人を世界に冠たるゲルマン民族として結実した純粋アーリア人として位置づけた際の「アーリア人」概念とは、後者の理解による「アーリア人」です。 アーリア人(前者の意味)のインド進入以来、インドの支配層はアーリア人といえるとされています。その点は学問的にも正しいとされ、このサイトやウィキペディア等でも言われているとおりでしょう。 一方、チベット語はインド・ヨーロッパ語族ではなく、シナ・チベット語族(漢語のような文法規則・語法があり、一般には漢語の四声のような声調をもつもの)に含まれるとされています。よって、言語学上の見地からするとアーリア人そのものとはいえません。 しかし、歴史的に見ればアーリア人が生んだサンスクリット語(これはハーケンクロイツに酷似した逆卍のルーツでもあります)とはインド文化・仏教伝播等を通じて文化的に関わりがある民族です。アーリア人の民族としての移動の流れは詳細には解明できていないため、ご指摘のように、血統的にもアーリア人のインド進入の時期に限定的にであれアーリア人の血が入っていないともいいきれません。インドヨーロッパ語族のインド人・ネパール人(アーリア人)との区別は、当時のナチにはできなかったか、区別を認めたとしてもあえて無意味と考えた可能性もあります。 ヒトラーとしては、ハーケンクロイツゆかりの民族であり、政治体制が神聖性を帯びている点でナチの理想とも重なりうるものがあり、また、敵国である英国支配のインドや同盟国日本の的である中国に対する「敵の敵」として活用しうるチベット人には、何らかの特別なシンパシーがあったのでしょう。そこで、チベット人も「アーリア人」として位置づけたのかと思われます。 純科学的にはおかしな発想でしょうが、そういえばアルタイ語族とされる日本人も、同盟国としての政治的配慮からか、逆卍に対する関係からか、「東方アーリア人」とされています(すくなくとも文法に関しては英語と逆で、インド・ヨーロッパ語族とはいいようもないにもかかわらず…)。 このように、政治的見地から科学的推論を歪めているとも疑われる傾向があることから、ナチは似非科学と結合したオカルトとしての一面があるとも指摘されています。
お礼
長文のご回答わざわざありがとうございます。 ふだんチベット人の新モンゴロイドの典型的な顔つきを見慣れていますので、「チベットのアーリア系」という言葉が出てくると、ギョッととしてしまいました。しかし、中国周辺の少数民族の中には、わずかですがアーリア系の顔つきをしているのもあり、ひょっとしたらあるかも知れんと思いまして質問したわけです。 ナチスの言うアーリア人の定義とか概念はもう一つハッキリしません。中央アジアにはモンゴロイドではない民族が過去から現在まで住んでおり、それらをチベットのアーリアンとしたのかとも思いましたが、日本人を「東方のアーリア人」と言ってヨイショしたりするところを見ると、人種などのについての、まじめな科学の論議の対象からはずした方がよさそうですね。 >政治的見地から科学的推論を歪めているとも疑われる傾向があることから、ナチは似非科学と結合したオカルトとしての一面があるとも指摘されています。・・・まさにそういうことなんでしょうね。 ウィキぺディアの記述もナチスの生の言葉がそのまま出てきたと解釈した方がよさそうです。 大変勉強になりました。ありがとうございました。