>冒険する、リスクを取る経営者が少なすぎるから、日本は数十年にわたって経済成長できない、ということなんでしょうか?
そうですね。そういうことだと思います。
例えばちょっとリスクがありそうな案件もね、偉い人のハンコが全部揃っていれば、仮に失敗したとしても「いやアンタも賛成しましたよね」と巻き込むことができますから、自分へのリスクを軽減させることができます。
そうするととりあえず必要なのは「総論賛成」とその証拠たるハンコなわけでして、それをやってると全員のハンコが揃うのにえらい時間がかかりますよね。
「日本企業は意思決定が遅すぎて話にならない」と海外企業から相手にされないのがそういうことなのです。
またそうなると、自ずとトンガった企画は通りづらいですよね。一番ハンコをもらいやすいのが「ヨソで同じことをやっていて売れている」です。
テレビ番組がどれも同じような内容の、同じような出演者で固まるのがそういうことです。どこかの局がバスで旅する番組で視聴率を稼いだ。じゃあウチも同じことやろう。そこに出ている誰々という芸人が好評だ。じゃあウチも彼に頼もう。このタレントはスキャンダルも起こさず、業界でも品行方正で有名です。じゃあその人なら問題行動を起こして番組がお蔵入りになるということはないだろう。
そんな感じで、似たような番組の、似たようなタレントが出て、CMも同じ人ばかりがあちこちに出ていったい何のCMなのかサッパリ分からなくなるのです。
CMも広瀬すずちゃんを出すとこんなにCM好感度が高いですとなれば、その会社の人も社内の偉い人への説明に「この子はあのCMにも出ています、このCMにも出ています」といえば、その偉い人が「ああ、あの子か。いいじゃないか」となりやすい。変な人を起用して「聞いたことない人だけど、大丈夫か」って聞かれてもしスベったら「ほら、そんな変なやつを使うからだ」と自分が責任が追及される。
もし人気の人を起用してスベっても「売れてる子を使ったんですけどねー」と責任逃れができます。
そうこうするうちにチャレンジャーな人はどこかでしくじって脱落して、そういう人を横目で見ていたら「とにかくしくじらないようにすれば最終的に生き残って出世できる」という考えになるのは、自然ですよね。
お礼