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雇用主に延期された転職先の内定
- 私の部下である看護師が転職先の内定を延期されました。
- 現病院の退職手続き中に急に延期の通知があり、彼の意志とは異なる状況です。
- 職業選択の権利が保障されている中で、彼の意志を通すことは困難です。
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こんばんは。 ご質問のポイントは、内定の法的効力と言うことだと思いますので、その観点から書かせていただきます。 民法上は、会社の募集が契約申し込みの誘引、応募ないし受験が契約の申し込み、合格通知が契約受諾とみなされていますが、一部では合格通知が契約の申し込みで、誓約書の提出が契約の受諾とみる説もあります。 つまり、こうした採用内定手続きの法的根拠、採用内定取り消しの要件、内定取り消しが損害賠償請求権を生じされるかどうかなどは、意見が分かれているところです。 労働契約の締結は、市民法上の契約自由の原則によって当事者間の自主的な意思によって決定されるべきものですが、契約が締結されると当事者は従属的労働関係に入ることになるわけですから、さまざまな労働法の適用を受けることにもなります。 使用者による契約の解除(内定取り消し)は、被内定者にとって著しい不利益を伴うことが予想されるわけですから、法的には厳しく制約されるとする説と、内定通知は契約の予約行為であるから、労働法上も民法上も大きな制約を受けることにはならないとする説もあります。 ・内定通知=労働契約予約説 内定通知の労働契約予約説については、以下のような考え方です。 (1)複数の会社から内定通知を受け、誓約書をそれぞれに提出する者も少なくなく、内定通知・誓約書提出を労働契約の締結とすると複数の労働契約が成立することになる、 (2)内定通知後に被内定者が内定を辞退することもあり、それに対して債務不履行責任を追及することは困難であるから、そうした拘束力しかもたない合意は法規上の契約とはいえない、 (3)内定通知から就労までに長期間要する場合、そもそも労働条件が確定していないので、契約締結の前提がない、 (4)現に就職しているものはは就業中であり、それとの労働契約による債務・債権関係は矛盾する、 (5)内定通知が「労働契約の予約の内定」である旨を明記してあれば、それは労働契約締結までの準備段階を意味しており、そのことを契約成立とみることは契約自由の原則に反する、 などの理由から採用内定あるいは誓約書の提出をもって労働契約が成立したとは解釈せず、入社・就労によって労働契約が成立するとしています。 ・内定通知=労働契約成立説 これに対して、契約成立説では、以下の考え方をします。 (1)労働契約も非排他的な債権契約であるから、複数の契約締結も法理論上は排除されない、 (2)労働契約の履行を強制することは法的に困難であるばかりか、労働法上は、労働者の契約解除(退職)の自由は保障されているのに対して、使用者の契約解除(解雇)は厳しく制約されている、 (3)労働条件を明示しない労働契約は労働基準法第15条に反するが、求人票や会社案内でその概要を提示しているので契約成立そのものを否定する根拠にはならない、 (4)労働契約が成立しても、そのことが直ちに就労を意味するわけではないから、就学と就労という二重性は発生しない、 (5)内定通知や誓約書は、会社が一方的に作成した文書であり、それに同意したからといって採用内定の法的性格を変更することはできない、 などとして予約説に反論しています。 もちろん、採用内定問題については、その法的解釈は多様であって、予約説や契約成立説だけに限定することはできませんし、それぞれの説もその法的な根拠については一様ではありません。 で、気になるのが判例ですが、 これまでの判例によれば、採用内定・誓約書提出が客観的かつ合理的に当事者の合意によるものと解釈されれば、採用内定によって労働契約が成立したとしています。 このように、内定通知もしくは誓約書の提出をもって、労働契約が成立したとすると、会社と就業予定者とは一定の労働関係に入ることになるわけであるから、その契約解除は法的に制約されることになると思われます。 もちろん、この契約は今回の場合は、一方の当事者が退職を前提としての就労中の地位にあるから、退職できなければ契約を解除することができますし、契約は現在の就労の終了後であるなどの制約条件がついた労働関係ということになると思われます。 したがって、就労を前提とした労働基準法は適用されませんが、非就労状態でも労働によって生活する意志をもつ者の労働を保障する労働法の規定は、そうした制約を前提として一部適用されると考えられます。 大日本印刷事件(最高裁昭和54年7月20日判決)では、採用内定を「解約権留保付労働契約」とし「卒業後の就労を期して、他企業への就職の機会と可能性を放棄するのが通例であるから、就労の有無の違いはあるが、採用内定者の地位は、一定の試用期間を付して雇用関係に入った者の試用期間中の地位と基本的に異なることはない」と述べています。 (結論) 以上を勘案しますと、現職を辞職できない限り、新職に就労する契約の破棄、つまり内定の取り消しが出来ると思います。 現職を辞職するためには、通常は、会社(病院)で雇用者と労働者間で労働協約が結ばれており、それに退職の場合○ヶ月前に申し出ること、と言う定めがあればそれにしたがって申し出れば、○ヶ月過ぎれば労働契約は解除、つまり退職できますし、労働協約に定めがなければ、民法の定めに従うことになりますから、2週間前に退職を申し出て、2週間が経過すれば退職できます。 ただし今回のケースは、法律的には転職が出来たとしても、多分、色々紆余曲折を経る事になりそうな気がしますから、それで果たして転職先でうまくいくかが心配されるところですし、貴方もそれを心配されておられるんじゃないかと思います。 世の中には、法律で割り切れないことがあるという見本みたいですね。残念ですが。
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- o24hit
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早速のお礼恐縮です。 >ひとつ、不安定要素として内定が一年後に伸ばされたのですが一年後に確実に就職できる確約を取ることは可能なのでしょうか? 先にも書きましたが、労働協約が結ばれていれば、それに従って退職手続きをすることになりますし、労働協約に定めがなければ、民法の定めに従うことになりますから、2週間前に退職を申し出て、2週間が経過すれば退職できます。 労働協約での退職の申し出は、不合理に長く規定するのは認められません。例えば、「半年前までに退職を申し出ること」などの、長い期間を規定することはできないと言うことです。今回のケースでは1年間の延伸ですから、例え労働協約で定めがあっても、1年前と決められていることはありえません。 以上から、今からしておけることと言えば、 ・現勤務先で、一年先に退職する旨の退職願を出しておくこと ・新しい勤務先から、一年先に採用する旨の内定通知書を(くれるかどうか分かりませんが)貰っておくこと ぐらいでしょうか。 「確実に就職できる確約」としては、現勤務先で、一年先に退職する旨の退職願に対し、退職を認める文書を貰っておくことが一番ですが、労働関係法では、今の時期に一年以上先の退職を認める文書を発行する義務は(多分)ないと思いますから、くれるかどうかは何とも言えないです。
お礼
本日、彼が先方の病院へ出向き、院長、看護部長と面談でき 近隣の同業者の事なので、一年間がまんして 来年来るようにとの話があったそうです。 彼自身、納得ができたようなので 一応、一件落着です。 一年後の採用については、書面では、出しようがなかったようですが、 悪いようにはしないでしょう いろいろ細かいご指導をしてただきまして 本当にありがとうございました。 では、失礼します。
お礼
o24hit さま 詳細な返答を頂き、ありがとうございます。 >世の中には、法律で割り切れないことがあるという見本みたいですね。残念ですが。 理不尽ですが・・そのようですね。 彼も、納得がいかないらしく しばらく待って先方から連絡がなければ 話を聞きに行ってくると息巻いています。 ひとつ、不安定要素として 内定が一年後に伸ばされたのですが 一年後に確実に就職できる確約を取ることは可能なのでしょうか? このまま、退職することもできず 一年後に転職もできないとなると 彼にとって、ほんとうに理不尽な事になってしまいます。 重ねて質問で、申し訳ありません。