正直、これまでほとんど関心がなかったテーマでしたが、お尋ねに触発されて、その筋の文献を見ているうちに、いろいろな説明を読んで「面白いなあ」と思いました。
例えば、ウィキペディア(Wikipedia)によると、こんな説明がありました。
1.「フラクトゥールは、中世のヨーロッパで広く使われた、写本やカリグラフィーの書体を基にした活字体・ブラックレターの一種であり、最も有名なものである。時には、ブラックレターを全部指して「フラクトゥール」と呼ぶこともある。
⇒「一種の暗号化」への意図があった、ということでしょうか。
2.フラクトゥールの語源は、古いラテン語の分詞、frangere(壊す)、fractus(壊れた)であり、他のブラックレターや現在よく使われるローマ字体であるアンティカ体に比べて線が崩れているところに特徴がある。
⇒上の意図を考えると、「線が崩れていること」こそ重要だったのでしょうね。
3.大文字の I と J には外見上の違いがないか、あってもわずかな差異である。これは、両者の起源は同じであり、区別する必要があまりなかったためでもある。
⇒母音的な発音の場合に I を、子音的な発音の場合に J を当てたらしいですね。起源的には、U と V も同じで、発音との関係で書き分けたようで、西欧の国で歴史的記念碑などの説明を読むと、しばしば出会う現象です。
4.最初のフラクトゥールは神聖ローマ帝国で、皇帝の出版事業に際して特別にデザインされたものである。この書体は人気を博し、以前のブラックレターであるシュヴァーバッハー体(グーテンベルクが使った書体)やテクストゥアリス体などに取って代わるようになり、様々なヴァリエーションのフラクトゥールの活字が彫られるようになった。
⇒広い用途に供されているうちに当初の目的から逸れて、あるいは拡大されて、いろいろな書体が展開していったようですね。いみじくも「ひげ文字、花文字、装飾文字」などという呼び方が、その辺の事情・状況を語っている気がします。…
…などなどの、興味ある説明が大いに勉強になりました。話題のご提供ありがとうございました。
学生時代にドイツ語を履修しておけばよかったと思いました。実は、一度履修届を出したのですが、他の優先すべき語学を3つも(フランス語・スペイン語・ラテン語)受講しなければならず、それらの科目に「押し出されてしまった」のでした。
お礼
博覧強記ぶりにまた驚きです。 今度また,教えて下さい。 ありがとうございました。