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シーラカンス
今度のG7にシーラカンスで有名なコモロが招待されてますが、そのシーラカンスは、これだけ注目されていたら密漁も含めて絶滅の危惧はないのでしょうか?
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シーラカンスというのは俗称で、正式な種名は『ラティメリア (Latimeria)』と言います。ただ余りにもその呼び名が有名になり過ぎたため、現在でも学術論文とかの正式な場でない限りは、専門家でも割と普通に「シーラカンス」という呼称を用います。また現生種としてのシーラカンスは "アフリカ種(ラティメリア.カルムナエ: Latimeria chalumnae)" と "インドネシア種(ラティメリア.メナドエンシス: Latimeria menadoensis)" の2種がおり、遺伝子的にも別系統の別種である事が分かっています。ただし外見や生態はほぼ同じです。 で、密猟の件ですが…既に他の方が回答されてる通り、そもそも深海性の魚であるため捕獲が非常に困難で、またその生態も未だによく分かってない部分が多くて捕獲方法が確立されてないため。仮にシーラカンスを狙って漁をしてみた所で、空振りの坊主に終わるだけで宛もなく何日も大海原の上を彷徨う事になるので…やるとしてもかなりの大人数でチームを組んで、ちゃんとした大型母船を中心に広範囲を捜索しなくてはならないので。相当な経費が掛かります。 ジャンルは異なりますが、日本のマグロ漁師が船を出して1日当たり5万円くらいの経費(油代?)が掛かると言われています。外海で出られる船だと1艘で1千万円以上します。さらにソナーや網などの漁具も揃えると数千万円になり、それを借金して購入するので、船が寿命でダメになる10年間でそれ以上の金額を稼ぎ出さないと、一生赤字の借金生活のままです。そうなって来ると多少、高値で売れるとしても、どこに居るかも分からない謎の怪魚を追い求めて何日も坊主の日が続いたりしたら…! はいもうお分かりですね。最初から自暴自棄になって捨て鉢でシーラカンスを狙っている狂人ならいざ知らず、まともな普通の地元漁師は確実に捕れて安定価格で市場で売れる普通の魚を狙います。研究者などが多少、金を払ってシーラカンス漁を頼んでみても、彼らからしたら相当にリスクが高い博打になってしまうので引き受けてはくれないでしょう。 あとシーラカンスはそもそも「かなり不味い魚」なので、昔から地元漁師の間ではそういう魚が居る事は知られてましたが。網にかかっても市場で値が付かないのに、100kgを超える巨体で揚げるのに苦労するわ網は壊されるわで全く労力に合わないため、コモロの漁師の間では「使い物にならない魚」という意味で「ゴンベッサ」と呼ばれ嫌われていたそうです。それが近年では水族館や研究者が買い取ってくれる事が分かったので、積極的に狙う事は無いけれども、網にかかったら臨時ボーナスになるので "ゴンベッサ=幸運を呼ぶ魚" という意味に変わったらしいです(笑)。 また元々、その存在が地元でしか知られてない魚だったせいで。この手の密猟対象となる野生動物、例えば「フカヒレのサメ」とか「象牙のゾウ」みたいな、加工品が密猟経費の数百倍以上の高値になる文化と闇市場がそもそも形成されていないので。仮に頑張ってシーラカンスを密猟したとしても、それを高額で買い取ってくれる相手が居ない訳です。唯一、買ってくれそうな相手は前述の通り、水族館や研究者だけですが。彼らは科学者なので余りに高額となると手が出せませんし、遵奉意識が高いので密猟したと分かると買い取ってくれません。なので現状、シーラカンスに関しては密猟をするメリットが余り無いのです。 無論、今までは無かったとしても、今後に金余りの好事家が金に糸目をつけずに「シーラカンスの浮き袋」とかを求める様な事があれば、将来的にはシーラカンス密猟が組織的に行われる様になるかもしれませんが…まあ現状はそんな感じです。 P.S. 質問者が危惧する通り、現在はシーラカンスはワシントン条約に記載されているいわゆる "絶滅危惧種" に指定されています(ラティメリア.カルムナエ:CR、ラティメリア.メナドエンシス:VU)。 このため書類上はシーラカンスはトキやジュゴンと同じレベルで危険な状態だとされているのですが…どうも最近、特に21世紀になってからかなり詳細なシーラカンスの生態調査が可能になったため、どうも当初思われていたよりもかなりの数が生息しているのでは?~と見方が変わって来ています。ただし、深海魚であるため現在でも正確な実際の生息数は把握出来ていないため、現状はこのまま絶滅危惧種として厳重に保護対象にして置く事が決まっています。 - "生きている化石シーラカンス": http://www.jia-tokai.org/archive/sibu/architect/2015/01/umi.html まあ、仮に予想よりも数多くのシーラカンスが生息していたとしても。かつて50億羽もいたリョウコウバトをたったの100年弱で完全に狩り尽くして絶滅に追いやった事に定評のある現生人類ですので、あらゆる野生動物に関して保護し過ぎるという事はないかと思います。
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- nagata2017
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数が少なくて 深い海の底だから 簡単に密漁ができないし お金がかかりすぎる。 海底150~700メートルに住む深海魚です。
お礼
お金がかかりすぎる…なるほど。そんなものなんですか。ありがとうございました。
お礼
非常に詳細な解説をありがとうございました。なるほど。捕獲自体が困難な魚なんですね。それを知って安心しました^-^ 人間の歴史でいうと、2000年前でも、想像出来ない位昔の感じがありますが、そんな千年単位なんか吹き飛ぶ位の3億年も前から生息しているなんて、ただただ驚きですね。今回の情報通りに、このまま穏やかに後世まで生き続けてほしいと思います。ありがとうございました。