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取材の自由の限界。

さっそく質問させていただきます。 取材の自由は、憲法21条で保障されていることは理解したのですが、では、その自由の限界が疑問に思えてきたのです。最高裁昭和53年5月31日第1法廷決定、「外務省秘密漏洩事件」を例にさせてもらいます。 (1)この判例では、男記者が女事務官に極秘電文を持ち出させる目的で関係を築いた(肉体関係)為、有罪。 では、この関係が逆なら女記者で男事務官。また、前々から交際していたなら。この場合は、女事務官の国家公務員法の守秘義務意違反かな? (2)持ち出させる為に、肉体関係を持った事が、社会観念上、是認されないなら。どこまでなら認められるのですか?著しく人格を蹂躙と言うのも個人差があり千差万別と思います。 それとも、「持ち出させる目的」の時点で全ての行為が認められないのでしょうか。具体的な線引きは存在するのですか?学説、判例、双方の意見を知りたいです。 (3)「法秩序全体の精神」の基準。 以上の3点についてご回答いただければ嬉しく思います。読みにくいかもしれませんが、宜しくお願いします。

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  • hou-juris
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回答No.3

判例がどこまでのことを言っているのかについては、本当に難しい問題がありますが、書いてある文言、文章からある程度推測することも可能です(法令はもちろんですが、判例の文言も解釈の余地があります。不確定だといえばそうでしょうが、ある程度合理的な推測も可能だといえましょう)。ただ、あくまでも「推測」ですから、実際に起こってみないとわからないというのも確か、ですが。 以下、ご質問に回答させていただきますが、便宜上(2)、(1)、(3)の順序で述べさせていただきます。 (2)について。具体的な線引きは、それこそ個々の事例にぶつかってみないとわからない、という問題はありますが、ただ、「持ち出させる目的」の時点ですべての行為が認められない、ということは、考えにくいと思われます。このときに問題なのは「実質的に違法性を欠き正当な業務行為」といえるかどうか、ということです。たとえば賄賂を提供する、とか、脅迫する、といった行為は間違いなくまずいでしょう。本件について言えば、性的関係を持ったこと自体、というよりも、「取材目的のみで性的関係を持ったこと」が問題視されているのではないか、と考えられます。 ただ、本件については意見が分かれるかもしれません。というのも、成人同士が合意の上で性的関係を持つこと自体は違法でないのだから、たとえその関係が用いられたとしても、違法でない以上「法秩序全体の精神」に照らして不相当と言うことができるのか、という疑問はあり得ます(手元にあった松井茂記教授の『日本国憲法第2版』462頁は、ごく短いコメントながら同判決の結論に疑問を示されておられます)。 (1)について。本件で最高裁が重視しているのは、a.まずNo.2の回答者の方もご指摘されるように、依頼を拒みにくい状況にあったこと、また、b.性的関係を持ったことが被告人双方の恋愛感情などに基づくものでなく、記者からすれば取材目的で接近し、かつ判決が指摘するように事務官を「利用する必要がなくなるや、同女との右関係を消滅させてその後は同女を顧みなくなったものであ」る点であったのではないかと思われます。要するに、明らかに取材目的で利用するためだけに性的関係を持ったとおぼしき点を、最高裁はけしからん、と考えた可能性がある、ということです。 ですから、万一記者が女性で事務官が男性であった場合も、a.男性事務官が女性記者との関係で依頼を拒みがたいと認められ、b.女性記者がもっぱら取材目的で性的関係を持ち、目的を達した後事務官を「顧みなくなった」とすれば、判断はそれほど変わらないのではないか、と考えられます。前々から交際していた、という事情も、取材目的だと認定されれば、それほど結論を左右する事情にはならないように思われます。もっとも、その後結婚したらどうなるのか、とか、そういう話はあり得ますが。 (3)について。 これは本当に難しいのですが、二点ほど考えられることがあります。第一点は、「法秩序全体の精神」というのは、それほど明確な基準ではないと思われます。ただ、(これは刑法の議論も強く関わってくると思いますが)「違法性」を判断するとき、形式的に法令違反があるかどうかのみで決するわけではないはずです。また、単に法益を侵害されたか否かで決するのか、それとも行為態様の悪さも考慮するのか、でも話が分かれてくるでしょう。最高裁はおそらく行為態様の悪さというものもかなり重視しているでしょうから、手段として問題がなかったかどうか、ということも考慮すると思われます。ただ、そうした考えを適切に表現する法規定が刑法上存在しないと思われます(民法では90条というものがありますから、「公序良俗違反」という言葉を使うことができますが)。そうした「実質的な」考慮のための道具として、「法秩序全体の精神」という言葉を使っていると思われます。 第二点として、以上のように考えるとしても、「法秩序全体の精神」など、時代によっても違いうると思われます。従って、確たる基準を設定するのは、やや困難なように思われます。民法の「公序良俗」違反の事例などは、一つの参考になるのかもしれませんが。 無駄に長くなってしまった割には要領を得ない回答だったかもしれません。参考にしていただければ幸いです。

400tandem
質問者

お礼

夜中にわざわざ詳しい回答ありがとうございます。 「法秩序全体の精神」が固定できないのは、しかたないですね、時代によて常識なども変わってきますからね、ましてや、こんな情報の飛び交う時代。納得できました。(2)についても、分かりやすく教えていただき、ありがとうございます。

その他の回答 (2)

  • namehige
  • ベストアンサー率23% (3/13)
回答No.2

 まず、その判例では、取材の自由は保障されているとは言って居らず、「報道のための取材の自由もまた、憲法21条の精神に照らし、十分尊重に値する」といっているので、「保障される」より弱い権利と言ってます。 (1)について、  肉体関係によって、女性が男性の依頼を拒みにくい心理状況に有ることを問題にしてますから、男の場合そのような心理にならないとしたら、逆の立場の場合は、関係なくなるかもしれません。また、前々から関係があっても、女性の心理状態を利用したのならば、同じ事でしょう。 (2)について  判例では「公務員に対し根気強く執拗に説得ないし要請を続けること」は正当な業務行為で違法性はないと言ってます。 (3)について  「法秩序全体の精神」の基準はなかなか難しいですね。私自身、わかっているとは言えないし、  ただ、脅迫したり、買収したり、強要したりすることは、何となく悪いことだと思いませんか?そのようなことで、自分の主張を通したり、自分の権利を有利に導いたりすることは、良くないことで、もっとフェアな社会にしましょうよ。そんなイメージと思います。

400tandem
質問者

お礼

回答ありがとうございます。 >「保障される」より弱い権利と言ってます。 でも、報道する為には、取材は不可欠ですから、それに報道は「知る権利」には欠かせないと考えれば、報道の前提である取材は保障されるべきと解釈するのは間違いでしょうか。大きく捉えすぎていたらすみません。 (3)についての回答は、おーなるほど!!と思いました。ありがとうございます。

  • h2go
  • ベストアンサー率19% (123/632)
回答No.1

法律上の問題は憲法、法令等、判例に書かれている文言以外は全て確定されていません。 (1)具体的な事件が起きて見ないと解りません。 (2)学説専門で無いので知りません。 判例全ての判例の文言の範囲でしか具体的な線引きはありません。 これ以外は具体的に判断の必要があるまでは未定です。 (3)当該判例等に書かれたとおりです。 それ以外は具体的に判断の必要があるまで未定です。 憲法、法令、判例に無い具体的な基準は必要ならば其の都度決めるものなんですよ。

400tandem
質問者

お礼

さっそくの回答ありがとうございます。 具体的な線引きは、ないんですか。そうなると、行為が見えないもので制限されてる感じがしますね。あっ線引きがあっても同じですね。難しい~な。 ありがとうございました。