1,ヒトの爪ですが、切らないと野獣のように鋭くなり、木登りや攻撃に使えるようになるのですか?……ならないと思います。木登りが上手なくてもよいように、そして攻撃をしなくてもよいように進化してしまっているからだと思います。人が樹上生活をしているころ、木から降りて草原で暮らし始めた頃は、野獣から逃げるために、サバンナの中にある樹木に登って難を逃れるために「木登り」の術というのは重要だったと想像します。しかし、ライオンやチーターのように、獲物を捕らえるために「速く走る必要もなかった」し、「爪を鋭くする」必要もなかったということだと思います。
ウマは競馬という競技がありますが、早く走れるように、ひづめ(爪の変化したもの)をひとつにするように進化しました。最初の馬の仲間(ヒラコテリウム属)は、小型で5本指だったそうです。
2, 鋭くならないとしたら、なぜ鋭くならなくなったのですか?……人の進化の歴史で大きな出来事の一つは、「直立二足歩行」だと思いますが、その段階で、手は「ものを掴む」ことに便利なるように進化したようです。指先の骨は非常にひ弱で、現在でもものを掴むのに十分には適していないようです。むしろ「爪」のほうが重要な役割を果たしているようです。足の爪は、「速く走る」ことよりも、「持続的に歩く」ことに重点を置いたようですね。それによって「エサを探すことに少しでも有利に働くように」進化したのだと思いますが、その持続性、耐久性の強さによって、出アフリカを果たし、地球全体に広がっていきました。
「掴む」ということは、大きなもの、重たいものを掴むだけでなく、小さな針を左手に持って、右手に細い糸を持って、細いアリアナに糸を通すというようなことにも発揮されます。
道具を持つようになってからですか?……それ以前だと思いますね。道具は、石器として約200万年くらい前のことのようですが、人類の誕生は、約700万年前のようです。
なぜそれ(爪の形)は遺伝するのですか?……長い進化の歴史に関係することですから、私にもよくわかりませんが、「遺伝形質」のうち、生きていくのに都合よく進化したもの、生きていくのに都合の良い形質を持っているものが、「生き残る確率が高くなる」、そして「持っている遺伝形質をより進化させて、子孫に伝えていった」ということだと思います。