Uの核分裂、臨界、放射線の関係…。
臨界はさきに述べられた通りです。
Uは臨界に達すると中性子を次々に放出して連鎖的に核分裂を起こします。
そのときに、中性子だの核分裂片だのγ線だのβ線だのいろいろ放出します。ちなみに広義での放射線はこの中性子や、核分裂片、β線、γ線など
高いエネルギーをもった粒子を指します。
ほとんどの放射線はコンクリートの壁や空気程度でとめることができます。
しかし、γ線、中性子などは他の放射線よりも止めにくいので、
このような事故の場合外への洩れが問題になっています。
生物に与える影響はγ線より中性子の方が大きいので中性子が大きくとりあげられる。
金(Au)、亜鉛(Zn)、銅(Cu)、ナトリウム(Na)の反応について。
これらはすべて、中性子と反応しやすい物質で、半減期も比較的長い物質で
ありふれている物質だからだと思います。
nと反応した上記の物質は、原子核内に中性子をさらにひとつ増やして(同時にγ線を出す)
やがてβ線とγ線を放出し崩壊して(異なる核種になって)安定な核種になります。
細かい反応をかくならば
23Na+n ->24Na +γ (以下 23Na(n,γ)24Na)
24Na ->β+γ+23Mg
197Au(n,γ)198Au
198Au->β+γ+198Hg
64Zn(n,γ)65Zn
65Zn ->EC(またはβ+)+γ+65Cu
63Cu(n,γ)64Cu
64Cu ->EC(またはβ+)+γ+64Ni
->β+γ+64Zn
頭に付いている数字は陽子の数+中性子の数です。
EC(またはβ+)というのは原子核のまわりをまわっている電子を原子核内にとりこむか
陽電子を放出して崩壊することです。(陽子の数がひとつ減る反応)
細かいことをいえばまだ他にも寿命の短い反応もあります。
(n,γ)でないほうのγ線はそれぞれの反応特有の物であり、
ある時点においての計数率を測定すれば、臨界を起こした時点でどれだけ
中性子をあびたのか予想できます。
ヨウドというのはヨウ素と同義でよろしいのでしょうか?(すいませんわからなくて)
ヨウ素はUの核分裂反応において間接(核分裂片がさらに崩壊して)または直接的に生成されます。
しかも気体として存在できるので、外で検出されたということは
なかから空気が洩れてきたということになるのだと思います。
検出されたヨウ素の同位体は131I,133I,135Iですが、環境放射線と比較して多かったのかどうなのかよくわかりません。
手元にある資料ではヨウ素を含む、粒子状の環境への流出はなかったと考えられるとかいてありましたが。