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第四世代の高温超電導物質は?
1986年に超電導フィーバーのきっかけをつくった田中昭二氏は、その著書「超電導は物理学を変えるか」(1989年、三田出版会)の中で超電導物質を世代分けし、Tc=30-40Kのランタン系酸化物を第一世代、Tc=90K近辺のイットリウム系酸化物を第二世代、Tc=110Kのビスマス化合物を第三世代とされています。第三世代の超電導物質が発見された1988年からかなりの年数が経ちますが、第四世代ともくされる超電導物質は未だに出てくる気配はないのでしょうか?
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>第四世代ともくされる超電導物質は未だに出てくる気配はないのでしょうか? もっと高いTcという意味なら第四世代にあたるもの はありませんが、構造的には青学の学生が発見した ボロン(BC)系が次の世代にあたると思います。 CuOプレーンがないのに、BCSの予言ぎりぎりか ちょっと上の30Kなんです。 Tcがそんなに高くないのにと思われるかも しれませんが、酸化物がBCSの予言をはるかに 超えるTcを持つのは、CuOプレーンが存在して いることによる、特殊な電子相関が原因と されていたので、CuOプレーンがなくても Hi-Tcを得られる可能性を示唆したという ことで物理的には非常に重要なんです。 >八重洲ブックセンターに立ち寄ったおり、物理の棚に超電導関連の本が皆無であったのには驚かされました。 たまたまでしょう。わりと最新の専門的な 情報まで系統的にまとまったものとして 以下の本がお奨めです。 マテリアルサイエンスにおける超高圧技術と高温超伝導研究 日本大学文理学部叢書 高橋 博樹 (著) http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/490238521X/qid%3D1143860499/249-2589442-5134744 >いままでに作られた高温超電導体をベースにして、その応用が展開されてゆくことになるのでしょうか・・・。 とりあえずHi-Tcという意味ではネタ切れなんで そ現状から実用化の方向で進んでいるようです。 外国の最新動向はパリティーの今年の 2月号に出ています。 http://pub.maruzen.co.jp/book_magazine/magazine/parity-back/parity2006/2006_02/602_cont.html ここのところですね。 >応用を阻む障害は,どう克服されたのか 高温超伝導体の応用が始まった A. P. モロジモフ,J. マンハート,D. スカラピノ 村上雅人 訳 この原文を翻訳されている村上雅人さんという 人は、田中さんが所長をされていた超電導工学研究所 にいた方で、現在は芝浦工業大学の教授兼 超電導工学研究所の研究員です。 http://moniko.s26.xrea.com/profile.htm 日本では古河電工がフィールド実験を やってます。 http://www.furukawa.co.jp/what/500msc050331.htm ただ、古河電工も本当に実用化を信じて やっているかどうかが怪しいところです。 古河のページの最初のところに >経済産業省のプロジェクトとして、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が、超電導発電関連機器・材料技術研究組合(Super-GM)に委託した「交流超電導電力機器基盤技術の研究」プロジェクトの中で、 とあるように、通産省傘下のNEDO(ネドー)と いう組織絡んでいるんで、古河も引くに引けないで やっている感じがあるんです。このNEDOという 組織、何かとお騒がせな特殊法人の1つで、 本当は石油に代わるエネルギー資源を見つけると いう目的で作られたのに、超伝導ほかバイオ関連 にまで関わっていて、かけた資金に見合う成果が 出ていないんで、ちょっとあせっているみたい なんですね。
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- foobar
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色々研究されてはいるようです。 Hg系あたりは結構Tc高いようですが如何せん原料が原料なので。 他にはより高いTcを狙って、U系なんてのも研究されてるのだとか。
お礼
有り難うございます。残念ながら研究の成果が上がっていないようですね。そういえば過日、八重洲ブックセンターに立ち寄ったおり、物理の棚に超電導関連の本が皆無であったのには驚かされました。 これから暫くの間は、いままでに作られた高温超電導体をベースにして、その応用が展開されてゆくことになるのでしょうか・・・。
お礼
ご丁寧な回答をいただき有り難うございます。 パリティは私も読み、その記事の中でビスマス系以降のことについて全く触れていなかったので、今回の質問をさせてもらいました。村上氏の本も2冊読みましたが、分かりやすいうえに他の本ではあまりふれていない「ピン止め」現象についての詳しい説明がなされ、大変参考になりました。 難しそうですが、「マテリアルサイエンスにおける超高圧技術と高温超伝導研究 日本大学文理学部叢書 高橋 博樹 (著)」に挑戦してみます。