本来(江戸時代ごろ)は、「殿」は公式の場で用いる敬称。「様」は主に口頭語。どちらも目上目下は関係なしに使えますが、「様」のほうは目上に限定する傾向がつよかったようです。
現在では、「殿」は(1)きわめて公式の場合(表彰状の宛名、公的機関からの呼出状等)に目上目下にかかわらない敬称として、(2)目下の人に対する鄭重な敬称として用い、それ以外の場合にはもっぱら「様」を用います。
ちなみに、戦前までは「殿」「様」を目上目下両方に用い、身分の上下(目上目下)で字の崩し方を変えていました。目下の人には大きく崩した(草書体の)「様」や「殿」を使っていたのです。この風潮が廃れたために「殿」と「様」を使い分けるようになったといわれています。