取立命令と転付命令の比較検討
事例
預金差押の決定を得て、第三債務者から預金があるとの回答書が届きました。
具体的な取立方法及び別途転付命令を得ておくとどう違うのかについて検証してみましょう。
債権差押命令の場合、債務者に差押命令が送達された後1週間経過すれば、取立てることができます。
→参照条文:民事執行法155条
ⅰ具体的方法⇒債務者に差押命令が送達され、1週間を経過後に、第三債務者である銀行対し支払いを文書で請求します。電話請求も可能ですが、相手方の確認が困難なためスムーズに運ばないことが多いです。
ⅱこの請求文書には、上記民事執行法の規定を記載します。また、請求書には差押命令の写し、債務者への送達日のわかる資料の写しを添付します。銀行が独自の書類を求める場合、上記の書類を送付すれば、通常、第三債務者=銀行から問い合わせがきます。
ⅲ差押命令と転付命令を同時に得ることは実務上多いですが、転付命令が必ずしも有利とはいえません。
ⅳ転付命令は、それが確定した場合、債務者が第三債務者に対して有する債権が差押債権者に強制的に譲渡されたのと同じ結果となり、確定後取立までの期間に他の債権者が同じ債権を差し押さえても、その債権者に優先して弁済を受けることができるメリットがあります。
ⅴしかし、転付命令は債権譲渡を受ける結果、第三債務者に資力がなく、結果的に債権取立てができなくても、再度その債権額を債務者から回収できなくなるデメリットがあります。
ⅵ保全命令などの担保を立てるために銀行や法務局に供託(支払書証委託)された際の債権を差し押さえる場合、その回収のため担保取消し決定の申立をする必要があるので、その場合には転付命令をもらう必要がありますが、その他の場合には転付命令を得る必要性は低いと考えます。
お礼
ありがとうございました!大変分かりやすかったです。またよろしくお願いします。