日本では、「英語の偏差値」 と 「英会話の実力」 とは全く違うものです。
一般的に偏差値の高い大学に通う学生は、何となく英会話も上手であるかのようなイメージがあると思いますが、これは明らかに違います。
東大や京大のような偏差値が極めて高い大学に合格するには、気が遠くなるような長文を短時間で読解する力、豊富な単語量、前置詞の正しい使い方など、「会話」 とは全く異なる世界の勉強をしなければいけません。
堀江社長はこの世界の方でしょうね。
一方、「英会話」 の実力を上達させるには、そのような勉強は不要です。
よく言われるのですが、単語にしても中学の三年間で覚える単語量で簡単な日常会話には充分だと思います。 また前置詞にしても、英米人自身が結構アバウトな使い方をしているケースもあります。
海外赴任を命じられた父親に連れられてアメリカで数年生活した経験を持つ帰国生の場合など、その典型ですよね。
予備知識なんて何も無いのに、現地の子供たちと遊んでいる内に、知らないうちに英会話を身に付けていきます。 それには大学の試験に出るような 「長文読解」 の能力なんて全く必要ありません。
以前、私が通っていた英会話スクールの外国人先生に、冗談半分で日本の大学入試に出る英語の問題を見せたところ、「How trucky !」 と言って、目を丸くしてビックリしていました。 それでもお願いしてやってもらったら、たしか70点くらいしか取れなかったように記憶しています。
それに前置詞の四択の問題でも、実際の会話では 「正解がふたつあるケースもある」 と言っていましたよ。
それとか、たとえば朝、駅で偶然会った友人と少し話をして分かれる時、ジャーなという感じで 「Have a nice day」 と声を掛けられた時、一般的には簡単に 「You, too」 と応えればいいのですが、こんなのは学校で習わなかったですよね。 少なくとも、私たちが学校で教わった教科書には出てこなかったし、先生も教えてはくれなかったです。
そもそも英語なんて英米人と意思の疎通を図る 「道具」 であって、決して数学や物理などのように学問の対象にする事自体がおかしいのです。
このように、大学の入試で出るような問題が解けるといっても、必ずしも英会話が出来るとは限らないと言えますし、堀江社長なんてその典型でしょうね。
考えれば、私たちは普段日本語を何の不自由もなく使っていますが、だからといって大学入試に出る 「現代国語」 の試験で満点を取れるとは限らないのと同じだと思います。