ヒートアイランドとは関係ないですが....
雲の発生は、物理的には、飽和水蒸気圧、つまり空気中にどれだけ水蒸気が(水滴にならずに)存在できるか、が、温度によって違うということが本質的です。
空気が上昇すると、大気圧が低くなる分膨張し、膨張することによって温度が低下します(熱を加えて膨張させたのとは区別して、これを断熱膨張と言う)。そうすると飽和水蒸気圧が低くなり、存在を許されなくなった水蒸気が水滴になります。でもきっかけがないと水滴になれない。そのきっかけが凝結核ですね。
また、熱い空気と冷たい空気が出会って混合することによっても雲(霧)は発生します(冷蔵庫を開けたときの霧。冬の息が白くなる、など)。これは、飽和水蒸気圧が温度に比例しておらず、温度が上がるほど飽和水蒸気圧の増え方が大きくなるという性質が本質的です。
熱い空気と冷たい空気が混合したとき、温度が中間の値になる。半々に混ぜれば平均値になりますね。ところが、この混合された空気の飽和水蒸気圧は、単純なの平均値よりも小さいんです。
この事情を理解するために、右上がりでしかも右にいくほどうなぎ登りになる曲線をテキトーに描いてみてください。横軸が温度、縦軸が飽和水蒸気圧です。そして曲線上の好きな2点を選び、それら結んだ線分を描きます。すると線分上の点は、皆、曲線より上にあるでしょう?
曲線上の好きな2点というのは、熱い空気と冷たい空気が共に飽和水蒸気圧いっぱいまで水蒸気を含んでいた、という状態を表します。そして、線分上の点は混合した空気の温度と蒸気圧です。この点が曲線の上にある、ということは飽和水蒸気圧を越えた過剰な水蒸気を含んでいることになり、その過剰分が水滴になる訳です。
もとの空気に含まれる水蒸気圧が飽和水蒸気圧より低い(曲線より下の2点)という場合には、2点を結んでも必ずしも曲線より上には出ません。とくに熱い空気の方の水蒸気圧が重要であることもお分かりになると思います。乾いた空気だと雲が出来にくいという訳です。