プロの演奏家とアマチュアの大きな違いは、1つは音量にあります。
プロの演奏を目の前で聴くと、そのすさまじい音量に圧倒されます。
またプロ級にうまい人と、本当のプロの違いは、さらにその音色に、なんというか、つややかさの違いがあります。
こうしたことは、何も力まかせに、がりがり弾いているわけではなく、弓の圧力、スピード、位置(駒からどの程度の位置で弾くか)、弓が弦にあたる角度、ビブラートの深さ、早さ等々の総合的な要因からなっており、一筋縄で拾得できるものではありません。
危ないのは、少し弾けるようになると、「とりあえずきれいな音」を出す、へんなコツを覚えてしまうことがあります。それは、最初のおっかなびっくりなボーイングから卒業できて、とりあえずは弓があっちこっちに行かず、アップとダウンが出来るようになると、なんとなくできてしまいます。
こうなると、これはこれで、居心地が良いものですから、これを脱却しようとする意志を持ちにくく、また、レッスンの先生も「本人が満足しているなら・・」とあまり注意しないこともあります。すると、いつまでたっても、何となく弾けはするが、プロの演奏を聴くたびに、「あ~あ、何で自分は・・・」と思い悩むことになります。
ですから、特に初心者のうち(ベテランになってからもですが)は、まず弓を大きく使うことに恐れない。という訓練をする必要があります。
開放弦で結構ですので、最初は全弓を全音符、次は2分音符を全弓で、段々4、8、16分音符と、一弓で弾ききる練習をすると効果があります。もちろん最初はゆっくりでかまいません。辛抱強く速度を上げてゆけば良いのです。
今手もとに鈴木の教本はありませんが、よく「立派に弾けるように」という意味の事が書いてあったように思います。
この「立派」というのが実はくせ者です。
単純に考えてみましょう。たとえばピアノ。
もし初心者がピアノの「ド」をポーンと弾くのと、中村紘子が同じことをやるのと、中村さんには失礼ですが、それほど極端には変わらないと思います。
でも、バイオリンの場合、開放で「ラ」をプーと弾くだけでも、初心者とプロの違いはかなり出るでしょう。
言いたいことは、特に初期の段階では、同じことをするのにも、バイオリンの場合相当な困難が伴う、ということなのです。この困難さのあまり、「立派」ということに対する詰めの甘さが、どうしても出てきやすいです。つまりとりあえず弾けるようになると、それまでの困難な道のりを思い起こし、それこそ「弾けるようになっただけでも立派」とどうしても、自分にご褒美をあげたくなります。
しかし鈴木先生のおっしゃっている「立派」はこれではありません。
音量はどうでしょうか、音色は、強弱は、音の通りは、音程は、テンポは、等々、こうしたことを厳しく自己チェックして、どう考えても「立派」だとしか思えないくらいなら「立派」と言えましょう。
これは開放を弾くときにもそうなのです。
立派な美しい開放弦の音。
これはこれで大変難しい技術です。ですから、基礎は基礎、曲は曲、というのでなく、どんな音を出すときにあっても、「立派に」ということを強く意識しながら弾いてください。
私もアマチュアのチェロ弾きです。ここに書いたことは全部、私の自戒と反省を込め、実感としてとらえたことです。専門教育を受けたこともありませんし、これを実践すれば上達すると、保証できるものでもありませんが、ぜひ強固な意志を持って、上達に励んで頂きたく、励ましの書き込みをさせて頂きました。
お礼
アドバイス有難う御座います。 >「とりあえずきれいな音」を出す、へんなコツ 私はまだまだボーイングすらもまともに出来ない状態ですので「とりあえず」の段階でもないと思います。 ただ、弓の持ち方に癖(?)が出来たのかどうか分かりませんが指先に力が入ったり、腕が移動していると何度も注意を受けてしまいます。 >レッスンの先生も「本人が満足しているなら・・」 趣味とはいえ真剣ですので自分が満足している以上の弾き方を教えて貰おうと思います。 >弓を大きく使うことに この方法は早速使います!!いつも練習でやっているとはいえ目から鱗が落ちた気持ちです! 励まして頂き本当に有難う御座います。「立派な美しい開放弦の音」に辿り着くまで遠い道のりだと思いますが精一杯頑張ります。 最後に…私から言うのもなんですがpaulus99様もチェロ頑張って下さい!!