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鋼材の焼入れによる打音の変化はヤング率の影響なのか
- 焼入れによるヤング率の変化は無視できる程度であり、引張り強度と降伏点が変化することが分かりました。
- 焼き入れ後の打音の音程が高くなる主張があり、ヤング率が高くなるという理由が挙げられています。
- 焼入れでヤング率は変化しているのか、変化していない場合は何が音程に影響しているのか、皆さんのご意見をお聞かせください。
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>ヤング率測定には共振法という振動数からヤング率を推定する方法があります。 この方法で分かるのは、 見かけのヤング率=応力度 ÷ (弾性変形率+塑性変形率) だと考えれば、前の私の説明と矛盾しません。
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- ddtddtddt
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#3および#4さんに一票。 自分も調べてみたところ、焼き入れでヤング率や密度が変わる事はほとんどないという結果でした。またそういう論文もありました。弾性波速度(音の高さ)が√(E/ρ)に比例するというのも本当です。ここでEはヤング率,ρは密度です。わかんないなぁ~と思っていたのですが・・・。 まず打音で聞こえる音は、そんなに単純じゃないぞという点です。例えば同じ材料でも、その物体としての長さが違えば打音は違います。木琴,鉄琴の原理です。一般に長さが短いほど高い音になります。焼き入れとは無関係ですが、そんなに単純じゃない一つの例です。 次に概念としてのf特。f特はマイクの周波数特性として良く使われますが、横軸が音の周波数、縦軸が拾った音の増幅率というグラフです。f特が良いとは、周波数特性グラフの直線性が良い事です。この直線性は、#3さんの仰る直線性とは違いますが、こういう風に言うので仕方ありません(^^;)。 この場合の直線性は、グラフが水平な直線に近いという意味です。つまり全ての高さの音を、平等に増幅します。逆にf特が水平な直線に近くないと、特定の高さの音だけを強調して拾う事になります。実用上は、ある目的のもとにそうする事もありますが、原音忠実再生をめざすオーディオなどでは、このf特が重視されます。 例えば鉄琴の鍵盤(っていうのかな?)の一個を叩くと、我々の耳にはほとんど純音に聞こえますが、実際には色々な高さの音が混じってます。もちろん一番パワーがあるのは、鍵盤に対応する純音です。それをf特の良くないマイクで拾うと、純音でない高さの音も多少強調されて増幅されます。それを再生すると、いわゆる「こもった音」「抜けの良くない音」という表現になります。 ※以下、ご存知かも知れませんが。 #3さんの仰る直線性は、応力-歪み曲線の直線性の事です。まぁ~、横軸は鉄パイプの伸び,縦軸は鉄パイプを引っ張る力とでも思って下さい。引っ張る力が大きくなると、伸びも大きくなりますが、その増加の仕方は最初ほとんど直線です。ある限度(降伏点)を越えるとグラフは突然横這いになります。 工学上は理想化して最初のほとんど直線部分を完全な直線とみなし、弾性域と呼びます。降伏点以降が塑性域です。弾性域の直線の傾きが、ヤング率Eです。でも理想化してる訳ですから、弾性域の直線は、本当は微妙に直線じゃない訳です。よって打音は√(E/ρ)に対応する純音の他にも、色んな高さの音を含んでる事になります。 焼き入れして弾性域の直線性が良くなるという事は、いわばf特の悪いマイクから良いマイクへ移行した事に相当し、「こもった抜けの良くない音」⇒「澄んだ音」⇒「高く聞こえる」という仕掛けでないのかな?、と想像しました(^^;)。たとえ工学上の直線性の数値はほとんど変わらなくても、なんとなくこういう事なら、人間の耳で聞き分けられそうだと。 自分はこれで納得しました(^^)。
- foomufoomu
- ベストアンサー率36% (1018/2761)
私も、焼き入れすると曲げようとしてもなかなか曲がらないので、ヤング率が高くなっているのかと思っていたのですが、どうもこれは降伏点応力度が上がって、塑性変形をしにくくなっているためらしいです。 で、塑性変形の違いで打撃音がどう変わるかと言うと、 1.(弾性変形、塑性変形にかかわらず)変形しにくいほうが音が高くなるので、焼き入れすると音が高くなる。 2.弾性変形の割合が多く、塑性変形の割合が少ないと、Q値が大きい(あるいは変形の直線性がよい)ので、正弦波に近い、清んだ音が出るようになる。 ということが起きるでしょう。 Q値は直接には音の高さに関係しません。上記のようにQ値が大きくなると変形が小さくなることが多いので、音の高さも変わることが多いのですが。
お礼
回答ありがとうございます。 塑性域も含めて変形しにくい方が音が高くなるというのはイメージし易い回答でした。 とても参考になります。 ただ疑問に思う点もあります。 詳しくは無いのですが、ヤング率測定には共振法という振動数からヤング率を推定する方法があります。 音が高い=振動数が高い なのでこの方法では焼入れ後の方がヤング率が高いという結果が出るのではないかと疑っています。
- 2SB110
- ベストアンサー率59% (16/27)
専門外なのであまり自信はありませんが、ヤング率は焼き入れの後でも変わらないと思います。硬いというのは壊れにくいことであって、弾性限界の大きさを表しているもので、ヤング率を保てる限界のことと思います。 それでは何故音が変わるのかということですが、共振にはQという指標があって共振の鋭さを示します。金属をたたくときのQはその材料の内部でのエネルギー損失の大小に直接影響されます。コツコツという音はQが低いときの音で、キンキンという音はQが高い音です。さらにQが高くなるとキーンとかチーンとなります。音叉やお寺の鐘や鉄琴などはQが高くなるように作ってあります。 ただ、焼き入れとQとの関係は確認する必要があります。実際、Qを思い切り高くする必要がある場合は、焼き入れではなく焼き鈍しを行っています。焼き入れとは逆なので、ちょっと気になります。
お礼
回答ありがとうございます。 指摘のQ値について軽く調べてみました。 振動について余り詳しくないので間違えているかもしれませんが減衰性を示す値のようです。 焼入れすることで結晶構造が変わるのでQ値も変わることは理解できます。 Q値を高くするために焼き鈍しを行うそうですが、もしかしたら合金の種類によっては焼入れでQ値が高くなる物もあるのかもしれません。 今回の場合は焼入れ前はQ値が小さく、高い振動数域の音が消え易いため低く聞こえ、焼入れ後はQ値が大きくなり高い音が聞こえ易くなったのかもしれないですね。
- tetsumyi
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ヤング率とは材料が弾性的に挙動する場合の応力Sとひずみaの比でE=ΔS/Δaですから 焼入れしても体積はあまり変わらず硬くなるのですから、当然ヤング率は変わる。 打音は材料の共振周波数ですから、打音がが高いことはそのまま硬さとなる。 職人は部品を叩いてコツコツ音かキンキン音かで焼入れの確認して使う。 最近の中国製では部品の焼入れが完全でなく機械のガタがすぐに出るが、現場で職人がいなくて粗悪部品を平気で使うためです。
お礼
回答ありがとうございます。 今まで調べた中では焼入れによってヤング率が大きくなるという意見は少数派のようです。 下記URLに焼入れによってヤング率は大きくならないという回答がデータ付きでありました。 https://oshiete.goo.ne.jp/qa/584002.html また、鉄鋼の硬さは対象物に打痕や圧痕付け、この大きさで測定します。 打痕や圧痕は塑性変形ですから、硬さは塑性域の変形し難さを示す値。 ヤング率は弾性域の変形し難さですから、硬い=高ヤング率では無いと解釈しています。 硬さは塑性域の値ということで硬さから引張り強さを求める近似式もあるそうです。
お礼
回答ありがとうございます。 つまり焼入れ品のヤング率は引張り試験と振動法では異なる値になるという解釈で良いのでしょうか。 自分でも調べてみましたが同一材料でも引張り試験と振動法では同じ値にならないそうです。それに結晶構造に異方性があれば試料の向きによっても値が変化するとのこと。 http://www.iic-hq.co.jp/library/pdf/043_05.pdf 振動法は特殊条件時(高温等)の測定法と考え、基本は引張り試験によるヤング率測定の値を信用することにします。