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成人した者の脳でも、アポトーシスは日常的に起こるものなの??
脳の中で、他のニューロンとチームを組めなかったニューロンは『アポトーシス』という神経細胞死のプログラムで容赦なく間引かれていくと、聞いたことがあるのですが。 そのアポトーシスという現象は、成人した者の脳でも日常的に起こりうるものなのでしょうか?? たとえば交通事故による外傷で大脳皮質が損傷を受けて『他のニューロンチームと接続できなくなったニューロン』はやはりアポトーシスされるのでしょうか? また、アポトーシスというものは、『そのニューロンが他のニューロンとチームを組めなくなった日』から何日ぐらい経過したら発動するものなのでしょうか? ・・・丸一日や丸三日、他のニューロンと接続できなかったくらいでは、アポトーシスはとうぜん起きませんよね? 何日ぐらい『チームを組めない日』が続いたら、そのニューロンはアポトーシスされるのでしょうか??
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- ruehas
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こんにちは。 質問者さんのご質問に参加させて頂くのはこれで二度目でしょうか、随分と熱心ですね。 私も、脳の話題は大好きです。 前回は手抜きをしてしまい、説明不足でお恥ずかしい話でした。今回はもう少し丁寧にしたつもりですが、ご質問のレベルが高いので、情報提供といった程度でご容赦下さい。 我々の脳では、1日当たり10万個単位でニューロンが減少していると言われています。これは、ニューロンが増殖・分化後は二度と分裂しない「非分裂系細胞」であるからですね。ニューロンは発生から生後に渡り急激にその数を増やし続け、二十歳あたりでピークに達します。このような成長期を過ぎますと供給がなくなり、分裂もしませんので、そのあとは減少の一途ということになります。もちろん、これは細胞というのは何らかの理由で順番に死んでゆくものだからです。ニューロンは分裂しない細胞ですが、普通の細胞は次々と分裂を刳り返し、我々の身体を新しく作り変えています。ですから、取り敢えず古いものには死んでもらわないとたいへんなことになってしまいますよね。 細胞の死には、その目的や性質に応じて「アポトーシス(プログラム死)」「アポビオーシス(計画死・計画寿命)」「ネクローシス(壊死・自然死)」という区分けがあります。この内、アポトーシスとアポビオーシスは遺伝子によって定められた「計画死」とされており、アポトーシスの役割とは以下のようなものです。 1. 生体の細胞数の調節 2. 構造形成に必要な細胞の選択 3. 機能障害のある細胞の除去 ご質問にあります、「チームの組めないニューロン」が「細胞の機能障害」のことを指すものであるならば、「容赦なく間引かれる」というのは、このアポトーシスによる、3番目の「障害細胞の除去機能」が働くというのを意味しているのではないかと思います。ですから、このような不良細胞が何日も放って置かれるということはなく、必要であれば、アポトーシスは生命維持システムとして直ちに発現し、死のプログラムはきちんと実行されなければならないはずです。 但し、アポトーシスの3番の機能が働くのは「チームを組めない」ということではなく、飽くまで細胞として障害があるというのが条件になります。チームを組まないことと、そのニューロンが不良品であることは違いますよね。 ニューロンは分裂できない細胞ですから、脳内には未使用のものが大量にストックされています。もし、そのような基準でアポトーシスの3番機能が発令されるとするならば、脳内の余剰細胞は瞬く間に一掃されてしまうはずですが、取り敢えずそのようなことは起きてはいません。逆に、チームを組んでいるいないに関わらず、細胞としての機能障害があるのであれば、それは速やかに取り除かれなければならないわけです。 ですが、1日に10万単位で障害が発生するなどということはあり得ません。ならば、脳内のニューロン減少の原因は、直ちに実行される3番機能によるものは極僅かであり、あとはアポビオーシスやネクローシスと共に、アポトーシス機能の1番、2番、即ち「細胞数調節」や「構造維持」が緩やかに進行しているためだと考えられますよね。 脳内のアポトーシスには少々特殊な性質があります。質問者さんがお聞きになったのは、恐らくそれに関する説明ではないでしょうか。 アポトーシスを発現させるのは「細胞死誘導因子」と呼ばれるものです。細胞はこれによって計画死を遂げるのですが、ニューロンには、このような信号によって発現するアポトーシスを抑制し、自分に与えられた死の指令を免れるという「生存機能(延命機能)」が発見されています。 このサバイバル機能は、ニューロンが「神経栄養因子」というタンパク質群を取り込むことによって実現するのだそうです。ニューロンは、そのような延命因子を獲得することにより、死亡因子によって引き起こされるアポトーシスを抑制して生き延びるわけですが、この神経栄養因子というのはニューロンの周囲から取り込まれるだけでなく、その接続先からも供給されるということです。 つまり、これがどういうことかと言いますと、チームを組んだニューロンは結合先から潤沢な延命因子が送り込まれてきますので、それによってアポトーシスを抑制し、生き延びることができるのですが、逆に、チームを組んでいないニューロンには延命因子の確実な供給元がありませんので、ひとたび指令が下されたなら死ぬしかないということですね。 このようなことがチームを組んだニューロンとそうでないニューロンの命運を分けているのですが、飽くまでこれは、チームを組んでいないニューロンが不良品として処理されているというわけではありませんよね。そして、チームを組んだニューロンにそれを退ける必要があるのは、障害のあるなしに関わらず発現するアポトーシス1番、2番の機能が、脳内で確実に進行しているという証拠です。 ただ、アポトーシスを退けることのできるチームを組んだニューロンに障害が発生した場合、3番の障害除去機能がどうなるのかということに就いてなんですが、たいへん肝心なことなのですが、どうしても調べが付きませんでした、ゴメンなさい。 「アポトーシスが確実に進行している証拠である」などという表現を使いましたのは、成人した脳でもアポトーシスは進行しているのかというのは、3番機能はどうしてくれるんだ、などといったことも含め、少々微妙な問題が絡んでいるからです。ですが、脳内で10万の細胞死が起きているのは事実ですし、ニューロンにはアポトーシスの抑制因子があることも確かめられつつあるわけですから、現時点では、概ねアポトーシスはあると考えて良いのではないかと思います。ただ、何処が微妙なのかというのは解釈の問題という性格もありまして、今回はちょっとパスさせて下さい。 ということでして、またしても尻切れトンボでたいへん申し訳ないのですが、全てを説明しようと思ったら限がありませんし、私の知識では所詮無理です。ですが、不明な点がありましたならば遠慮なく補足要求覧をご使用下さい。回答者の責任として、調べてでも返答します。 でも、分からなかったらゴメンね。
- panda_
- ベストアンサー率26% (96/362)
脳の神経細胞は20歳頃から一日平均20万個滅少するとされています。 つまり一日20万個の細胞が死んでいます。 また、外傷や病気でも細胞死は促進されます。
- TFLaA
- ベストアンサー率14% (1/7)
誰も回答していないようなので素人ですが知っている範囲のことを。 まずはじめに、現在の段階では脳細胞の数を正確に測定することはできません。 脳細胞の数を測定するには、死んだ脳のある一部分を切り取り、その部分の数から推測するという方法が取られたりします。 そのため、100億から1000億と推測される数にばらつきが生じます。 >そのアポトーシスという現象は、成人した者の脳でも日常的に起こりうるものなのでしょうか?? 一説には毎日万単位で死ぬといわれています。 しかし、生きている脳細胞の数を正確に測定することはできないので、どの程度死んでいるのか確認した人はいないでしょう。 質問の後半に関してですが、現在の技術ではある脳細胞Aとそれと接続している脳細胞Bを同時に測定することはできません。 (私は素人なので現在の最先端ではそういう方法が開発されているかもしれませんが・・・) そのため接続の多い細胞と、接続の少ない細胞で振る舞いが異なるのか?ということを調べるのは不可能なのです。 なので、 >アポトーシスというものは、『そのニューロンが他のニューロンとチームを組めなくなった日』から何日ぐらい経過したら発動するものなのでしょうか? に関してはよくわかっていないと思います。 ただし、これは個々の細胞レベルでの話。 mizukiyukitoさんのおっしゃるように外傷によってある領野が孤立すれば、その領野の縮小が観察できるかもしれません。 それは十分にありうることだと思います。 しかし、私は専門家ではないのでそういった研究があるのかどうかは寡聞にして知りません。すみません。 それに関しては多分専門家の方が答えてくれると思います。