モノによりますね。現代日本の博物館などに収蔵展示されている動物(鳥類)の剥製や標本は大きく分けて、収集物と寄贈品に分けられます。収集品はその博物館が自ら購入、或いは製作を行ったモノで。寄贈品は市井のコレクターなどから譲渡されたモノです。
現在では日本を始めとして多くの国々で、いわゆる動物愛護法的な縛りがあるため、新規に野生動物を捕殺して剥製や標本を作る事は難しいですし、まず無いですね。ただし絶滅の心配が全く無く、かつ非哺乳動物系の生物である場合~具体的なエビカニ等の甲殻類やクラゲ、或いはイカタコ貝の様な軟体動物とかだと、現在でも新規に標本を作る事はままあります。他にも希少性が皆無と思われる昆虫などですね。
で、質問者が気になっている鳥類ですが…まあそんな感じですので、今現在ではハンターに依頼して珍しい鳥を撃ち殺して来てもらって死体を買い取り、それを剥製標本にするような事はありません。基本的には自然死したものや交通事故などで事故死したものを引き取り、状態の良いものを剥製や標本にしたりします。また漁港などには市場には出回らない珍しい深海魚などが網に掛かったらすぐに連絡をくれる様に、学芸員や研究者が事前に根回しを行っている場合もありますね。
現在の上野の国立科学博物館に収蔵展示されている鳥類動物類の剥製標本の中には、戦前までに収集されたモノも数多くありますが…まあぶっちゃけその時代は考えなしに珍しい動物を見たら即射殺して剥製にしていました。それで最後の1匹を絶滅する前に貴重だからと博物館が率先して撃ち殺して剥製標本にしたりしていた時代でした(リョコウバトやオオウミガラスはそれが原因で本当に完全に絶滅根絶やしにされました)。
まあそういった前時代の反省もあって、博物館や大学研究機関などは現代では可能な限り捕獲などは行わず、自然の状態を維持したままで観察研究する事をメインとしています。
P.S.
現在の国立科学博物館に収蔵展示されてる動物の剥製の最大規模のモノは通称「ヨシモトコレクション」と呼ばれる、1997年にハワイの日系人だったヨシモト氏の個人コレクションが紆余曲折あって日本の博物館へ寄贈されたものですね。
これは2004年に亡くなったワトソン.ヨシモト氏が生前に自らハンティングなどで捕殺し収集した膨大な数の動植物の剥製標本で、当初は氏の郷土であるハワイ州で私立博物館を開設して公開されていたのですが。余りにも数が膨大であったため、個人ベースでの維持管理が困難であると判断。氏の父母の母国である日本の国立科学博物館へ寄贈する流れとなりました。
ヨシモトコレクションは数も膨大ですが、その剥製製作の技工技術も非常に優れているのが特徴の一つで、単に生きている姿を模しただけでは無く、生体時に浮き出ていた血管の膨らみまでも精緻に再現されており、正に生きている様に再現されています。
お礼
そうですか…なかなか奥が深い話ですね。自分自身が小鳥を飼っていますので、どうしても博物館に行くと鳥が気になるのですが、そういう状況でしたら変に気を回しながら観覧する必要も無さそうですね。安心しました。ありがとうございました。