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「3年以内」の解釈を教えて下さい。
不法行為に対する損害賠償請求がで期間きるは、その不法行為を受けた時点から3年以内というのはわかりました。 しかし、次の例の場合はどう解釈すればいいのでしょうか? (1)平成14年1月1日、太郎くんが次郎くんに「行為A」と「行為B」をした。 (2)その「行為A」をめぐって次郎くんはそれをずっと「不法行為」だと主張し続けた。 逆に太郎くんはそれをずっと「不法行為ではない」と主張し続けた。 一方、「行為B」については、双方とも不問状態にしていた。 (3)平成15年9月1日、次郎くんが太郎くんに対して「行為B」に関して、損害賠償請求の訴えを起こした。 (4)平成16年12月1日、地裁の裁判官が「行為B」を「不法行為ではない」と認定し、次郎くんの訴えを棄却した。 (5)さらに、判決文の中では、「行為A」についても言及があり、「行為A」も「不法行為ではない」との認定だった。 (6)判決に不服な次郎君は、平成16年12月20日、「行為B」に関して控訴した。 (7)平成17年3月1日、控訴審の判決が出た。棄却だった。当然、損害賠償金はゼロ。 (8)しかし、判決文の中で、「行為A」は「不法行為である」との認定を下した。 (9)初めてこの日「行為A」が「不法行為である」と正式に裁判所のお墨付きをもらった。 さて、この場合、次郎君は太郎くんに対して本当に「行為A」に関する「損害賠償請求」はできないのでしょうか?
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これは難しい問題です。 そのようなことはあり得ないという意見もありますが,例えば,労災で,業務命令Aと業務命令Bがあって,災害を引きおこした原因が,業務命令AなのかBなのかということが明確でない場合もありますし,交通事故でも,直近の行為A(例えばハンドル操作やブレーキによる事故回避義務違反)が,その時点では事故の回避は不可能だったとされて,それ以前の行為B(例えばスピードの出し過ぎ)を不法行為として構成し直す必要のある場合もあります。 このような場合で,行為Aを不法行為として訴訟を提起し,最終的に行為Aは不法行為でないとされることも当然あり得ることになります。 何か判例があったかもしれないと思って手元の文献を調べてみましたが,適切なものは見当たりませんでした。 考えてみれば,これは,被害者救済という不法行為法の目的と,二重の応訴の負担を避けるという紛争解決の1回性の問題とのバランスで解決されるものではないかと思います。 例えば,行為Aを不法行為として訴えた場合に,行為Bを不法行為とすることは論理的に矛盾しており,同時に提訴できないという場合には,行為Aが不法行為でないことが確定した後に,改めて行為Bを不法行為とする訴えが提起できなければ,被害者保護の目的が満たされないということになります。 しかし,行為Bも十分不法行為と認識することができ,かつ,行為Aと行為Bを,選択的にせよ予備的にせよ,請求原因として,あわせて提訴することが十分可能であった場合には,行為Aのみを理由として提訴された訴訟で敗訴が確定した場合には,あらためて行為Bを不法行為と主張する訴えを起こすことは,被告に不当な応訴の負担を強いるものであるとして,認められない可能性が高くなるといえます。 実際には,その中間の形態が多いでしょうから,結局は,ケースバイケースということになるのではないかと思います。
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- ma-po
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こんばんは。 >さて、この場合、次郎君は太郎くんに対して本当に「行為A」に関する「損害賠償請求」はできないのでしょうか? 多分質問者様が思っていらっしゃるのは、「行為Bに関する控訴審の審理過程で行為Aの違法性が客観的に明らかになった場合」、これが民法724条に定める「損害を知ったとき」に当たるのではないか、という民事実体法上の疑問ではないかと思います。 このような判決が実際に行われるか、という訴訟法上の問題はこの際無視してお答えいたしますと、これは不可能な解釈です。本件の場合、不法行為のあったときに、次郎君は太郎君によって損害Aを被った事を認識しています。つまり、ここから3年の消滅時効が進行することになります。 民事裁判は当事者主義を採用していますので、判決における違法性の認定は「原告における立証活動の成功」という意味合いのものです。つまり訴訟提起の段階で客観的に損害も生じていて加害者も判明している場合に、その加害者を被告として損害賠償を請求しても、立証活動を誤れば原告(被害者)敗訴になる可能性を帯びていますので、必ずしも実体法上の権利関係が反映されるとは限りません。 確かに訴訟を有利に運ぶには相当の裏付け資料が確保できることが望ましいのですが、訴訟を起こせば被害者が勝訴することが客観的に可能といえるだけの状態になった時期をもって「損害を知った時」と解するのは、民法724条の短期消滅時効を空文化する危険性を帯びてきます(損害も加害者も知っているが勝訴できるかわからない事案の場合に、20年の除斥期間内にのんびり証拠をそろえ提訴すれば良いことになりますから・・・)。なので立法論であればともかく、法解釈論であれば到底受け入れられない解釈です。ただし、じん肺訴訟などのように「損害(症状)」が「長期間経過後」に具現化(発症)したような場合は、症状が具現化したときをもって損害の発生(または行為時)と解しなければ消滅時効・除斥期間という法の壁に阻まれ賠償請求の機会すら逸してしまい、不法行為法の立法趣旨である「被害者の救済」すらできなくなってしまうので、本件とは次元の違う話になります。
お礼
>多分質問者様が思っていらっしゃるのは、「行為Bに関する控訴審の審理過程で行為Aの違法性が客観的に明らかになった場合」、これが民法724条に定める「損害を知ったとき」に当たるのではないか、という民事実体法上の疑問ではないかと思います。 はい。まさにその通りです。わかりやすく換言してくれてありがとうございます。 >訴訟を起こせば被害者が勝訴することが客観的に可能といえるだけの状態になった時期をもって「損害を知った時」と解するのは、民法724条の短期消滅時効を空文化する危険性を帯びてきます なるほど、わかりやすい解説、誠にありがとうございました。
- messe2006jp
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今回の事案は、ありえるケースと言えるでしょう。 ただし、民法147条1号の請求は、「行為B」についてのみのため、時効の中断事由には当たらないと言えます。
お礼
なるほど、あり得るのですか。。。勉強になりました。 ご回答ありがとうございました。
そもそも裁判所は、原告が請求してもいない「行為A」についての不法行為の成否など審理しません。 当然、「行為A」を不法行為として認定する内容の判決など書くはずがありません。 つまり、設問自体があり得ません。
補足
>そもそも裁判所は、原告が請求してもいない「行為A」についての不法行為の成否など審理しません。 「行為B」と「行為A」に相関関係がある場合と仮定して下さい。それで偶然、裁判官が「行為A」に関しても言及した場合を仮定して下さい。あるいは、「行為B」の審理中に「行為A」についても、裁判官の判断が及ぶよう巧妙に誘導した場合を仮定して下さい。 全ての条件が揃ったと仮定した上で、時期的に可能か不可能かそれだけを教えて下さい。
- g_destiny
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専門家じゃありません たとえの仮定がおかしすぎるでしょう 行為Aについて意見の相違があって 行為Bについては お互い不問にしていたのに なんで訴訟が行為Bからなの それに 行為Bについて損害賠償か慰謝料を争ってるのに 行為Aが話題に上るのも不自然 訴状に行為Aのことも 書かれてるなら あわせて考えられてると考えられます ただ 行為Aについて損害賠償を求めていないなら 改めて請求するってのは 時効成立で無理じゃないですか ? 裁判中の時効は停止するらしいですが 請求に入っていないものの 時効までとまるかどうか・・・ とまらないんじゃないでしょうか?
補足
>行為Aについて意見の相違があって行為Bについてはお互い不問にしていたのになんで訴訟が行為Bからなの 理由はありません。次郎くんが突然「行為B」についての損害賠償をしたくなったからです。 >それに行為Bについて損害賠償か慰謝料を争ってるのに行為Aが話題に上るのも不自然 「行為B」と「行為A」に相関関係がある場合と仮定して下さい。それで偶然、裁判官が「行為A」に関しても言及した場合を仮定して下さい。
お礼
>考えてみれば,これは,被害者救済という不法行為法の目的と,二重の応訴の負担を避けるという紛争解決の1回性の問題とのバランスで解決されるものではないかと思います。 論理的な解説ありがとうございました。 >結局は,ケースバイケースということになるのではないかと思います。 やはりそうですか。。。回答ありがとうございました。