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直流電磁波の先頭部では媒質を押す力のバランス

理想的な誘電体が充填された無損失同軸ケーブルに左端から直流波をステップ関数的に入力する系に関して質問させていただきます。 電磁波の先頭部は誘電率の平方根の逆数倍だけ光の速度より遅くなり右へ進みます。この時電磁波の先頭部の誘電体部分は突然分極することになり分極電流がデルタ関数的に発生します。この分極電流に直流波の磁界Bがステップ関数的に作用して誘電体媒質を電磁波の進行方向に押す力を発生するのではないかと考えています。この時の力は伝送電力に比例し、かつ電気感受率Kの平方根にほぼ比例して大きくなるという結果になったのでおかしいかなと感じています。誘電体媒質を前方に押す力は分極電流密度dP/dtと磁界Bのベクトル積を体積積分して求めました。結果は以下の様になりました。(係数1/2はデルタ関数とステップ関数の積分です) F=(1/2*光速c)伝送電力P*電気感受率K/(誘電率)^0.5 ここで誘電率の平方根はステップ関数の時間微分によって導出されたものであり電磁波速度の誘電率による低下を示しています。 この力の反作用を直流電源が受け取るとも分極電流が存在しない部分の誘電体が感じるとも思えません。どこで力のバランスが取れているのでしょうか。わかり易い解説をお願いします。

みんなの回答

回答No.2

まず、誘電体に働く力 ( Power /c )( 1-1/√ε) の導出手順にいただいた疑問に関してです。 1.誘電体があっても送受端の輻射圧は変化しません ケーブルの両端付近の誘電体は取り除いて、ケーブル内外径比を大きくした、インピーダンス整合部分を設けましょう。送受電端が接続されているのは誘電体の無い伝送線路ですし、かつ不整合がなければ誘電体界面の反射もありません。従って、送受電端は誘電体の有無を知る由も無く、それに起因する反動を受ける事も無いでしょう。輻射している時点で真空中に輻射するがごとく送電端の反動は決定されていて、電力の行く末には無関心のように見えます。 2.電気感受率∞の極限において力が輻射圧( Power /c)に漸近する妥当性 極めて誘電率が高く、伝送速度が殆ど停止に近いような状況を想像して下さい。誘電体内で波頭はほぼ停留します。送電端から連続して電力が送り込まれ送電端には輻射圧が生じているとしましょう。波頭停留でエネルギがそこから先に進まないのに台車がどんどん加速されながら動いて行くと、重心移動と相容れなくなります。誘電体に電磁波が入った直後から、送電端輻射圧と誘電体が受ける圧力がバランスして台車は等速運動に成らねばならないでしょう。送電端と誘電体部分が近接していれば実質静止です。もう一つ根拠があります。波頭がほとんど動かないという状況を整合抵抗で模擬する事も可能でしょう。吸収されたエネルギは熱量の等価質量としてそこに停留します。熱エネルギに違和感があれば、受電電力を回生してその位置の蓄電器に貯めると考えても良いでしょう。誘電率∞の極限で波頭が誘電体に及ぼす圧力は整端抵抗への圧力(Power /c)に等しいと思われます。 3.ケーブル内部に存在するエネルギ等価質量に関して 伝播途上の等価質量の重心移動に関心を払われているようですが、今回の問題に関する限りそれは混乱の元かと思います。力はどこで生じるかというと、送受電端と誘電体中の波頭波尾のみです。伝播途上の等価質量がどれだけあろうが、その重心がどこにあろうが、それら自体が台車に直接働きかける事はありません。電力伝送を短いパルス列に分割して考えてみて下さい。台車移動距離計算法の一つは、伝播途上に関係なく、単に送電端から受電端に移ったエネルギ等価質量によるものであり、もう一つは、前述圧力とそれらの時間的タイミングを基にしたものです。この二つを結びつけるのが台車の役割です。ケーブル上を伝播しつつあるエネルギの重心移動から得なければならない情報はありません。 4.手法の要約 台車の移動距離は送受電端でやりとりしたエネルギ総量(等価質量)で決まる。送受電端の輻射圧は誘電体の有無で変わらない。同軸ケーブルに誘電体が詰まって伝送時間が伸びた場合、送受電端の輻射圧のみだと移動距離が大きく算出されてしまう。台車には、それら輻射圧を軽減する力が掛かっていなければならない。それが誘電体に生じている力であろう。と言う理屈(詳細は前回投稿)で誘導されたのが私の式です。決して作為的な処理はしてないつもりです。 さて次のテーマですが、F=(dP/dt)×B から圧力を求めるのは、なかなか手ごわそうです。 この力のdP/dtの部分は、具体的には誘電体内部の双極子回転など電荷移動の変位電流を総合的に示しているものであり、ミクロ的にみれば、内部電荷の F=qv×B の事だと思います。そのような実体を持って解釈する時、この式自体に疑いの余地はありません。ある誘電体定点の応力計算なら支障ありません。ところが、本問題への適応には困難を感じるのです。本件の力の掛かる場所は波頭であって、それは「移動」しています。問題 2327347 と決定的に異なるところです。定点で見れば一瞬の出来事、一方で波頭と共に移動して観測すれば連続した出来事ですが、力を受ける対象電荷が入れ替わり続けます。本当にローレンツ力は、F=(dP/dt)×Bで良いでしょうか。 錯覚しそうなポイントが沢山あり、難解です。例えば、文面のニュアンスと結果から察しますに、「先頭部がステップだと分極電流がデルタ関数的だから、先頭をランプにしよう。そうすればランプの中に総合して Io = √( Power / Zo ) という電流が流れる。そしてこれが芯線電流 Io の磁束とローレンツ力を・・・」と計算をされていませんでしょうか。分極は波頭と共に動いて観測し、電流は静止座標で観測しているような不思議を感じます。同軸ケーブルにステップ電圧を入力しましょう。果たしてその時インパルス電流に困るでしょうか。単に抵抗としての電流が生じるだけです。またランプ波形にする意味は何でしょう。定点で観測した時に電流が零から Io にランプするのであって、ランプの区間に変位電流 Io が閉じ込められるのではありません。電流は波頭が進むから流れるのであり、電流のスナップショットを撮るのは無理があるのかもしれません。私は混乱しました。 F=(dP/dt)×B から ( Power /c )( 1-1/√ε) を導き出してみたいと思いましたが、移動する現象は手ごわいです。極端な話、「押しながら前進する」などと表現すると、まるで仕事をしているかのようで、損失と勘違いされそうです。「押している位置か移動している」だけでしょうが、なかなか捉え辛いものがあります。

回答No.1

1)誘電体が押されることの反作用はどこが受け止めているのか 直流ステップが同軸ケーブル中を進む際、誘電体を進行方向に押す。この反力を受け止める力の支点がどこかに欲しくなりますが、必ずしもその時点では用意されていません。まず誘電体の無い場合の説明も行った方が解り易いかもしれません。左に電源、右に負荷、エネルギは同軸ケーブルを通じて移動します。相当する等価質量が左から右に運ばれる事を意味しますので、この実験セットが台車に載っていれば総質量の重心が移動しないように、台車はエネルギ移動量に比例して左に移動しなければなりません。そしてこの移動量は、輻射圧の見地からも説明されなければなりません。電磁波の運動量とエネルギの等価質量を関連づける良く紹介されている思考実験です。短いパルスを電源から送り出せば、その運動量、つまり輻射圧・Δtの反動で台車は左に動き出し、等速運動した後、負荷に到達したパルスの反動で停止します。台車が獲得する速度と動いている時間によって生じる移動距離が等価質量の重心移動距離と一致するとして、電磁パルスの輻射圧が計算できます。 台車を含めた実験セットの質量をM、同軸ケーブルの長さをL、運ぶ電気エネルギの等価質量をmとすれば、台車は X_a=(m/M)L(ただしm≪Mとして)ほど移動しなければ重心位置が保存されません。この質量が電力P、Δtのパルス:m=PΔt/c^2だとすれば、移動距離はX_a=(PΔt/c^2/M)Lです。一方輻射圧Fと台車の獲得速度vの関係は、v=FΔt/Mであり、移動時間は誘電体の無い時はL/cですから、こちらから計算される移動距離はX_b=(FΔt/M)(L/c)です。X_b=X_aとして、(FΔt/M)(L/c)= (PΔt/c^2/M)L を整理し、F=P/c を得ます。 なお、パルス幅Δtが大きいと加速減速過程が気にかかるかもしれません。しかし、その期間の送受反動の挙動は等しく相殺されるので考慮の必要はありません。パルス幅がケーブルスパン伝送時間を超すような設定でも式は有効です。送受の輻射圧が相殺した等速運動期間が存在しますが、この場合でも、総エネルギを任意Δtに集中させた移動距離と変わりはありません。 テーマに関わる重要ポイントは、送受単独に輻射圧が容認され、時間遅れがあるからこそ、キャッチボール同様、台車を移動させられる事、それで質量と輻射エネルギの等価性が守られる事です。誘電体が受ける力に関しても同様です。パルス前縁で誘電体は右に押され、後縁で誘電体は左に押されていますが、この間の任意遅れが容認されねば、台車の移動に関して都合の悪い事態が発生します。電気エネルギにも質量があり慣性があると考えれば、誘電体を押す力の支点が目に見える実体上に存在してなくても良いように思います。 2)波頭が誘電体に及ぼす力 さて誘電体に掛かる力を求めてみましょう。前出の移動距離の式:X_b=(FΔt/M)(L/c)を考えます。同軸ケーブルに誘電体が詰まっていると伝送時間(L/c)が、(L/c)√εに伸びます(ここでε:比誘電率)。しかし誘電体があっても送受端の輻射圧Fは変化しませんから、別の力が働いて補正されないと、移動距離が伸び、重心保存から計算される移動量と矛盾します。この力こそ誘電体に働いている力ではないでしょうか。(なお誘電体のある場合の送受端の輻射圧に違和感があれば、送受電端付近の誘電体を取り除き、ケーブル内外径比を変化させた、インピーダンス整合部分を挿入してください。反射が無ければ議論に影響は無い筈です。) ところで、 ・パルス前縁"のみ"がケーブル区間に存在する時:送端電源は左に、またケーブル誘電体は右に力を受けています。 ・パルス後縁"のみ"がケーブル区間に存在する時:受端負荷は右に、またケーブル誘電体は左に力を受けています。 ・パルス前縁も後縁もケーブル区間に存在する時:送受電端に圧力は無く、またケーブル誘電体内の両圧力は合計で零です。 ・パルス前縁も後縁もケーブル区間に存在しない時:ケーブル誘電体内に力は無く、また送受電端両圧力は合計で零です。 各場合の考察から、「誘電体が台車に及ぼす力は、送受電端が台車に及ぼす力に従属して発生し、送受電端輻射圧力を等しい割合で軽減する力」と見て良いことが分かります。 誘電体無しの移動量:X_b=(FΔt/M)(L/c)に等しくなるべきは、誘電体への圧力をTと記して、((F-T)Δt/M)(L/c)√εです。これら2式より、T=F( 1-1/√ε)、つまり波頭が誘電体に与えている力は、   (P/c)( 1-1/√ε) と表せそうに思います。( 類似の演習問題を見かけた事が無いので勘違いが無いか不安です。誤りがないと良いですが。) 3)ご提示の式に関して ほぼ誘電率の平方根で無制限に増大すると、誤りの可能性が高いように思います。誘電率∞の極限において受け止める反力は輻射圧(P/c)に漸近すると思われるからです。比誘電率1では零、∞では(P/c)になってしかるべきかと思います。(私の式は一応これは満たしています) 電磁気的な方法で力を計算することで、私も自分の式を検証してみたいところですが、にわかには難しいようです。波頭のインパルス的分極の取り扱いが上手く行くとしても、分極電流と磁束のローレンツ力が波頭と共に移動しているところが厄介です。観測者にとって静止した定点の応力計算なら簡単ですが、高速で移動している部分のローレンツ力が相対論的にどう観測されるのか複雑そうです。また電圧ステップの場合、波頭境界に静電的な反発応力も生じているのでは無いかと心配です。

yyz1974
質問者

補足

多くの視点からの考察を加えていただきご解説いただきましたこと感謝申し上げます。私の考え方があまりにも大雑把で解説内容について行けず正直なところ難しくてお手上げでした。私の考えた波頭に働く力は単純に (dP/dt)*B から導いたものであり、問題2327347 で私が犯した間違いのように分極電流に丸々波頭の磁界がかかるかなという疑問を感じながら導出したものです。答えはやはり電気感受率の平方根にほぼ比例して大きくなるという妙な結果になってしまいまた。しかし私は今まで F=(dP/dt)*B を当たり前と考えていました。 ご説明いただいた電磁波の運動量とエネルギーの等価質量を関係付ける妥当性については良く理解できました。重心の移動距離に対する考え方についても良く理解したつもりです。少し違和感を持って受け止めましたのは >しかし誘電体があっても送受端の輻射圧Fは変化しませんから、< のところです。誘電体が存在する場合で波頭はすでに誘電体線路の中央付近まで進んでいる時間帯を考えます。このときは送電端の誘電体の電磁界は変化しませんから誘電体の受ける力は0と思います。電源の受ける輻射電力Pが誘電体の有り無しで同一という条件化では輻射反作用F=P/c で変化しないと記述されています。私は重心移動の観点から変化するのではと思い始めています。理由は波頭のスピードが遅くなり、電磁波のエネルギーの重心の動きが遅くなるため同じ電力放射で場に蓄えられたエネルギーは同じでも場に蓄えられた運動量は少ないと考えるからです。質点の力学で言うと重い粒子を放出する効率の悪いイオンロケットに対応するのではないでしょうか。同じ推力を得るためには質量0の光子ロケットがエネルギー効率として最も優れていると考えるからです。そのように考えると推力に相当する輻射反作用は誘電体中に遅い速度で直流波を出す場合反作用は真空中に放出するよりも少さな値になるのではと考え始めています。これについてコメント頂ければ幸いです。 もし私の誤解をさらに続けるとすれば誘電体中に蓄えられた単位断面積あたりの電磁運動量は([E*H]/c^2)cΔt/√ε=(P/c√ε)Δtとなりますから送電端電源の受ける力は誘電率の平方根だけ小さくなるのではと思っています。そう考えると効率の悪い光子ロケットの議論に話が閉じてしまって波頭に働く力は運動量保存則のつじつま合わせの観点からは何も働かなくても良いことになってしまいます。場のエネルギーが受信端に到着した時にはその運動量を全て受け止めますから系全体は静止することになるはずです。今私は波頭には実は力が働かないのではと自分の意見を完全に翻すことを考え始めています。 導出された式 (P/c)( 1-1/√ε) は確かに誘電率が1のとき即ち真空のとき力は働かないことと整合が取れています。誘電率が∞のとき受け止める反作用力は(P/c) 漸近すべきと述べられていますがこの部分は私には少し受け入れにくいところです。誘電体の波頭に働く力学的な力(力学的力以外の力はありませんが)と送電端の輻射反作用が誘電率の上昇とともにバランスするというのは、中間の誘電体内部に蓄えられた電磁運動量の増加は0に漸近すると考えるということでしょうか。この式はうまく出来ていると関心させられました。それでも私が受け入れがたいのはエネルギーは送電端近傍に留まっているにも関わらず、つまり実質的に放射してないにも関わらず反作用を直接受けとめるということに何か違和感を覚えます。ここは私の単なる違和感だけかもしれませんが何か納得できるコメント頂ければ幸いです。 ご回答を頂きながら長時間何の反応もしなかったことをどうかお許しください。いつも大変納得のいくご説明を頂いているので何とか理解してからと思ったのですが判らない点が多く時間が経ってしまいました。おまけにまた補足内容で返して申し訳ありません。よろしくお願いいたします。