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明治・大正の個人主義思想
- 明治・大正時代の個人主義思想について学んでいます。特に個人主義の思想家や西欧での発展について知りたいです。
- 明治以降、日本で個人主義思想がどのように導入されたのか、その本や論文を教えてください。また、「国体の本義」がどのように個人主義に対して批判的だったかも解説してほしいです。
- 夏目漱石が個人主義思想に与えた影響について、文学や作家としての影響ではなく、思想的な影響について知りたいです。小森陽一さんの著書も参考になるでしょうか?
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こんにちは。 思想史、面白いけど、非常に難しい分野ですね。 まず、「近代」というのがどういう時代だったか、について浚っておくと、 「強さをます体制側の国民国家への締め付けと、自我の覚醒・実現がせめぎあった時代」 と捉えるのが、一応の共通認識であるようです。 もちろん、単純な対立の構図ではありません。体制の中で自己の居場所を見つける形もありえたし、国粋で、体制外に身を置きつづけた人もいます。 さて、そうすると、個人主義とは、このパラダイムの中にあって、自己を尊重し、自己の思うところを実現するのが本当だ、という思想、ということに、一応はなると、私は思いますが、「個人主義」ということばは、そういう思想があったのでしょうか、それとも、さまざまな思想のなかに、「個人主義的傾向」が含まれる、という形で存在していたのでしょうか。 私は、キリスト教的個人主義、フェミニズム的個人主義、社会主義的個人主義という風に、それぞれの思想(もちろん、本質的に個人主義を含みえない思想もありますが)に、「個人主義的傾向」があったと考えたほうが妥当だと思います。 つまり、今度の質問者さまの発表題目ですと「夏目漱石の思想における個人主義とは」ということになります。 紹介できる資料や文献ですが、不勉強にして、ご質問にぴったりのものは挙げるることをえません。ただ、もう読んでおられるかもしれませんが、鹿野政直著『近代日本思想案内』(岩波文庫)に、日本の近代思想史がきれいにまとめられています。この種の本では白眉かな。 この辺をバックにして、三好行雄編『漱石文明論集』(岩波文庫、『私の個人主義』も入ってます)収録の漱石の文章や、三好氏の解説、また、瀬沼茂樹解説『私の個人主義』(講談社学術文庫)の解説をご参考に、まとめていかれたらいかがかと思います。三好氏、瀬沼氏とも、近代文学研究の碩学であり、文化史的研究方法をとっています。 『漱石文芸論集』(岩波文庫)の、磯田光一氏の解説も参考になるかと思います。 あと、岩波、新潮、角川各文庫の漱石作品の解説も。このあたり、一冊になった研究書より纏まっていたりして、なかなかもってばかにできません。漱石の解説は、各文庫とも一流どころを持ってきますしね。それに、漱石の研究は、文化史・文明史的な傾向が一般なようです。いわゆるカルチュアル・スタディです。 漱石は、先ほど挙げた近代の定義に、全身でぶつかっていった作家です。個人主義をテーマにするなら、全作品が資料といってもいいでしょう。 漱石の影響は、いわゆる漱石山脈の人々がまずあがります。でもこちらは、私はわからない。他の方の回答を。 今回の発表が一段落ついたら(なんてのんきなことを……すいません)前田愛氏の『近代読者の成立』(岩波ライブラリー)を、よければ、一読してみてください。こんな思想史への接近のしかたもあるんだと思わせてくれます。 あと、鶴見俊輔著『戦時期日本の精神史』(岩波書店 文庫になっていたと思います)などは必読。 以上、不完全な答えですいません。 よき発表になりますよう。
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- 石崎 大望(@hir_o_mi)
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(1)「独立自尊」を説いた福沢諭吉は外せないと思います。 なにしろ一万円札になってるくらいです(笑)。 彼の『学問のすすめと』と並んで明治初期の大ベストセラーとなり、 独立自尊の精神の普及に貢献したとされているのは サミュエル・スマイルズの『自助論』。 この本の序文にある「天は自ら助くるものを助く」という言葉は現代でも有名ですね。 明治3年に『西国立志編』というタイトルで邦訳されています。 アマゾンのブックレビューが秀逸なので、参考になるかもしれません。
お礼
アドバイス、ありがとうございます。 自助論と福沢諭吉、重要ですね。 書籍を読む余裕まではありませんが、調べて見ます!
- camera_oyaji
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(1)の参考文献としてに「リースマンの孤独な群集」はどうでしょうか? 思想ではなく、人格としての「個人主義」を社会制度の変化との関係で書いた本です。 個人主義思想発達の基盤を論ずる参考文献としてお勧めします。
お礼
アドバイス、ありがとうございます。 リースマンの「孤独な群集」については存じませんでした。 参考にしてみます。
お礼
すぐに、そして詳しくお返事を頂きありがとうございます。 たしかに、「これが個人主義だ」と考えるよりも、個人主義的傾向として考えたほうが妥当なんですね。参考になりました。 そう考えれば、国家主義者の北一輝も、無政府主義の大杉栄も個人主義者でしたね。 アドバイスを頂いたとおり、夏目漱石の解説を中心に読もうと思います。あと、「近代読書の成立」も読んで見ますね。 「想像の共同体」でも出版ナショナリズムが登場しますが、近代国家の成立と読書は関連があるので興味深いです。 ありがとうございました!