こんにちは.
卒論の締切が過ぎていて,もう遅いかもしれませんが,参考のため,書きます.
まず複素屈折率は,実数部が通常言われている屈折率,虚数部が吸収の強さを表すものです.エアロゾルの世界では,この複素屈折率を問題にします.
海塩粒子は,海水と同様の組成をしている(塩化ナトリウムや塩化マグネシウムなど)と考えます.そして,液滴の形で浮かんでいたり,あるいは,それが乾燥して完全な結晶(固体)に近い形で浮かんでいるものもあります.
したがって,主要成分である塩化ナトリウムの水溶液,あるいは結晶の値を使う,という考え方があると思います.
この辺りは化学便覧などに載っているでしょう.
土壌粒子については,zuri1000さんが指摘されているように,土によって結構違うので,これといった代表的なものをあげることはできないと思います.特に吸収(虚数部)については,波長依存性が強いので,注意が必要です.黄砂が飛来しているとき,というのであれば,割合単純なのですが.実際の土壌の吸収を測定した論文は,卒論なら手元にあるのですが,雑誌に載っているのは,そう多くないかもしれません.内容を確認していないのですが,下記の論文に手がかりがあるかもしれません.
Li et al.(1996): Nature 380, 416-419
Tegen et al.(1996): Nature 380, 419-423
zuri1000さんが挙げたURLの内容は,私がやっている研究と重なるものですが,これは,海塩粒子や土壌粒子も含めたエアロゾル全体の光学的特性を求める,という話です.
組成分析に基づいて,エアロゾルをなす化学種をいくつか仮定して,それぞれに複素屈折率と粒径分布を与えて,Mie散乱理論を適用すると,散乱係数や吸収係数などの光学パラメータが算出できます.したがって,逆に散乱係数や吸収係数などを実測して,それに合うような複素屈折率を求めてやることもできます.ただし,この場合,他のパラメータを実測や仮定で既知とするか,あるいは一緒に未知として組で求めなければなりませんが,実測や仮定が正しいか?とか,組で出てきた答えが数学上は正しくても実際にはおかしかったりすることもあり得るわけです.
そんな訳で,なかなか決定版を出せずに研究が続いているのです.
お礼
(現在卒論は発表に向けて手直し中です。) あまり突っ込んだことはできませんが、考える背景として 貴重な情報を、ありがとうございました。