climb the hill は他動詞、climb up the hill は自動詞+副詞です。
climb の中に up の意味が含まれていますので、どちらを使っても、ほぼ同じ意味です。しかしup のある自動詞は途中まで登った場合もありますが、他動詞は頂上まで登ります。
climb the hill down の語順はあります。英語では最も伝えたい語が、文末に置かれます。down は climb とは逆の意味の言葉ですので、文末に置いて意味を明確させる効果を出しています。一方 up は climb と意味が重なっていので、文末に置く効果はありません。文脈の中で up を明記しなければ誤解を招くような場合(up, down を幾度も繰り返す場合とか、間違えたら危険な場合など)に文末の up もあり得るでしょうが、その場面は少ないと思います。
#2です。寝言です。
>> 昔の英文法について、前置詞を副詞として用いていましたでしょうか。
というご質問に、「おやっ」と思いました。言葉は、実際にあるもの、それに比べて文法とは、メタ言語です。
西欧で Antonio de Nebrija (1444-1522)がGramática de la Lengua Castellana を出したのは1492年、英語の文法は15世紀から、日本で文法が出たのは18世紀で、『詞八衢』はその例でしょう。
しかしスペイン語、英語、日本語などはその前からあります。ですから言葉が先で、文法は後だと思っていたのです。
>前置詞を副詞として用いていましたでしょうか。:
⇒はい、そのとおりです。
といいますか、実はベクトルが逆で、「副詞であったものが前置詞として用いられるようになった」というのが実情だと思います。というのも、英語史上、古英語の頃から、「前置詞は(名詞の)格変化の消失と並行して発達してきた」という経緯があるからです。つまり、「前置詞は副詞などが変化してできてきた」とも言えるわけです。
>climb up/down the hill を climb the hill up/down とも言っていた時代はありましたでしょうか。
⇒はい、そのとおりです。
簡単のために、climb up the hillとclimb the hill upで考えてみましょう。
以下、時系列に沿って、この表現の経緯を箇条書きします。
(1)upは、本来副詞であった。したがって、climb up the hillでもclimb the hill upでも、upは副詞として動詞climbを修飾していると見なされるので、直訳すれば「丘を上へ登る」という感じであった。
(2)後にupの前置詞用法が発達してくると、前置詞は通常名詞に前置されるので、climb up the hill「丘の上へ登る」という言い方が主流になっていった。
(3)それ以来、“climb up+名詞”「~を登る」という言い方が定着してきて、現代では、この形が句動詞(phrasal verb)として辞書などでも扱われている。
(4)とはいえ、climb the hill upという形の表現がすたれてしまったわけではない。それで、この種の表現におけるupの品詞解釈は多分に曖昧で、climb up the hillのupは前置詞(または副詞)、climb the hill upのupは副詞(または前置詞)とされる。
言語は「慣習」でもありますが、他方、伝達の具として「時代の変化などに即して」用いられるために「変化を免れない」わけですね。ということは、文法構造を考える場合、「通時的な経緯」を意識しつつ、「共時的な体系」を考えなければならない、ということになるのだと思います。
1。前置詞を副詞として用いていましたでしょうか。:
物は考えようで in でも、
She is in her room と言えば前置詞
Come in と言えば副詞です。
だからこれを副詞を前置詞として用いたとか、前置詞を副詞に用いた、と言いたければ言えます。ただ僕は昔のことはあまり知りません。
2。climb up/down the hill を climb the hill up/down とも言っていた時代はありましたでしょうか。
この二つは(い)を(ろ)と言っていたのではなく、だいぶ昔から(=リチャード二世の頃から)(い)も(ろ)も両方あるような気がします。
お礼
誠に有難う御座います。