>となると飲酒と実際上の運用は違うが法的にはまったく同じということでしょうか?
法理論的な構造はまったく同じと解して構いません。
いずれも、
行為者以外を直接処罰する規定はない。
「行為者自身が本犯」で「そこに加担する行為が共犯となりうる行為であれば刑法総則に従い共犯」となる。
共犯者がたまたま同乗者であれば同乗者が共犯者として処罰を受ける。
しかしそれは別に、同乗していることが理由ではない。
です。
運用は違うと言えば確かに違います。が、これはあらゆる法律に関して言える話で、例えば、万引きと言われる類の窃盗はほとんどが不起訴になるとか交通関係業過はほとんどが不起訴になるとか侮辱罪の検挙事例は著しく少ないとかそういう話と大差がありません。
ただ、共犯として摘発する事例が原付の二人乗りの方が飲酒運転よりも少ないとすれば、それは「当罰性」の問題で、果たしてそこまでして処罰する必要があるのか、という話に尽きるといっても過言ではありません。
無論、「反則制度の適用がないから処理が面倒くさい」という点を警察が嫌うということが無いとは言いません(飲酒運転はもともと反則制度の適用が無いので本犯も共犯も同様の処理をしなければなりませんが、原付二人乗りは反則制度の適用があるので、共犯の方が本犯の摘発よりも手間が掛かるということが往々にして起ることになります)。しかし、当罰性が高ければ(正確には世論あるいはマスコミの論調が処分を強く求めるのであれば)、労を厭わず摘発を行うことはあります。
もとより、飲酒運転の共犯の摘発を厳しくしたのだって、マスコミが書き立てたからですから。例の用賀インター付近のトラック追突による子供二人の死亡事故辺りを契機に(この事件は、そもそも飲酒運転の疑いありという通報があって公団職員が事故直前に例のトラック運転手自身に事情を聞いたにもかかわらずそのまま見逃してしまい、警察も公団職員の言うことを聞いて現場に行くのを止めたとかなんとかで、未然に防げ得たのに起ってしまった事故だったのではないのかというもう一つの問題があったのですが、すでにうやむやになりました)飲酒の取締り強化と、飲酒運転の共犯の摘発を厳しくし始めたようです。
お礼
よくわかりました。ありがとうございます。