>機械に仕事を奪われ、失業率が徐々に増えていき、国民全員が失業したら、どうなるでしょうか。
以下は、政府が何も干渉をせず、企業も合理的な判断のみに従って行動をする、ということが前提の思考実験です。
企業としては、コスト削減の目的で作業を機械化して人件費を減らす、ということは合理的な判断です。ですから、AIがもっと進歩した場合、企業の従業員のすべてが機械に置き換わるということは、理論的には不可能とする根拠はありません。ただし、取締役は法律によって自然人であることが規定されているので機械に置き換えることができません。従って、どれだけ機械化されたとしても、取締役という役職についていて失業者ではない人が存在することになります。
従って失業率がほとんど100%にはなっても、完全に100%にはなりません。
このシナリオでは、企業は自社のコストを削減して利益額を増やすことを目的として行動しています。従って退職した従業員の生活の保障はしません。そこで、大部分の国民は飢えた状態になると考えられます。
この時、大部分の国民は収入がなくなりますから、買い物を極力控えることになります。このため完全に機械化した企業の商品を買う人は、生活必需品以外には、ほとんどいなくなり、売り上げが激減します。すると企業としては売上を上げるためには輸出以外の方法がなくなります。ですから、輸出の売上のみで営業をすることになります。
ところでこの企業の行動原理はコスト削減です。輸出する場合には輸送コストがかかります。このコストを削減する方法は現地生産です。輸出先の国で生産した方が輸送コストが減る分だけ利益が増えます。そこで完全機械化した企業は海外移転することになります。なお、国民は皆困窮していて買い物をしないので、国内に事業を残留させる理由がありません。そこで、完全に海外に引っ越してしまうということが、この企業にとっての合理的な判断となります。従って完全機械化を遂げた国中の企業はすべて国外移転することになり、国内には産業が全くなります。
完全機械化した企業は、コスト削減により低価格で商品を売ることができました。失業した人たちの中から何か事業を起こそうとする人が出てきても、完全機械化企業との価格競争に負けてしまうため、失業者からの新規創業は起こりませんでした。しかし、完全機械化企業は海外移転していなくなりました。ということは、失業者からの新規創業が可能になるわけです。そこで、新規創業が出てくることになります。
失業者は資金が少ないので、新規創業した企業は完全機械化をするだけの資金がありませんから、従業員を雇って起業することになります。
さて、こうして創業した企業が大きくなって資金を蓄えてコスト削減のために完全機械化を目指したとしたら・・・?
お礼
個人事業主が大企業と同じ規模の事業を行っているというイメージでしょうか。 例えば、インターネットはその成り立ちが幸いして全人類が無料で使えます。歴史的に見ても不思議な成り立ちだと思います(掛かる費用はインターネットへの「接続料」だけ) もしこれが、一企業や一国家ががインターネットを開発、保有し世界を牛耳る社会になっていたら、違う経済構造の世界になっていたでしょうね。 機械が仕事を奪うと言っても上記のような複数のケースが考えられるかもしれません。