以前に24時間換気システムのカタログを制作したことがある者です(メーカー勤務ではありません)。
その時の経験や、当時作ったカタログの内容から回答します。
メリット
●他のエアコンなどを買う・取り付ける手間が省ける
他の空調機器を設置する必要がなくなり、工事も新築時などの1回で済みます(加湿器や除湿器は必要になる場合もあります)。
●室内の空気環境が安定する
現代の住宅は気密性が高く、室内の空気が滞りやすくなっています。
新築直後の有害物質の排除だけでなく、その後の居住についても、湿度も含め安定した空気環境を保つには有効です。
●花粉・アレルギー対策に有効
強制換気システムでは外気はフィルターを通して入ってくるので、花粉や微粒子が除去されます。
窓を開けたりして行う自然換気では、これはできません。
●ペットや乳幼児、お年寄り、観葉植物への影響が少ない
換気システムによる冷暖房は、部屋ごとに設置するエアコンのような風速・風量の大きい送風は必要なく、冷たい風、生暖かい風が体に直接当たることがほぼ考えられません。
また湿度もほぼ安定しているので、あまり急激に温度を変えなくても高い冷暖房効果が得られるようになっています。
●運転音が静か
風速・風量が小さいので、空気を送り出すモーターもそれほどパワーを必要とせず、大きな運転音を出しません。
またそういった機器は廊下など通常は人がいない場所の天井裏に設置され、室内にあるのは送風口だけなので、音が気になって眠れないといったこともほとんどありません。
●部屋による温度差がない
たとえば冬の廊下、お風呂の脱衣所も暖房されているので、急に寒いところへ出て心臓などに負担がかかる現象「ヒートショック」が起こりにくく、お年寄りなどに安心だといえます。
●カビ・ダニの繁殖を抑える
湿度が年間を通して安定するので、梅雨時などでも快適に住めるうえ、結露も少なくなります。
なお、カビやダニは湿度60%を切ると生息困難になるとされていますが、通常の換気システムはこれ以下の湿度を保つようになっています。
デメリット
●導入コストが高い
たいていは、部屋ぜんぶにエアコンを1台ずつ取り付けるより高くつきます。
なお使用コストは、エアコン1室1台の場合とあまり変わらないようです。
●新築時以外は取付が難しい
ダクトを各室すべてに通し、また電気配線も必要なので、建物を造るときに一緒に取り付けないと設置は困難です。
●部屋ごとの温度の調節が難しい
部屋ごとに温度の微調整はできますが、あまり大きく温度を変えることはできません。
1つの部屋だけをとても涼しく(暖かく)したい場合でも、他の部屋に比べて±5℃くらいが限度のようです。
●手入れやメンテナンスが面倒
エアコンと同様にフィルター掃除・交換が必要なのですが、その場所がわかりにくいといえます。
廊下の天井裏にある機器のパネルを開けて掃除などをしますが、通常は熱交換ユニット、室内機などに分かれていて、1台だけでは済みません。
またそうした機器が故障したら、エアコンのように買い替えるだけで済むわけはなく、大きな工事が必要になったりします。
●部分的な設置ができない
たとえば2階建ての家の1階だけに取り付けても、空気は2階にも流れてしまうので、結局はそっちの分も空調することになってしまいます。
家全体で取り付けないとあまり意味がありません。
●取り付けられない場合がある
たとえば病院への設置(待合室だけの取り付けも含む)は、たいていのメーカーでは断られるはずです。
院内全体で空気が循環することになるので、院内感染を広げる原因になってしまいます。
開業医で、住む部分と診察室が続いているような場合は、ほぼ設置はムリでしょう。
また一般住宅でも、地下室がある場合は湿度が高くなり、標準仕様では設置できないことが多いようです。
お礼
メリットとして上がっている、花粉対策に効果的というのは大変ありがたいです。 毎年、夫婦そろって花粉に悩まされています;; デメリットとして上がっている件について、 コスト面、部屋ごとの温度設定、メンテナンスの面について良く考えたいと思います。 詳しく回答ありがとうございます!とっても参考になりました。