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日本経済の歴史についての質問
- 第一次世界大戦時の金本位制禁止と再開に関する疑問
- hard money approachとは何か
- labor productivityの上昇と円価値の関係についての質問
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1.まさにPPPレート(購買力平価仮設)が出てきた 時代の話です。 そもそも金解禁の目的は、金本位制に復帰することで、 為替レートを安定化させ、それによって貿易を促進する 、という事が大きな狙いでした。 しかし、お書きになられている通り、第一次大戦後の 日本ではインフレが進んでいます。インフレが進んでい るというのは、日本の物価がこれまでに比べて上昇して いる、という事です。 なので、ご承知の通り、 購買力平価説(PPPレート)= 日本での価格(円)÷海外での価格(現地通貨) となりますから、日本での価格が上昇した場合、 それに伴ってPPPレートが上昇しなければ均衡 為替相場に対して乖離することになります。 当時の為替相場の実質的な取引価格から乱暴に言えば、 旧平価:1ドル=2円 購買力平価で図った実質的な平価:1ドル=3円 程度であったと考えていただくと解り易いでしょう。 そして、井上蔵相は旧平価での金解禁を実施しました。 これは、いまの日本で言えば、一ドル100円だった ものを、一気に66円まで切り下げたようなものです。 貿易を促進させる筈の金本位制復帰が、凄まじい交易 条件の上昇(輸出条件の悪化)を齎してしまったという わけです。 2.非常に簡単に言えば、インフレを抑えるために マクロでの予算制約を厳しくする政策体系のことです。 財政の利払い費を含めた純計黒字を出すことで、為替 政策を安定化させると言っても良いかもしれません。 具体的な政策手段としては国営企業への資金供給の 打ち切り、民営化や、財政支出(福祉支出、軍事支出) の削減、増税などを挙げることができるでしょう。 3.労働生産性が上昇し、円の価値が高くなると、 「ドル建て(国際通貨)で見た」日本の賃金が上昇する 、ということです。要するに一ドル200円が100円に なれば、ドル建ての日本の平均年収は15000ドルから 30000ドルになります。 なんとリッチな話でしょうという事になりますが、 内外価格差の為にそう簡単に労働者の購買力上昇は 起こらず、仰るように日本国内の輸出は伸び悩み 、企業が海外に生産拠点を移したりしますから、 かえって「労働コスト高」のデメリットだけを受けて しまうという事もありえます。 4.単純化して言えば、ひとつにはアメリカの景気が 当時は凄く良かったため、日本製品に対する需要が衰 えなかったことがあります。また、こちらのほうが 大きな理由ですが、企業が市場指向型の価格設定を 行い、為替相場の変動分を直接市場価格に載せず、 自己利潤の圧縮を行ったことが挙げられます。 これが可能だったのは、当時、円は独歩高ではあり ましたが、対ヨーロッパ通貨ではさほどの上昇幅では なかったために、アメリカ向けの市場価格の低下分の 差額をヨーロッパでの実質価格に織り込むことで、 多国籍企業内部の価格調整を行い得られる環境にあった 、ということは指摘されます。 もっとも、ここで書いているように、貿易額が変わら なくても、貿易による企業利潤は圧迫されており、 価格調整分を補うため、大手メーカーは傘下の国内 部品メーカー(下請け企業)への調達コストを暴落 させるよう促しました。 輸出が変わらなかった、というのは、コスト分の痛み を内部に強いた結果であったわけです。 国際収支(日本銀行) http://www.boj.or.jp/stat/bop/bop.htm 円高が企業に与える影響(プレシデント・オンライン) http://www.president.co.jp/pre/20020902/02.html