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粘土の堆積する場所について
中学校の地層の学習では、レキ・砂・泥が海底に堆積すると学びますが、粘土も同じように海底で堆積するのでしょうか。粘土は粒の直径が0.002mm以下となっていますから、泥よりも遠くの沖合に堆積するのでしょうか。調べたところ、粘土は川底や湖底にできると書いてありましたが、どういうことでしょうか。生徒からの質問で困っています。教えて下さい。
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粘土は、粒の大きさで機械的に分類されている砕屑性堆積物の一種ですが、幾つかの特殊な性質を持ちます。 まず、主に長石や雲母類の風化によって化学的に作られる粘土があります。 風化を受けることで、長石や雲母類が「粘土鉱物」に変化します。 粘土鉱物に変化した鉱物(長石など)はオリジナルの結晶の堅固な性質が失われ、チョークやラムネ菓子など、粉末のかたまりのようになってしまいます。 このような粘土が、流れのゆるい川底や湖沼底、水田、干潟などで大量に生成されます。 沖積平野の地下には、この様にしてできた粘土層が広く分布することがあります。 関東地方では、関東ローム層にはさまれて、「板橋粘土層」や「常総粘土層」「川口粘土層」などと呼ばれる粘土層を複数観察することができます。 粘土層上面には、しばしばクラック(干裂:干割れ)の痕跡が観察され、また、場所によってはアシのような植物片を多く含むことから、この粘土層が深海底ではなく、ごく浅い環境で生成したことがわかります。 また、長石に富む流紋岩や流紋岩質の火山噴出物(火山灰)などが風化して、主に陸上で大量に生成されることもあります。 これらの粘土は「陶土」として、陶磁器の生産によく用いられます。 一方、大洋底には「軟泥」(ooze:ウーズ)と呼ばれる種類の粘土堆積物が大量に存在します。これらの起源は主に3種類があります。 1)堆積物の最終到達点としての堆積。 つまり、河川から海へ、沿岸から沖へと、小さい粒子ほど沖に運搬され、堆積したもの。 2)プランクトンの遺骸の堆積。 主に放散虫やナンノプランクトンと呼ばれるプランクトン類の遺骸が、長い時間をかけて大量に堆積していることが知られています。 しばしば卓越するプランクトン名を冠して「放散虫軟泥」等と呼ばれることがあります。 プランクトンの遺骸が沈降する様子は「マリンスノー」として知られています。 3)化学的沈殿作用による堆積。 火山島周辺では、大量の二酸化ケイ素が供給され、これらが海水中で凝固して沈殿した場合、沈殿物のサイズは粘土に分類される大きさとなります。 実際の堆積物はこれらの組み合わせによって形成されているといえます。 以上のような大洋底で堆積した軟泥のうち、特に2と3に起因するケイ質の堆積物が続成をうけて岩石になったものを、チャートと呼びます。 チャートには、放散虫などのたくさんの化石を含む、主に2の原因で堆積したものと、ほとんど化石を含まない主に3の原因でできたものが知られています。
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- boravw
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高校の地学の教員をやっています。 中学校の範囲では回答者2番の方が答えたような内容までは学習しません。基本的な海底で堆積する場合を教材として取り扱っています。 ちなみに級化層理(堆積物が水流に沈む過程で、粒の大きいものから順に沈んでいく作用。ふるいにかけられたように上に行くほど粒が細かくなっていく)によっても粘土が堆積します。この場合、水の流れが極力少ない状態での堆積になります。特殊な条件ですが・・・・
- shift4
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2番目に回答した者です。 「二酸化ケイ素が海水中で凝固して沈殿するというところ」が分からなかったとの事ですので、少し補足します。 それには次のようなシナリオが考えられます。 二酸化ケイ素は主に熱水(温泉)によって海水中に放出されます。 地下でマグマに熱せられて高温になった地下水には、たくさんの二酸化ケイ素がとけ込みます。 これが海水中に海底温泉のような形で放出されると、温度が下がり、溶解度が下がって余剰な二酸化ケイ素は固体となって沈殿すると考えられます。 補足ついでに、粘土が生成するもう1つの状況を紹介しておきます。 それは断層地帯です。断層には教科書などで紹介されている、スパッと切れてずれた様なものの他に、ずれ部分に破砕帯を伴うものがあります。 破砕帯の岩石は、岩盤のずれのエネルギーによって、粉々に破砕されます。ここでは岩石が砕かれ物理的に粘土が形成され、また、細かく破砕された岩石は水の浸透がよくなって、前の回答で紹介した化学的な粘土化も促進されます。 この様にして形成された粘土を「断層粘土」と呼びます。
お礼
なるほど。勉強になりました。本当にありがとうございました。
- umi_kz
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粘土の詳しい説明は他の方々がされているようですので、ここでは割愛しますが、ご承知のように粘土はもっとも細かい粒度分類の粒子です。 川などの流水で削られた地層は、流れが緩やかになるに従い、つまり下流になるに従い、重いものから順番に沈降・堆積していきます。ですから、流れが比較的速いところでは礫のような大きなものが沈降しますし、湖沼などの流れがほとんどないところでは粘土のような細かい粒子も沈降・堆積するわけです。ですから海洋底に限らず粘土は堆積します。
お礼
よくわかりました。ありがとうございました。
- shun-oka
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粘土は泥の一種です。ですから海底にも堆積します。 泥の定義は粒径が16分の1mmです。泥はさらに細かく2種類に分けることができ、一つは「粘土」、一つは「シルト」です。粒径が16分の1mmから256分の1mmまでのものは「シルト」と呼び、256分の1mm以下のものは「粘土」と呼びます。Berger(1974)によると、北太平洋の海底のほとんどは、粘土が堆積しているそうです。 参考にしていただければ幸いです。
お礼
粘土は泥の一種だったんですか。ありがとうございます。川で運ばれた粘土が太平洋全体に堆積するなんて考えにくいですよね。
お礼
粘土のでき方から、種類まで大変詳しい解説ありがとうございます。また、チャートについてもよくわかりました。3の二酸化ケイ素が海水中で凝固して沈殿するというところだけよくわからなかったのですが、また勉強してみようと思います。