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委託契約と請負契約の違い
委託契約と請負契約の違いがよく分かりません。 あるサイトで、委託契約の目的は「特定の業務の処理」であるのに対し、請負契約は「仕事の完成」である点。という説明がありましたが「特定の業務の処理」=「仕事の完成」じゃないんですか?違いがよく分かりません。
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長くなりますことを、はじめにお断りします。 まず、前提として、委託と委任の違いからいきましょう。委任と同義で使うこともありますが、厳密に言うと、異なります。委託とは、他人にものを頼むことを意味するに過ぎず、何を頼むかによって、言葉と意味が変わってくるのです。 たとえば、法律行為を頼めば、委任になりますし、事務処理を頼めば、準委任になります。ただ、準委任の関係には、委任の規定(民法)が準用されますので、委任も準委任も実質的にはそう変わりはありません。だから、普通は、事務処理を頼むことも委任といっています。 ところで、大工さんに自宅の建築を頼んだら、なんと言うのでしょうか。請負ですね。 とすると、他人にものを頼む、つまり「委託する」という行為には、委任と請負の両方の場合があるということがお分りになると思います。 つまり、一口に委託契約といっても、委任契約の場合と請負契約の場合とがあるということです。おそらくご質問の委託契約と請負契約との違いというのは、委託契約の中の委任契約と請負契約との違いのことだと思いますので、次に委任と請負との違いについて考えましょう。 病院に行く場合を例にとります。 患者と医者との間に成立する契約は、おそらく普通は、診察または治療にかかる業務の委任契約(厳密には準委任契約)ですね。病気を必ず発見する、または病気を必ず治すという結果ないし成果を請け負う契約ではありません。(これなら請負) ♯もちろん、だからといって医者が手を抜いて良いというものではない。委任における受任者は、善良なる管理者の注意義務をもって受任業務を遂行しなければならないのだから。 ともあれ、この契約により、医者は診察または治療を行うわけですが、患者は、その診察行為または治療行為そのものに対して報酬(診療報酬)を支払うわけです。決して、病気を発見してくれたから、あるいは病気を治してくれたからという結果ないし成果に対して報酬を支払ってはいませんよね。 こういう風に、行為(仕事または事務と言い替えても良い)そのものを委託し、この行為に対して報酬を支払うものを委任(準委任を含んでいます)というのです。 これに対して、行為の結果(成果)に対して報酬を支払うものを請負といいます。住宅の建築が請負とされるのも、設計図通りに家を完成することが契約内容になっているからです。だから、請負においては、報酬も出来高に応じて支払われます。 まとめます。つまり、何を頼むかによって委任になったり、請負になったりするのです。行為そのものを頼めば委任、行為の結果を出すことを頼んでこれに報酬を支払うのであれば請負ということです。 最後に、回答に対する補足への回答。 >これは依頼人が"能力や技術的にやれる仕事"ということでしょうか? >逆に、請負契約は依頼人が"能力や技術的にやれない仕事"を頼む場合でしょうか? 違います。住宅メーカーが別の住宅メーカに住宅の建築を頼んでも請負ですし、医者が別の医者に診療を頼んでも委任です。本人の能力とは関係ありません。 ただし、委任が成立する業務には、往々にして高度な専門知識を必要とする分野が多いのは事実です。医療もそうですし、弁護士その他の士業分野も然り。 >実際にそのような場合、取り交わす契約書は請負契約書でしょうか?業務委託契約書でし>ょうか?契約内容や収入印紙の額も変わってくると思いますが? まず、業務委託契約書というのは、請負を含む契約書の名称ですから、ご注意ください。 専門の調査機関に監理行為そのものを委託するときは、委任契約です。この場合の契約書には、印紙不要です。ただし、監理にかかる報告書の提出を義務付け、その報告書の提出に対して報酬を支払うような契約内容であれば、請負でしょう。したがって、課税対象です。 土木工事は、工事図面や工程表に従って行うものですから、これを内容とする契約は、請負契約です。したがって課税対象。 >委託契約のほうですが、下記URLにある印紙税法での請負の説明の中に「…職業野球の >選手、映画の俳優などの出演契約…」などとあります。この記述ですと、技術や能力を提>供する場合も請負なのか?という感じがします。 プロ野球の選手は、監督の采配に従って動き、成績(結果・成果)によって報酬が支払われますので請負です。また、俳優もシナリオや監督の演技指導にもとづき、期待通りの演技をするという結果を求められますので請負でしょう。 >それと、委託契約書は、多くの場合、印紙税法上の「継続的取引の基本となる契約書」になり、収入印紙4000円が必要なのではないかと思うのですが? 委任を内容とする委託契約の場合は、原則として不課税です。例外的に売買にかかる委任契約は「継続的取引の基本となる契約書」に該当する場合があります。たとえば、不動産の販売代理や、集金業務の委任を受ける場合などです。(詳細省略) 請負を内容とする委託契約の場合は、まず、その契約書から記載金額が読み取れるかが問題となります。記載金額が読み取れる場合は、「継続的取引の基本となる契約書」となる前に、請負に関する契約書として課税されます。次に、記載金額が読み取れない場合に、「継続的取引の基本となる契約書」として課税されるのです。
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- hakkei
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♯4です。正しくご理解されたようで、たいへん嬉しく存じます。さて、新しく質問をいただきましたので、お答えします。 >ただ、俳優の演技が請負というのが、どうもわからないのです。 労務を提供する契約というのは、委任と請負のほかに雇用もあります。この三つは、それぞれ概念的にはすっきり分かれているのですが、具体的に何かにあてはめて、さてこれはなんだろうと考えると、なかなか難しいものです。 実際には、それぞれが交じり合った中間的な形態の契約が多いからです。 教科書的にいうと、請負とは、請負人が仕事を完成することを約し、注文者がその仕事の結果に対して請負人に報酬を与えることを約する契約です。 したがって、請負の場合、いくら労務(役務)を提供しても、仕事が完成していなければ、報酬はもらえないのです。この点で、弁護士さんの仕事とは区別されますね。 弁護士さんは知的な労務の提供の対価として、たとえば時間で幾らとか、訴訟物の価格で幾らとかという風に、結果とはかかわりなく報酬をもらうことができます。これは委任だからです。 では、俳優さんはどうでしょう。 俳優さんも弁護士さんと同じく、労務さえ提供すれば報酬をもらえるのでしょうか。私は俳優の世界に詳しくないので、想像になりますが、やはりそこには期待される質的な成果というものがあって、その成果に対して報酬が支払われるものだと考えますがいかがでしょう。だとすれば、請負です。 これに反して、どんな演技であれ、真面目にやりさえすれば報酬が支払われるものが俳優だとすると、委任ですね。 いずれにしてもその境界は、判然としないかもしれません。だからこそ、印紙税法は、請負の定義において、わざわざ明文で俳優における役務の提供は請負に含まれるものとし、明確にしたものと思われます。 >それともう一つ。印紙税法の話になりますが、委任契約書で「継続的取り引きの基本となる契約書」に該当するのは"売買にかかる"ものだけでしょうか? 「継続的取り引きの基本となる契約書」は、「売買にかかる」基本契約書だけではありません。 ほかにも「請負にかかる」基本契約書も該当します(印紙税法施行令第26条)。また、そのほかにも、金融関係の契約書の中にも「継続的取り引きの基本となる契約書」に該当するものがあります。 念のため、以下のサイトで、施行令第26をご確認ください。 http://www.houko.com/00/02/S42/108.HTM >士業関係の方に作業を委任する際に交わす委任契約書(3ヶ月超。更新に関する記載有り)は「継続的取り引きの基本となる契約書」には該当しないのでしょうか? 士業関係の人に当該士業にかかる業務(作業)を「委任」する契約書は、「継続的取り引きの基本となる契約書」に該当しません。単なる委任契約書として不課税です。 しかしもちろん、士業関係の人に請負業務を委託すると、当然「継続的取り引きの基本となる契約書」に該当します。 この二つを区別することがポイントです。 なお、士業関係の人に、施行令第26条に掲げる業務を委託(委任・請負両方含む)したときは、当然、士業とは関係なく「継続的取り引きの基本となる契約書」に該当します。 グーの回答者の中にもこの点を間違えている人がいますので、ご注意ください。
お礼
再度回答頂き、ありがとうございます。 今回もお礼が遅くなり申し訳ありません。 > いずれにしてもその境界は、判然としないかもしれません。だからこそ、印紙税法は、請負の定義において、わざわざ明文で俳優における役務の提供は請負に含まれるものとし、明確にしたものと思われます。 「期待される演技」の"期待される"というところがポイントですかね。まぁ、印紙税法に明文化されている以上、仕方ないですね。 > 「継続的取り引きの基本となる契約書」は、「売買にかかる」基本契約書だけではありません。 > ほかにも「請負にかかる」基本契約書も該当します(印紙税法施行令第26条)。また、そのほかにも、金融関係の契約書の中にも「継続的取り引きの基本となる契約書」に該当するものがあります。 売買以外もあるんですね。分かりました。 > 士業関係の人に当該士業にかかる業務(作業)を「委任」する契約書は、「継続的取り引きの基本となる契約書」に該当しません。単なる委任契約書として不課税です。 > しかしもちろん、士業関係の人に請負業務を委託すると、当然「継続的取り引きの基本となる契約書」に該当します。 > この二つを区別することがポイントです。 > なお、士業関係の人に、施行令第26条に掲げる業務を委託(委任・請負両方含む)したときは、当然、士業とは関係なく「継続的取り引きの基本となる契約書」に該当します。 まずは施行令第26条に掲げる業務に該当するかどうか確認。該当しない場合は、委託内容が委任の場合は「継続的取り引きの基本となる契約書」に該当しない。請負の場合は該当するのですね。
- kazu2296
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委託は事務を処理することを目的とするもの(民法第643条の委任契約) 請負とは、労働の結果として仕事の完成を目的とするもの(民法第632条) です。 私はIT系なのですが、請負契約の場合は成果物に対する責任が問われる場合が多いです。対して委託契約は成果物に対する責任は問われません。 たとえて言うと、 請負契約:システムを作る。請負契約書を締結。契約金額に応じた収入印紙が必要。 委託契約:システムを作る人を提供する(業務を処理する人を提供する)。業務委託契約書を締結。印紙は不要(非課税)。 という感じです。 いかがでしょうか?
補足
回答ありがとうございます。 請負契約のご説明は理解できます。 委託契約のほうですが、下記URLにある印紙税法での請負の説明の中に「…職業野球の選手、映画の俳優などの出演契約…」などとあります。この記述ですと、技術や能力を提供する場合も請負なのか?という感じがします。 それと、委託契約書は、多くの場合、印紙税法上の「継続的取引の基本となる契約書」になり、収入印紙4000円が必要なのではないかと思うのですが? ●請負に関する契約書 http://www.taxanswer.nta.go.jp/7102.htm
- ayataichi
- ベストアンサー率42% (66/156)
例えば、自治体が遺跡の調査をするとき、調査現場の監理は本来自治体の仕事なのですが、それを専門の機関に頼むことがあり、それが委託になるわけです。 実際に現場で重機を使って土を退けたりするのは、自治体から業者が請け負う仕事です。 能力ではなく、立場の問題……上手く説明出来なくて済みません。
補足
回答ありがとうございます。 ご回答頂いた内容の主旨はわかりますが、実際にそのような場合、取り交わす契約書は請負契約書でしょうか?業務委託契約書でしょうか?契約内容や収入印紙の額も変わってくると思いますが?
- ayataichi
- ベストアンサー率42% (66/156)
委託契約は、本来は依頼人のやる仕事を代わりにやる場合に結ぶ契約で、請負契約というのは、一般的に仕事を完成することを約束し、依頼人が報酬を払うことを約束する契約だと思います。 どちらも仕事を完了させるのは同じ事ではないでしょうか。
お礼
回答ありがとうございます。 > 委託契約は、本来は依頼人のやる仕事を代わりにやる これは依頼人が"能力や技術的にやれる仕事"ということでしょうか? 逆に、請負契約は依頼人が"能力や技術的にやれない仕事"を頼む場合でしょうか?
お礼
ご丁寧な回答ありがとうございました。お礼が大変遅くなり申し訳有りません。 ご指摘にあるように委託と委任を混乱していました。確認したかったのは委任と請負の違いですね。 委任については民法に規定されているのですね。 委任と請負の違いは次のように解釈しました。 ■委託:他人にものを頼む │ ├委任:行為(作業や事務)を頼む │ └請負:行為の結果(成果や成果物)の完成を頼む 依頼側の能力や技術とは全く関係ないのですね。 ただ、俳優の演技が請負というのが、どうもわからないのです。それは、建築や土木の場合は、図面や仕様書等によって、結果の完成の姿が明らかになっていますが、俳優に要求される"期待通りの演技"というのは、あいまいですよね。そう言う意味では弁護士さん等の仕事に近いような感じがします。なので請負ではなく委任ではないのか?と。 それともう一つ。印紙税法の話になりますが、委任契約書で「継続的取り引きの基本となる契約書」に該当するのは"売買にかかる"ものだけでしょうか?士業関係の方に作業を委任する際に交わす委任契約書(3ヶ月超。更新に関する記載有り)は「継続的取り引きの基本となる契約書」には該当しないのでしょうか?