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精神保健福祉法における社会復帰施設
精神保健福祉法に規定されている「社会復帰施設」を宗教法人が設立する事ができるのでしょうか? また、設立する事のできる法人とはどれだけあるのでしょう? 申し訳ありませんが、参考になるページ等もありましたら教えてください。
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こんにちは。 ご質問の件ですが、精神保健福祉法で規定されている精神障害者社会復帰施設を経営する社会福祉事業は、社会福祉法第2条第3項第7号に定められている「第2種社会福祉事業」です。 これに対して、主に入所施設の経営を中心とし公共性がきわめて高い社会福祉事業を「第1種社会福祉事業」と言います。 第1種社会福祉事業は、社会福祉法第60条により、その経営主体は国・地方公共団体・社会福祉法人のいずれかであることを原則としています。 これに対して、第2種社会福祉事業は、社会福祉法第69条の定めにより、これら以外の法人であっても経営ができます。 つまり、宗教法人が精神障害者社会復帰施設を設置・経営することは可能ですし、実際にたくさんの例があります。 また、精神病院を経営する医療法人等による設置・経営ももちろんOKですし、その他、精神保健にかかわっているNPO法人(正式名:特定非営利活動法人)による設置・経営も広く行なわれています。 第2種社会福祉事業は、その開始から1か月以内に事業経営地の都道府県知事に以下の事項(社会福祉法第67条第1号事項)を届け出ることによって、運営が認められます(社会福祉法第69条)。 但し、実際の事業の開始にあたっては、さらに別の届出を要します(後述)。 ● 社会福祉法第67条第1号事項 1.経営者の名称(法人名、代表者名) 2.主たる事務所の所在地 3.定款その他の基本約款(定款および運営規程) そして、精神保健福祉法施行規則(厚生労働省令)の定めにより、このときに、以下の書類を必ず提出(添付)しなければなりません。 ● 届出時に添付を要する書類 ア.(法人全体および当該事業の)収支予算書 イ.(法人全体および当該事業の)事業計画書 その上で、実際に精神障害者社会復帰施設を運営するにあたっては、精神保健福祉法第50条第2号等の規定により、所定の事項を都道府県知事に届け出て事業を開始できます(★を参照のこと)。 ● 精神障害者社会復帰施設の種類(精神保健福祉法第50条の2) A.精神障害者生活訓練施設 B.精神障害者授産施設 C.精神障害者福祉ホーム D.精神障害者福祉工場 E.精神障害者地域生活支援センター なお、第2種社会福祉事業として、精神障害者居宅生活支援事業も行なえます(社会福祉法第2条第3項第7号、精神保健福祉法第50条の3の2)。 この事業は精神障害者社会復帰施設とはまた別枠で設けられているもので3種類ありますが、その1つに、ここのところ注目されている精神障害者グループホーム(正式名:精神障害者地域生活援助事業)があります。いわゆる「介助者付きの共同生活の場」です。 ちなみに、必要届出事項等は、精神障害者社会復帰施設と基本的に同一です。 ● 実際に事業を開始するにあたって届け出なければならない所定事項(★) (精神保健福祉法施行規則第31条、同第34条の2) a.施設(または住居)の名称、種類、所在地 b.事業の種類、内容 c.設置者の氏名、住所、経歴 (注1:設置者は必ずしも法人でなくともかまわない、とされている。但し、個人ではまず認められない。) (注2:法人の場合は、法人名、主たる事務所の所在地) d.定款その他の基本約款(定款および運営規程) e.建物その他の設備の規模および構造 f.運営の方針 g.利用定員(または入居定員) h.職員の定数および職務の内容 i.施設長(または住居管理者)その他主な職員の氏名および経歴 j.事業開始予定年月日 ということで、以上です。 実際にはさらに複雑な定めがあり、しかも、都道府県毎に扱いが微妙に異なりますので、ご面倒でも、都道府県の社会福祉施設運営指導担当課へおたずね下さい。その際、設置・経営マニュアルのようなものをいただけるはずです。 率直に申し上げて、ご質問の件について簡潔に記しているホームページなどは、見たためしがありません。 これは、関連法規等が非常に複雑に絡まっており、かつ、前述したように“都道府県毎に扱いが微妙に異なる”という点によると思います。 ただ、基本は社会福祉六法ですから、ぜひ、5~6千円程度と比較的安価で、書店で簡単に入手できる「障害保健福祉六法」(中央法規:刊)や「社会福祉六法」(新日本法規:刊)等から学んで下さい。むしろ必須だと思います。 それでは。 お役に立てましたら幸いです。
お礼
初めて質問させていただきましたが、ここまで丁寧に答えていただけるとは思っていませんでした。 感動しました。 誠にありがとうございます。 今後とも勉強に精進します。