こんばんは。
質問:やる気が出るとか集中できるとかタイトルについている
サブリミナルCDがありますが、本当に効果があるのでしょうか?
回答:人間はサブリミナル=閾下において何かを感じ取っているらしい
ということは判明していますが、
サブリミナル効果をうたった商品が、本当に人間の行動を
コントロールできるほど強い効果があるかどうかについては、
科学的な根拠はありません。
商品を買うかどうかはご自身の判断でどうぞ。
以下、詳細な説明です。
ご興味がありましたらどうぞ。
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私たちは目や耳などの感覚器から外界から情報を受け取って、その情報を脳が受け取っているのですが、その刺激の強度が低い場合には知覚されないことがあります。刺激自体の検出、あるいは刺激の差異の検出が可能である場合と不可能である場合との境目のことを、閾(いき:threshold)といいます。閾に対応した刺激量を「閾値(いきち/しきいち)」といいます。
この閾値よりも上のことを
『閾上(いきじょう:supraliminal, suprathreshold)』
この閾値よりも下のことを
『閾下(いきか:subliminal)=サブリミナル』
というのですね。
質問にあります「サブリミナルCD」というのは、
人間の意識にのぼらないようなレベルの音が与える効果により、
人間の気分や行動に変化をもたらそうというものです。
この閾下知覚(subliminal perception)の実験としては、
以下の実験例が有名でしょう。
『サブリミナル・カット』
1950年代後半のアメリカの映画館の映画で、フィルム内の1コマにだけ「コーラとポップコーンを飲もう・食べよう」という宣伝のカットを入れました。映画の1コマが出ている時間は30msで、通常では人間には知覚されません。
その結果、映画終了後にコーラとポップコーンを買う人が、
コーラ58%・ポップコーン18%増加したと報告されました。
宣伝文が観客には気づかれなかった(=サブリミナルの刺激だった)のに、購買行動に大きな効果があったと主張されたことから、サブリミナル・カットと閾下知覚が注目を集めることになり、その後、広告業界でこの手法が使われるようになったということです。
しかし近年、広告代理店か飲料業者の販売担当者か広告担当者が、業績不振の会社を立て直すために嘘の報告書をまとめてしまった(新聞に載せてしまった)嘘であり、そのまま話題だけが先行して広まってしまったらしい、つまりデータのねつ造であることが判明しているとか。
この実験以降、サブリミナルの効果が注目される一方で、サブリミナル・カットというのはそんなに効果があるのか、効果がないのではないかという疑問も、同時に提示されることになりました。上記のサブリミナル・カットの実験が一度も追試に成功しないことも、疑問を強くすることになったようです。
その後の多くの研究によって、どうやらサブリミナル=閾下の知覚は存在するらしいことが判明していますが、それが技術として応用され、人間の行動をコントロールできるとまでいう強い効果を及ぼすかについては、科学的な根拠は無いといってもいいでしょう。
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その「サブリミナルCD」とやらが流れると、
どんなサブリミナル=閾下の音が流れてくるのかわかりませんし、
その音が人間にどんな効果を及ぼすかについても、
ちゃんと実験的に確かめられてはいないのではないでしょうか?
本当に効果があるのかは私達にはわかりません。
わざわざサブリミナルにしなくても、
閾値より上で流れている心地良い音楽で癒されるかもしれませんし、
偽の薬でも、飲む人が本物と思い込めばある程度の治療効果が出る
「偽薬効果」というものもあるように、
最初から「これは聴くと集中力の高まるCDだ!」と思って聴くと
それなりに集中できるかもしれません。
再度、結論となる回答を申しますが、
回答:人間はサブリミナル=閾下において何かを感じ取っているらしい
ということは判明していますが、
サブリミナル効果をうたった商品が、本当に人間の行動を
コントロールできるほど強い効果があるかどうかについては、
科学的な根拠はありません。
そのCDの音がどんな効果があるか確かめられていないでしょう。
商品を買うかどうかはご自身の判断でどうぞ。
あなたが信じれば効果はある(と言える)かも?!
この文章を読んで買って効果が出なくても、
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お礼
ありがとう。