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小説の「献辞」について

小説を読む前に「献辞」が書かれてあると、その小説の背景とか 小説家の身辺に少し思いをはせることができます。 どうして「献辞」を書かれるのでしょうか? 意図があるのでしょうか?

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回答No.1

 もっとも多いのは、その本の内容が献呈される相手に深くかかわるものである、という場合です。この本はたくさんの読者のために書きましたが、そのなかでも特にあなたに読んでもらいたい、という意味でしょう(小説以外にも、詩や批評、論文に献辞があるものもあります。大野晋さんのある論文に「橋本進吉先生〔大野さんの先生〕に」という献辞がついているのを見たことがあります)。  例えばクラシックの曲にもよく献辞がありますが、これは初演者やアテ書きをした相手、演奏してほしいなと思った演奏者(ゆえにたいがい作品完成の時点で生きている人が対象になる)などが選ばれます。すべての人に演奏し、鑑賞してほしいけれど、そのなかでも特にこの人のために、ということでしょう。  献呈される相手は、作者の知合いのなかでも比較的有名人であることが多いようですが(そのほうが「なぜこの人の献呈されるか」が一般の読者にわかりやすいから)、吉田健一さんの『英国の文学』のように「父〔吉田茂ですが〕に」というものもあります。吉健さんが英国に親しんだのは吉田茂が駐英大使であったためですから、これも当然といえば当然かもしれません。  以上のほかにも、その作品の成立にあたって、あるいはその作家の生活に援助を与えてくれた協力者やパトロン、パトローネに感謝の意を示すために献呈する場合もありますが、これは十九世紀以降はきわめてまれになります。あるいはブラームスのようにちゃっかり恋人に献呈している人もいます。  要するに作品をだれにプレゼントするか、ということですから、その人その人の事情であると言えます。

emeline
質問者

お礼

kankasouro さま、ご回答いただきありがとうございました。 楽曲にも献辞があること、今回初めて知りました。 うれしい贈り物ですね!

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