研究費(公費)を研究および研究関連目的以外で使用することは違法であると思います。ましてや投資信託などに使用するというのはもっての他だと思います。しかし、このような使用ができるのは、経理事務が杜撰だということではないでしょうか。「人は過ちを犯す」という前提でルールを作らないと駄目なのですが、研究者個人の希望を重視したため、このような不正が起こりえたと思います。
このことは、公費を使う研究者だけに言えることではなく、公務員の公金裏金作りなどニュースになっているとおりです。また特殊法人の無駄金使いも同じ構図ではないでしょうか。これは、基本的には公務に伴う飲食代などが公費の予算として認められないところから、このような不正が生じると思います。建前論だけではなく、実質的な経費を認めるべきではないでしょうか。マスコミ報道では、検察、警察でさへも公金プールがあると言われているので、我が国の慣習・習慣を無視した予算システムになっているように思います。浪費するということではなく、ある程度の飲食代は経費として予算計上すべきだということです。
先の研究者の違法行為については、物品購入制度を改めるべきだと思います。研究者個人が経理を担当するシステムを改めて、組織の事務が経理を担当し、物品購入に際しては実際に物品が納入されているかを確認するシステムを確立しない限り、伝票確認のみを経理システムでは不正防止は難しいように思います。
すなわち我が国の物品購入システムを根底から変更することが可能であれば、ご質問のような不正はなくなると思います。また不正行為が発覚すれば重罰を科せられるというルールに変更すると不正行為は減少するように思います。
ニュースなどで公務員組織が組織ぐるみで不正が報道されます。このような場合、結果としてだれも処罰を受けていないケースが多いと思います。この構造こそが、次から次に不正を生む根元ではないでしょうか。
ご質問の趣旨とかけ離れている点についてはご容赦下さい。
お礼
ご丁寧な説明、ありがとうございます。研究者と言えども、性悪説でルール作りをしておくべきですね。その意味では、公的な研究資金の不正使用に関する制裁措置が、このほど策定される運びになった(8月9日付の新聞各紙報道)のは一歩前進だと思います。公金の無駄遣いは確かに予算制度の融通の無さも、一因でしょう。ただ高名な学者が犯罪的行為に走ることになったのは、地味な研究はさておき、競争的資金に公的資金をバブリーに注ぎ込み、研究の世界のバブル現象をもたらしている科学政策も無縁ではないように感じています。人文、社会科学の予算が縮小する一方で、自然科学の中の一部の時流に乗った分野だけが潤沢な予算をつけられる今の状況は、科学全体のバランスある発展を阻害し、多くの研究者を萎縮させるのではないでしょうか。研究者のみならず社会のリーダーたるべき人たちの、厚顔無恥な振る舞いを見るにつけ、戦後日本の精神的堕落を思い知るところです。