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pHメータの内部液の意義

pHメータの内部液に塩化カリウムの飽和溶液を入れているものがあるとおもうのですが、これを何のために入れているのかがどうしてもわかりません。 ネットでは、探せるだけ探したつもりなのですが、詳しい説明の載っているページが見つからず、助力を仰ぎたいしだいです。 電解性のよい溶液としての特性を利用しているのだと思っているのですが、これはたとえば違う液だとどのような効果がおきるのか、誤差が出るのか測ることすら不可能なのかなどをご存知の方、教えてください。

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  • c80s3xxx
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回答No.2

pH 電極はふつうは2本の電極を複合化したものが使われています (複合電極) が,それはいいでしょうか.KCl 溶液が入っているところは,じつは3ヶ所あります.そのうち2ヶ所は補充したりできない (事実上密閉されている) ようになっていて,ここは他の液にしてはいけません. ほとんどの電極では残り1ヶ所だけが補充ないし交換できるようになっていますが,ここは KCl 以外なら NH4Cl や KNO3,NH4NO3 に置き換えてもかまいません.ただし,長期間使うと内部の交換可能な部分に対しても汚染になるので,これらの液に置き換えた場合は,使用後に KCl にもどしておくべきです. そもそも pH は pH によって電位の変化するガラス電極と,基準となる参照電極の間の電位差を測定することで測定します.参照電極には現在は金属銀のワイアーのまわりに塩化銀を電気分解で析出させた「銀-塩化銀電極」を使うことがほとんどです.この電極の電位は周囲の溶液の Cl- の活量に依存します.したがって,銀-塩化銀電極をそのまま測定溶液に入れることはできません.銀-塩化銀電極の周囲の液は通常は飽和あるいは 3.5M 程度の KCl にしてあり,この状態を保たなくてはなりません.測定溶液と,この参照電極の内部液とは溶液としてはつながっていて,しかし,液同士は混ざらない,という,一見矛盾したことが要求されます.ここで登場するのが塩橋です.ゼラチンや寒天で KCl (あるいは上に挙げたような塩類) の濃厚溶液を固めたものや,焼結ガラスや素焼きのように,溶液が染みこみ,ごくわずかには反対側に染み出すようなものが使われます.市販の参照電極 (pH複合電極に使われるものを含めて) には焼結ガラスがよく使われています.この部分を通じて内部液がわずかに染み出し,測定溶液と接触するわけです. このとき,逆に測定溶液が内部液にも染みこんでくると内部液に対する汚染になります.そこで市販品では焼結ガラスを2段にして,[銀-塩化銀電極用の内部液]-[焼結ガラス]-[交換可能なKCl溶液]-[焼結ガラス]-[測定溶液] となるようにします.これによって本当に大事なところまで測定溶液が染みこんで来るのを最小限に抑えます.このような構成をダブルジャンクション (二重液絡) といいます. さて,ここでなぜ濃厚な KCl や NH4Cl を使うのか,という問題が残ります. まず濃厚な液を使う理由ですが,これは塩橋の中で電荷を輸送するものが,仕込んだ KCl のみにするためです.そうしないと測定溶液から染みこんでくるイオンが輸送したりする影響が,測定結果に出ないともかぎらないからです. 電荷の輸送は陽イオンと陰イオンによって行われますが,組み合わせによってどちらの方がより輸送しやすいかは異なります.この比率を輸率といいますが,KCl や NH4Cl は陽イオンと陰イオンの輸率がどちらも 0.5 程度になってくれます.この場合は KCl の濃度が違う溶液が接触した場合に,液間に電位差が発生しなくなります.一方,どちらかの輸率が他方に勝る場合,溶液間の電位差が発生してしまいます.pH 測定の場合,塩橋と測定溶液の間では溶液組成がぜんぜん違うので,一般的には液間電位差が発生し,これによって測定系全体の電位差が影響を受けて pH 測定にも影響します.しかし輸率が 0.5 同士の塩の高濃度の溶液を使えば,この接触界面での電荷輸送はほとんどが塩橋から染み出す塩のイオンにより,しかもそれによる電位差発生がないので,液間電位差を事実上無視できるようになります. ちなみにもう1ヶ所の交換不可能な部分というのは,pH 感応ガラスの薄膜の向こう側にある液です.この液の中にも銀-塩化銀電極が入っていて,その周りの状態を規定するために KCl 溶液が入れてあります.ただし,この部分はほとんどすべての電極で密閉されていますので,交換や補充の必要はありません.参照極と違って,溶液にはガラス薄膜の,内部液とは反対の側が接すればいいだけなので,密閉できるのです.

CTAB
質問者

お礼

詳しい説明で非常に助かりました。 回答ありがとうございました。

その他の回答 (1)

回答No.1

陽イオンと陰イオンの大きさが同程度なので、イオンの動きやすさが同程度・・・というのが関係していた気がします。

CTAB
質問者

お礼

回答ありがとうございました。

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