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転換社債について

証券投資論(証券アナリスト協会編)を読んでいるのですが、そのなかで、"転換社債の場合はワラント債と異なり、権利行使しても新規の資金の払い込みがないので希薄化(株主価値が希薄すると言うこと)の影響が大きい"とあります。しかし、転換社債でも、転換したらその分の負債は資本に振り変えられるため、一概にそうとは言えないのではないでしょうか

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回答No.1

デット(負債)とエクイティ(資本)を同質ものと考えられていることが、そもそもの誤解の発端だと思います。 おそらくあなたは、バランスシート上は転換社債(CB)が株式に転換されても総資産は変わらないから、何も変化はないのではないか、と思われているのだと思います。 しかし、デットは別名「他人資本」、エクイティは「自己資本」とも言うように、全く異質のものです。例えば会社がつぶれた場合、デットは債務ですから会社は弁済する責任があります(もっとも実際は弁済できないので債権何割カットとかが行われるのですが)、しかし、エクイティについては会社がつぶれればパーです。1銭も返ってきません。つまり株券は紙屑になっちゃうわけです。しかしそれ以上の弁済責任、つまり株主は自分が出資した分以上の責任は、株式会社や有限会社の場合には問われないわけです。これを「有限責任」ということは、ご存知の通りです。 さて、このような違いを押さえた上で、もう一度質問に書かれている文章を読んでみて下さい。もうお分かりですよね。通常の増資の場合は必ず金銭などの流動資産が増加しているか、あるいは現物出資の場合はその分の固定資産の増加が伴っています。つまり資本金の増加に見合う資産の増加があるわけです。しかし、CBの権利行使の場合にはそうした資産の増加が全くともなうことなく、つまり単にバランスシート上の資本の部の金額と発行済株式数の増加があるだけです。 ではこれを既存株主の立場から見たらどうなるでしょう。自分は株式の金額を払い込んでいるわけですが、CBの権利行使の結果、何も金を払わないで株式を手にできた株主がいる。しかも資本金も発行済株式数も増えてしまった。そうすると、これは単純な割り算ですが、1株当りの払込金額は減少しています。 具体的に数字をあげてみると分かり易くなります。例えば1株1,000円で発行済株式数が1,000株の会社があるとします。そうすると、資本金は 1,000円×1,000株=1,000,000円 です。そこへCBの権利行使が行われ、発行済株式数が2,000株、資本金は倍の2,000,000円になったとします。すると株価は、 2,000,000円÷2,000株=1,000円 となります。なんだ変わらないじゃないか、と思わないで下さい。実はこの1,000円は、先程の繰り返しになりますが、既存株主は1株1,000円を支払っていますがCBの権利行使者はこと株式に関して言えば1円も払っていないわけです。ここでおそらく、いや、この人達はCBを買う時に金を払ってるんだから変わりないじゃないか、と思われるかもしれませんがそうじゃありません。あくまでも質問に書かれた文章は、エクイティの部分に着目してるわけでしょ。デットを見るから混乱しちゃうんです。 で、この場合の結論は、同じ1株1,000円でも、既存の株主から見れば実質500円の価値しかなくなっていまう、ということを端的に説明したのが、その証券投資論の文章です。 ついでですが、その本は古いです。今はCBとWB(ワラント債)は一本化されて「新株予約権付社債」となっています。両者を区別しておく理由がなくなったからです。例のライブドアのニッポン放送株買収の際一躍有名になったアレです(正確に言えばこの時使われたのはMSCBでしたが)。そして特にCBは「転換社債型新株予約権付社債」 と呼ばれています。

pupilage
質問者

お礼

丁寧なご説明ありがとうございました.結局増資のタイミングが遅れただけとは考えられないのでしょうか.不学で申し訳ありません.  また、せっかく回答いただいたのに放置しておいたことについても大変申し訳なく思っています.

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