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TMR??について

TMRというのはトンネル磁気抵抗効果の略らしいのですが、この効果は量子力学のトンネル効果をどのように応用しているものなんでしょうか?

みんなの回答

  • kenojisan
  • ベストアンサー率59% (117/196)
回答No.2

一応、この分野の技術開発の端っこあたりをかじっていますので、回答してみます。 No1回答者の方の紹介サイトでうまく図解説明されているので十分だとは思いますが、さらにもう少しやさしく説明してみますね。 非磁性体を使ったトンネル現象は、単純にトンネル障壁の両側の電極物質の電子状態密度とトンネル障壁の幅、高さを使えば説明できます。ところが、この電極物質を磁性体に置き換えると、電極物質内での電子のスピンにも関係してくるのです。  それは、電子がトンネルする確率が、フェルミエネルギー(トンネル素子を作った時にトンネルを起こす電子のエネルギー)での出発側電極物質の電子状態密度(まあ、トンネルしようとする電子の数と考えても良いでしょう)と、到達側電極物質の電子状態密度(トンネルしてくる電子の受け入れ確立と考えて良いでしょう)の掛け算に比例するのですが、磁性体ではこの電子状態密度が電子のスピンの方向に依存するからです。  電子はスピンと呼ばれる小さな磁石を持っていますが、量子力学の規則で電子の場合には磁場に対して上向き(アップスピン)か下向き(ダウンスピン)の2方向しか取れません。普通は、磁性体に磁場をかけて磁場の方向に磁化させると、磁化方向のスピンを持った電子(この場合は、磁場方向を向いたアップスピン電子)の状態密度が大きく、逆方向スピン(ダウンスピン)の電子は少なくなります。この数の多い方の電子を「マジョリティ(多数派)電子」、少ない方を「マイノリティ(小数派)電子」と呼びます。  さて、ここで、ある磁性体電極物質が磁化すると、多数派電子が80%、小数派電子が20%になるとしましょう。トンネル障壁の両側に同じこの磁性体電極を作り、磁場をかけて共に磁場方向に磁化させます。この場合には、両磁性体ともに多数派電子がアップスピン電子になります。先に述べたように、トンネル確率は両側の電子状態密度の積に比例しますから、アップスピン電子の確率は0.8x0.8=0.64で、ダウン電子は0.2x0.2=0.04となり、全電子の透過確率は0.64+0.04=0.68に比例した値になります。  次に、何かうまい工夫をして、片方の電極の磁化だけ磁場と逆方向に向けてやります。そうすると、磁化が反転した物質では、多数派(80%)の電子がダウンスピンになり、小数派(20%)の電子がアップスピンに変わります。そうすると、上と同じ計算をしてみると、アップスピン電子もダウンスピン電子も共に、0.8x0.2=0.16となり、全電子の透過確率は0.16+0.16=0.32に比例する値となり、磁化が同じ方向の時に比べて0.32/0.68=0.47、つまり半分以下程度の導電性=倍以上の抵抗になります。  磁化の反転によってこのような大きな抵抗変化(磁気抵抗)を作れるので、記録された磁化パターンからの磁場を受けて、大きな抵抗変化を示す高感度な磁気ヘッドや、逆に非常に微小な磁気素子でも、磁化の向きの違いを大きな抵抗の違いで読み出すことが出来る次世代高密度メモリーとして使う応用が考えられるわけです。

  • Teleskope
  • ベストアンサー率61% (302/489)
回答No.1

     古典的な電気理論は L,C,R でもって電子(電流=電荷の流れ)を操ります。それに加えて 電子のスピンのアップ/ダウンをも利用して操るのが 現在の電子技術です。最先端なことをやってる人はネット上でおしゃべりしませんので、詳細は文献をあたりましょう。  概念なら; http://mswebs.naist.jp/center/LABs/hashizume/keyword/tmr.htm  応用には興味ないかも知れませんが 主たる応用は; http://www.jst.go.jp/pr/announce/20041101/zu1.html  現在のコンピュータの主記憶は MOSダイオードを利用してますが、それの後継候補の一つです。他に 強誘電率メモリという候補もあります。