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経済学の「限界費用」について
現在社会人ながら経済学を勉強しています。 そこでどうしても「限界費用」の概念が理解できず、 悩んでいるところです。 何故「限界費用」は完全競争市場では、プライスとイコールになって、さらに「限界利益」とも同じ数字になるのでしょう。 「平均費用」で物を作って、市場で決まった値段で物がうれてその差が利益がでるんですよね? 「限界費用」はもう一つ物を作るために必要なコスト、 という説明が多いのですが、 かかったコストで物が売れても利益はゼロじゃないか、 と考えてしまいます。 小学生でもわかるような説明でよろしくおねがいします!
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表がありますので、ウィンドウを適当な幅に広げて等幅フォントで見てもらえるとありがたいです。 2.完全競争市場について さて次に、完全競争市場での利潤最大化について考えてみましょう。 完全競争市場では、個々の企業は市場全体への影響力はほぼ無いという状況です。感覚的には、私達一人一人がスーパーで買い物をするときのような感じでしょうか。野菜を買いに行って、そのときに「私がこのたまねぎを買うとたまねぎの需要が増加するからたまねぎの価格が上がるだろう」とは一般庶民は思いませんよね。それは、自分の買い物の規模が市場全体に比べると余りに小さくて、自分の買い物が市場の実勢に影響を与えることはほぼないと無意識にせよ感じているからですね。それと同じように、完全競争市場では企業は自分の生産量の変動が市場価格を変化させることはないと考えているのです。 (余談ですが、こういう、個別に見れば、企業や人の行動が全体に与える影響は無視できるけれども、しかし全体としては大きな現象が起きているという状況(社会現象)を分析することにこそ、経済学などの社会科学の醍醐味があると思いますね。) したがって、完全競争市場では、企業の(もう一つ売ったときの)限界収入は、そのときの価格にほかなりません。つまり、完全競争市場では、企業は、 ● 「限界費用 = 価格」 となるように生産量を決めればいいというわけです。 ここで卵焼き業者の例に戻りましょう。今、市場価格は100円ですから、最も大きくもうけるには、限界費用が100円になるように生産量を決めればいいわけです。 ここで、確認していただきたいことは、限界費用=価格だからと言って、利潤総額がゼロだとは言えないということです。これは次のような例で確認できます。(限界費用についての仮定を変えています。) 個数| 1| 2| 3| 4| 5| 6| 価格|100|100|100|100|100| 100| 限界費用| 10| 30| 60|100|160| 220| 限界利潤| 90| 70| 40| 0|-60|-120| ある卵焼き業者の生産費用がこのようになっているとすると、生産個数が4個の時、ちょうど価格=限界費用となって、限界利潤(経済学では「利益」より「利潤」を使います)はゼロになっています。しかしこのとき、この業者の利潤は、 1個目では90円を儲けて、2個目では70円を儲けて、… というわけで、200円になっています。5個目、6個目では逆に儲けが減っていくので、4個生産したときの200円が最大の利潤になっています。(個数が小さすぎて限界費用の変化がピンと来ない時は、単位を千や万に読み替えてください。) え?4つ生産するってのは4つまとめてでしょ、だったら1つ目でいくら儲けて、2つめでいくら儲けてって順繰りに考えるのはおかしいんじゃない?と思われるかもしれませんね。 実は、そこには平均費用と限界費用の違いがあるのです。簡単のために固定費はゼロで総費用を考えてみましょう。 1個生産のとき → 総費用は 10円 2個生産のとき → 総費用は2つめ生産に +30円かかって 40円 3個生産のとき → 総費用は3つめ生産に +60円かかって 100円 4個生産のとき → 総費用は4つめ生産に+100円かかって 200円 というふうに増えていきますから、平均費用は、 個数| 1| 2| 3| 4|… 平均費用| 10| 20| 33| 50|… となっていきます。つまり、4個生産時には、平均費用は1個50円なので、1個あたりの平均的な儲け(限界利潤ではないですよ)は50円であり、総利潤は200円なのです。 4個目を作るときの限界費用は100円だけど、平均費用は50円。ピンと来ませんか? この表の場合、だんだんと限界費用が増えていますね。これは、生産量が増えると次第に効率が悪くなっていっている様子を表しているのですが、この場合の限界費用と平均費用の関係は、こんなふうに考えてみるといかがでしょうか。 3個生産の平均費用は33.3円ですね。4個目を追加するには100円の費用がかかります。 この100円は、33.3円の平均費用に能率悪化分の66.7円が加わったものだ、と見るわけです。この66.7円の負担は、生産個数全体である4個全体にかかってきて、1個あたりの単価を 16.7円ずつ押し上げます。その結果、単価が50円になるというわけです。 ともあれ、このケースだと、卵焼き業者の利潤はゼロではありませんよね。というわけで、 ●完全競争市場であっても、総利潤はゼロとは限らない ということになります。 ではなぜ、完全競争市場では利潤がゼロになるということが言われるのか。 それは、単純に言うと、 利潤が正→市場参入者>退出者→企業数増→供給増→価格低下→企業利潤減少 利潤が負→市場参入者<退出者→企業数減→供給減→価格上昇→企業利潤増加 という市場全体の調整メカニズムを想定しているからです。 つまり、「完全競争市場→企業利潤ゼロ」というのは、利潤最大化と限界費用の話とはまた違った筋になります。 それから一言追加すると、この市場メカニズムからわかるように、「利潤がゼロ」というのは、「全く儲けがない」ということを意味しているわけではありません。市場への参入(退出)は、その市場で活動すれば他の市場よりも利潤を多く(少なく)獲得できるという判断に基づいています。ですから、「利潤がゼロ」というのは、あくまで他で得られる利潤と同じ水準、言い換えると「他に比べて特に旨みがあるとも損する市場だとも言えない」という意味なのです。 長々とご説明しましたが、いかがでしょうか。的はずれでしたらごめんなさい。その場合は後学のために、的はずれの点をお教えいただけるとありがたいです。
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- Y_D
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補足要求に答えてくださり、どうもありがとうございます。 何がわかっていないのかがわからないとのこと、そうですね、はじめは何でもそうですよね。 思い悩むのを続けているうちに、疑問の中心が見えてきて霧が晴れてくることがありますから、ねばり強く考えてみてください。 さて、そのお役に立つかどうかわかりませんが、少しでも考える手がかりにでもなれば、ということでいくつかご説明してみましょう。 長くなりましたので、2つに分けてご説明します。 1.まず、「利潤を最大化する」ということについて考えてみましょうか。 例にならって、卵焼きの製造販売で考えてみましょう。 仮定 1.(ある決まった大きさや質の)卵焼きの価格は100円。 2.(全部での何個目かはわからないが)今、もう一つ作る費用は50円。 さて、この一つは作るべきでしょうか。これがこの卵焼き業者が直面している意思決定問題です。 ここで、作るか作らないか、という2つの選択肢が業者に何をもたらすかを整理してみましょう。 ●作れば儲けは50円増える。 ←→ 作らないなら儲けは増えない。 と、こういうことですね。他には一切の違いがないとしておきましょう。 この状況では、普通の判断では「作るべきだ」と考えるだろう、とミクロ経済理論では考えます。なぜなら、ミクロ経済理論は、「企業というものは、なるべく利潤を増やそうとするものだ」と見なしているからです。(利潤最大化仮説) なぜそう考えるのかと問われれば、ちょっと簡単には答えられないのですが、ミクロ経済学では、「通常、人間や企業は、何であれ、そうすることが自分にとって望ましいとわかっているならば、そうしようとするだろう」と考えるんですね。例えば、食品を選んでいる消費者なら、同じ価格ならまずいものよりおいしいものを選ぶだろうというように。企業であれば、営利組織ですから、1つ余計に作れば50円儲かる機会を(十分に知っているにもかかわらず)みすみす見逃すようなことは通常しないだろうと考えるわけです。 つまり、ミクロ経済学で最も基本となる考え方は、 「もう一つ作れば今より利潤が増える→こりゃ好都合だ→じゃあそうするよ」 ということなのです。 さて、この発想を繰り返すと、こうなります。 ●「あともう一つ追加」が更なる儲けを生む限り、生産量を増やし続ける (逆の場合なら「『あともう一つ減産』が儲けを生む限り、生産量を減らし続ける」) では「『あともう一つ追加』が更なる儲けを生む」とはどういう状況でしょうか。再び卵焼きの例に返ると、「あともう一つ」にかかる費用よりその販売収入が多いなら、その分儲けが増えるわけですよね。つまり、式で表せば、 「あともう一つ」にかかる費用 < 「あともう一つ」の販売収入 :儲け増える 「あともう一つ」にかかる費用を「限界費用」と呼ぶわけですから、それとペアで、「あともう一つ」の販売収入を「限界収入」と呼びましょう。すると、この式は、 限界費用 < 限界収入 :儲け増える ということです。したがって、 「限界収入が限界費用を上回る限り、企業は生産を増やすほうがトク」、逆に、 「限界収入が限界費用を下回るなら、企業は生産を減らすほうがトク」 ですね。 つまり、「限界費用 < 限界収入」の状態で生産量がとどまっているのであれば、その企業は儲ける機会を犠牲にしているわけですし、また「限界費用 > 限界収入」の状態で生産量が固定されているならば、直ちに減産するのが望ましいわけです。ということで、 ●企業が利潤を最大にできるのは「限界収入 = 限界費用」の場合だけ ということが分かります。今までの議論に「完全競争」などの市場の要素は全く入りませんでした。ということは、この定理は市場競争の状態とは無関係に成立するということです。完全競争市場であれ独占市場であれ、企業は「限界収入 = 限界費用」が成り立つように生産量を決めれば、儲けが最大になるというわけです。 ですから、「卵焼きが100円で売れた時、その内の50円は限界利益だ」というときに「企業がそんな世界の中、何故利潤を最大化するのか」に対する答えとしては、 1.「そんな世界の中」では企業は利潤をまだ最大化していない(儲け損なっている) または 2.「限界利益」が正だからこそ、企業は増産して利潤を高めようとするのだ ということになります。 (続く)
- Y_D
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一つ、keng-changさんにおたずねしたいのですが、わからないのは、限界費用=限界収入となることがわからないのでしょうか。それともそれはわかっているのだが、完全競争市場ではなぜ利潤が(長期には)ゼロになるのがわからないということでしょうか。
補足
本当に何が分かっていないのか説明が分かりにくいのが申し訳ないのですが、 例えば、現実の世界(できるだけこの世界に置き換えて考えたいのです)で卵焼きを作るなら、 フライパンとガスコンロが固定費で、 卵と脂と塩は可変費用になりますよね。 そして、卵焼きを作りつづけると、それは絶対に市場でつけられた値段で売れるんですよね。 例えば100円なら100円で。 でも総費用は変わります。この傾きが限界費用だという事も分かっていたのですが、 まず、その限界費用って現実世界では何にあたるんだ?という疑問がまずあり、ここに書き込みました。 それは、下でmaotarouさんが答えてくださったように、 その瞬間瞬間で追加する卵などの値段だ、という事がわかりました。 そして、限界費用=限界収入(MC=MR)ってどんな状態だ?と次に考えた時、 現実の世界だと、例えばその時の限界費用が50円かかってたとすれば、卵焼きが100円で売れた時、その内の50円は限界利益だな、という事が大体理解できました。 そして、企業がそんな世界の中、何故利潤を最大化するのか?という疑問が出てきたのです。 でもそれは、利潤を最大化した点が完全競争市場ではゼロになる、という事なのでしょうか? そんな感じで、疑問自体も漠然としているのです。 限界、という言葉の意味や、微分の話しも本を買って大体は理解できたのですが、ミクロ経済学、と言う点で包括的に見た場合、思考が分散してしまい、まだまだ理解に苦しんでいます。 なので質問自体が漠然としてしまいます。 申し訳ないです。 Y.Dさんのご質問は、お答えすると、 両方しっかりとはわかっていません。 MC=MRに何故なるかと聞かれれば、 それは完全競争市場だからだ、としか思いつかないし、 完全競争市場では利潤が何故ゼロになるのかと聞かれれば、 市場でその値段に決まるから、としか思いつかないのです。 まだそんなレベルです。 1日48時間ぐらいあればもっと本を読むのですが、、、。 でもそんなに時間があれば逆にもっと働かされて終わるかもしれないですけどね、、、。
- maotarou
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こんにちは。小学生にも分かるかどうかは謎なのですが・・・ 限界費用と平均費用を混同しているので、絡まってしまっているのかな?と思います。 ◎限界費用について 平均費用というのは、総費用/生産量であらわされますが、 限界費用はこれから+1単位作るための費用なので、総費用曲線の傾きで表されます。(総費用曲線の式を微分して得られる) ところで、総費用曲線はS字型みたいなカーブを描いていますよね?これは、人件費や光熱費等の関係で、少量を生産する時には、限界費用が高く、多く生産するほど安くなり、初期投資分を超えて生産するとまた、余分に費用がかかるようになることを表してます。 (例えばなんですが、3個の卵を焼けるフライパンで1個の卵焼いても3個の卵焼いても光熱費は変わりませんよね? ということは、1個の卵焼いた時の限界費用は、光熱費+卵代だったけど、2個目、3個目の卵焼いた時は、限界費用は卵代だったんです。割が良くなっています。光熱費も一緒くたに考えて3で割る平均費用の考え方とは異なってきます。) 限界費用を理解するためには、「総費用曲線」を読み返してみると分かりやすいと思います。 >「平均費用」で物を作って、市場で決まった値段で物がうれてその差が利益がでるんですよね? これはちょっと違います。総費用でモノをつくります。限界費用は一定でないので、生産を増やすと効率が良い場合と悪い場合があります。だから、生産者は最適な生産量を考えようとします。 >「限界費用」はもう一つ物を作るために必要なコスト、 という説明が多いのですが、 かかったコストで物が売れても利益はゼロじゃないか、 と考えてしまいます。 企業の利益πについて π=TR-TC=pq-TCですが、 TC=MC×qと考えていませんか? 総費用曲線の座標は横軸はqですが、縦軸がpでなくて、傾きがpなので、TC=MC×qでないです。(多分ここがひっかかった原因な気がするのですが) 企業の利益については、図を使った解説が分かりやすいと思うので、解説書を読み込んでください。(TR-TCが最大になる生産量はいくらか考えるという方針です。) ただ、もうちょっと読むと出てくると思いますが、長期では確かに企業の利潤はゼロになります。(短期的に利潤のある企業が存在すれば、もっと安く売って利益を得ようとする企業が新規参入するはずだからという理由ですが。。。) 石川秀樹さん/中央経済社の「経済学入門塾」は分かりやすいのでおすすめです。 あと、公務員試験参考書の経済原論なんかも良いですよ。 頑張ってください!!
お礼
回答ありがとうございます! 励ましの言葉までいただきましてかなり嬉しいです。 フライパンと卵焼きの話しで大体理解できました。 文系の人間なので、たとえ話しがないと、難しいのです。 例えば、税務会計で、「限界利益」と言えば、 売上から変動費(経済学で言う可変費用)を引いたものだな、と理解していたので、 それの逆?ッてことは何?と、混乱していました。 不完全競争市場も同時に勉強していたので、 利益を出す前提があり、そこも混乱していたのが原因にあると思います。 その他書いていただいた事も、今はぼんやりしてますが、 全く解からないわけではないので、ゆっくりと理解して行きたいと思います。 ありがとうございます!
>「限界費用」はもう一つ物を作るために必要なコスト、という説明が多いのですが、 >かかったコストで物が売れても利益はゼロじゃないか、と考えてしまいます。 これはまったくそのとおりで、完全競争の場合、 生産者にはモノを生産するインセンティブはありません。 2つ論点があります。 1.完全競争なので、利益が出る(1円でも0.0…01円でも)となると 参入してくる企業が出てきてしまうため、極限として、価格=限界費用となる。 2.「極限として」とは結局、生産者数は無限にいることを仮定している。 完全競争市場は所詮数学モデルで、理想極限としての意味しかありません。 現実の市場を理解するには力不足です。 参考文献として、「ゲーム理論と蒟蒻問答」を挙げておきます。 戯曲形式である意味読みやすいですが、中身はかなり専門的かもしれません。amazonのレビューに 「この本はゲーム理論が判っている人が改めてゲーム理論を見直すためのネタぐらいにしか使えないだろう。 」 とありますが、これはそのとおりです。
お礼
回答ありがとうございます! 完全競争市場というのも、経済学がとっつきにくい原因の一つでした。 単純なモデルのはずなのに、、、。 結局完全競争市場では生産者にインセンティブはないのですね。 ゲーム理論の本は先々読んで見たいと思います。 まだまだ初心者なので、もっと簡単な本から読みます。 ありがとうございます!
- daisyan
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経済学を勉強していると言うのが本当ならば、「平均」概念と「限界」概念の基本を勉強してみてください。 「ミクロ経済学」の入門書の解説を読んでも理解できないのであれば、ここで限られたスペースで回答を与えても理解は無理ではないでしょうか。
お礼
お返事遅くなってすいません、、、。 ホームページのトップページにして、 何度か読んでる内に仕事が忙しくなり、中々読めずにいました。 本当に長く詳しく書いていただき感謝しています。 ありがとうございます。 ここまで書いていただいたのなら理解できると思いますので、ゆっくり読んで、理解していきたいとおもいます。