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マルテンサイト変態による体積膨張のメカニズムについて
共析鋼をオーステナイトの状態から急激に冷却した場合、変態の完了していない部分は、約200℃までそのまま冷却され、その後、急激に膨張し始めて、室温になるまで膨張し続けるとありますが、そのメカニズムについて詳しい方がいらっしゃいましたら回答宜しくお願いします。
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こんばんは。 まず、これは「冷却速度」に関係してきます。 金属の熱処理学の場合は、共析鋼とは言っても、冷却速度によって全く違う変態、組織構成を持つということを念頭においてください。 共析鋼C0.8%で冷却速度150℃/sec、完全焼入れを想定します。 オーステナイトの状態から急激に温度が降下し、200℃付近のマルテンサイト変態点Ar"に到達するまで、オーステナイトは『過冷却』状態のまま結晶構造を変化させません。 しかし、マルテンサイト変態点に到達すると、「過冷却」が打ち破られ、マルテンサイトに変態しはじめます。 この場合、面心立法格子の過冷オーステナイトが、マルテンサイトの完全な体心立法格子に変態を起こし、急激な体積膨張をおこします。 理論的に共析鋼のマルテンサイト変態の終了点Mf点は100℃より上で、Ar"より下です。Mf点は冷却速度によらず不変です。つまりMfにはマルテンサイト変態が終了しますので、マルテンサイト変態による膨張は起きません・・・と言いたいところですが・・・・実際には室温付近までマルテンサイト変態が続き、膨張が継続します。サンプルの深部温度が表面より高いと言う意見もありますが、私は過冷却から析出の場合、確率的に結晶ごとにムラがあるためだと思います) 共析鋼より高炭素な過共析鋼(C0.8%より上)になると、室温以下までMf点が降下するので、室温まであるいはそれ以下の温度までマルテンサイト変態が継続し、体積膨張が継続します。(またMf点の降下で普通の焼入れをしても、室温より下でマルテンサイト変態をせず残っているオーステナイトを「残留オーステナイト」と言います) また合金鋼種が変わると、メカニズム、各論が変化しますのでその時は、別の質問でお願いします。
お礼
Ivaneさん、回答ありがとうございます。 お礼が遅くなって大変申し訳ありませんでした。 私が疑問に思っていたのが丁度共析鋼についてでしたので、大変参考になりました。どうもありがとうございました。