広義の「デザイン」とは、人が物や行動をしようとする時に、
そのプロセスや結果を事前に予想し、設計・計画する事です。
狭義の「デザイン」は、意匠デザインとも呼ばれるように、
作ろうとするものの見た目を、それを目にする人の気持ちを
予想して色形を造形する事です。
質問内容は後者のようですね。
基本的に造形物には、それを必要とする目的があり、その
機能を果たすために寄せ集められた素材や部材が、結果的に
発生する見た目があり、それをそのまま表す「機能主義」と
いう立場があります。
それに対し、その表面に見た目を意識した装飾的な工作
(造作)を付加する「表現主義」という立場があります。
「デザイン」は、その表現主義的要素ですが、そこには
幾つかのオプションがあります;
1.見た目が快適な、美術作品的な目的。
2.人の環境認識能力が不完全で、対象の機能を正確に
認識できない分を、対象の側から(見た目で)補完する、
意味的な造形(学校も病院も四角い箱にするのではなく、
学校は子供が興味が湧く形、病院は安心感があり癒され
る形といった)。
3.その造形物を構成する素材や部材を表面に強調し、
それに使ったり触れたりした時の感触を表す(悪用し
た例では、冷たい鉄板に木目のプリントをして温かみ
を出す<でも触ると冷たいので、その環境で育った
子供は木目に温かみを感じなくなる)。
4.その造形物自体の機能や材料とは関係ないが、その
造形物の外部の、所属する文化や経てきた経緯を見た目
に感じられるように付加して、社会全体の認識の醸成に
寄与する。
2以降のものは、人の認識を深め、見えている環境を鮮明に
にし、自律的な生を促し、心を豊かにするものです。
こうした考え方を生んだのは、戦後、大量の戦災孤児を施設
で育てた結果観察された「ホスピタリズム(施設病)」に
よります。
孤児院や病院のように白一色で無地の環境で長期に育った
子供たちには、知能の低下、無気力、短気、集中力がない
などの傾向が観察されたのです。(それで小児病棟などの
インテリアには、色や模様をつけるようになりました)
ただ、経済性を重視して建てられる現代建築は、四角い
マッチ箱建築になりがちで(病院も学校も同じ見た目)、
生活環境全体がホスピタリズム的だと言えるかも知れません。
お礼
デザインは美術的という考えは、わかる気がします、とても参考になりました、ご回答ありがとうございます。