電灯線が交流であるのは、いくつか理由があります。
交流を直流にするのは簡単であるという事もありますが、トランス等を利用して電圧や電流を変えたり、絶縁(アイソレート)することができるからです。この点を生かして製品化されている物が多いので、簡単に直流で駆動できるとは思わない方が良いです。交流が一定の周波数で変動していることを利用している機器もあります。
電球や電熱器(付加機能の部分は含まないことに注意!下記参照)のように「直流でも交流でも実用上動作が変らない物」もあり、これらは、交流あるいは直流で動作します。注:蛍光燈に直流を加えてはいけない!
多くの電子機器、たとえばテレビ等は内部は直流で動作していますが、「電灯線の交流を受けて、電圧を適当に変えて、直流に変換する回路」を含んで(あるいは外部にACアダプタを付ける)います。必要な電圧が単一であれば、この電源回路を切り離して、その部分に相当する電圧の電池を繋いでも動作するでしょう。しかし、多くの装置は、複数の電圧を生成して(これが交流を使う利点)、それで動作しています。普通のパソコンの回路は+5Vと+12Vを(実際はそれ以外の電圧も必要)必要とします。注:これらの装置の電源回路は、外部から直流が加わることを想定して設計されていません。焼損する危険が大きいです。
交流式の時計や交流誘導電動機は、交流の周波数に依存して動作しています。(関東と関西で周波数が違うので引っ越すと支障する場合があるぐらいです。) 蛍光燈など、コイルの性質を使った装置も交流でなければ動作しません。
照明機器やホットカーペットなど、ツマミ等で明るさや温度を調節できる機器は、トライアック等を使って「交流位相制御」している物が多いです。これらは、直流では動作しません。直流を印加すると、おそらく、制御回路を破損します。その他、最近の家電製品は電子スイッチ等を使用しています。これらも直流では働かない物が多いです。
電池や蓄電装置は、原理上、直流しかできません。上述のパソコンなど複数の電圧を必要とする装置や、交流で動作させる必要がある装置では、直流を交流に変換する装置『インバータ』などを使用します。もし、交流用の機器を電池で駆動する必要があるならば、インバータを使ってください。
パソコン用等のUPSは、交流を受けて→直流にして蓄電→交流に変換して送出 します。停電時にはバッテリの電力で一定時間持ちこたえるしくみです。ノートパソコンの電池も同様で、電池の電圧でそのまま回路を動かしている物はほとんどありません。
ついでに。大電流を扱う場合、交流用のスイッチを直流で使ってはいけません。接点を傷めたり、機能しなくなることがあります。
お礼
貴重な経験談をありがとうございます。