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ブルックナー・ノヴァーク版の背景
一時的ですがブルックナーを好んで聞く時期がありました。 その当時に買ったいくつかのレコードは原典版でした。 フルトヴェングラーとかワルターといった世代の指揮者の演奏です。 その後,ブルックナーをあまり聞かなくなり, 時々,FMで聞くだけになりましたが, その頃からノヴァーク版を耳にするようになりました。 原典版で耳が慣れているとノヴァーク版は別の曲のようにさえ 思えるほど違いを感じます。 その後,ノヴァーク版が主流のようですが, 演奏家たちがノヴァーク版を扱うようになった背景は何ですか。 過去の質問のQNo.1250475は参考にしました。
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こんにちは。参照先の質問でも回答していたものです。 詳しく説明すると本一冊くらいになってしまいますので,概略だけご説明いたしますね(笑)。 ブルックナーの交響曲の版の問題は非常に複雑です。原因は主にふたつあります。 1.ブルックナー本人が何度も改訂している。 2.ブルックナー以外の人が本人の意図と関係なく改訂した部分もある。 で,ここが非常にややこしいのですが,最初に出版された「初版」は,上でいう2番である場合がほとんどで,これは,現在では「改訂版」とよばれています。フルトヴェングラーの演奏では,「原典版」と記載されていながらも,使っているのは「初版(改訂版)」という事があるようです。 その後,ブルックナーによる改訂以外を取り除こうという研究が進められ,まず「ハース版」,ついで「ノヴァーク版」が出版されました。ただし,ワルターくらいの時代ですと,「初版」時代の演奏慣行が残っており,他の版の演奏でもそれを一部採用していたという話を聞いたことがあります。 一般的な理解としては,ノヴァーク版がブルックナーの作曲意図をもっとも正確に反映している,ということになると思います。ノヴァーク版の演奏が多いのは,そういった事情によるものだと思います。ただし,ノヴァーク版には他者による改訂の痕跡が残ったままになっている部分が多く,ハース版の方が優れている,という考え方もある事を補足しておきます。 なお,ブルックナー自身が大幅改訂をした曲では,ノヴァーク版にも何種類か存在する曲があります(3番,4番,8番)。 ちなみに,「原典版」という版は厳密には存在しないと思うのですが, ・改訂された初版が誤って原典版と呼ばれている場合 ・ブルックナー自身が改訂をしておらず,ハース版とノヴァーク版に差がない場合(5番,6番,9番) などがありうると思います 以上,分かりにくいかと思いますが,ご参考に。 それぞれの曲にどのような版があるかについては,以下のURLをご参照ください。 http://www.pluto.dti.ne.jp/~relax/version.htm http://www.geocities.jp/nob_miminy/hayami.html
お礼
複雑な話でしたが,詳しい説明と参考URLで,よくわかりました。 ありがとうございました。