matildaさん、こんにちは。
韓国のローマ字表記法は去年7月4日に改正されました。これは1984年1月13日の現行の表記法が告示されてから16年ぶりのことです。2002年2月末までに教科書などの出版物、2005年12月末までに道路表示板や文化財案内板などのローマ字表記を新ローマ字表記によって統一する予定ということです。
この新ローマ字表記法によると「釜山(プサン)」は「PUSAN⇒BUSAN」、「大田(テジョン)」は「TAEJON⇒DAEJEON」、「大邱(テグ)」は「TAEGU⇒DAEGU」、「金浦(キンポ)」が「KIMPO⇒GIMPO」のようになるとされています。
韓国人にとって濁音と清音の区別が難しいというのは事実ですが、これは韓国語に濁音がないということを意味するものではありません。韓国語では一般的なルールとして母音と母音に挟まれた清音(k,t,p,ch)は濁音(g,d,b,j)として発音されますが、これは韓国語にとって清音と濁音の区別が重要ではないために、韓国人が意識していないだけのことです。韓国語の発音で重要なのは音が濁るか濁らないかではなく、息が激しく漏れているか(激音)、ほとんど漏れていないか(平音)、あるいはまったく息が漏れていないか(濃音)の3種類の区別です。
ですから、「PUSAN」が「BUSAN」に変更になっても発音の問題としては影響ありません。韓国語の「釜山(プサン)」の発音は「プ」の部分が「平音」と呼ばれる音で、これは敢えて日本語で言うならば「プ」よりも「ブ」に近い音です。「平音」はあまり息を漏らさないように発音されますが、日本語の「ブ」も基本的にはあまり息が漏れていません。また、韓国人が「book」という単語を見ると「ブック」ではなくて「プック」と発音する傾向がありますが、これも「b」の音を韓国語の平穏「p」の音で間に合わせているためです。韓国人は英語の「p」を激音(激しく息を漏らす)の「p」で発音する傾向があります。このことから、「PUSAN」と表記するよりは「BUSAN」と表記した方が韓国人の言語習慣にはより忠実だと思われます。
なお、この改正法もまだまだ問題を抱えているようです。実際、韓国人の生活の中では日本ほどローマ字表記が浸透しているわけではなく、同じ人の名前をローマ字で書くのにも個人によって若干の差があります。私もそのために何度も困った目に遭っています。
では、失礼いたします。
お礼
polnareffさん、こんばんは。 非常に詳しく分かりやすい説明で、大変助かります。 釜山ばかりか他の比較的大きな都市の表記方法も変わったとなると、これを知らないと混乱を招きそうですね。 発音に関する説明には「なるほど!」と思うことが多いです。 かなり日本語が堪能な韓国人の方と日本語で話しをしているときに、「日本語はほぼ完璧なのにどこかが違う気がする」と感じることが多かったのですが、どうやら「息」に違いがあるようですね。 納得しました。 本当にどうもありがとうございます。