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ボームのホログラフィック・パラダイムについて

ボームの提唱した「ホログラフィック・パラダイム」についてですが、 これは要するに新しい形の実在論・決定論と解釈しても宜しいのでしょうか? ついでにですが以下の記事について感想を聞かせて頂けませんでしょうか? 「隠れた変数の理論」はとっくの昔に否定された筈ですが・・・。 http://kishi123.server-shared.com/page058.html

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回答No.1

 ホログラフィックについては、いま手元に資料がないので、「隠れた変数の理論」についてだけ。  「隠れた変数理論」は、波動関数の確率解釈に納得できなかった人達が、決定論を回復しようとして提出した試みです。そしてそれは、次のような意味で成功しました。  まず「隠れた変数派」も、現在の標準的量子力学の計算結果がほとんどいつも正しい事を認めています(実験結果を予想できる)。なので「隠れた変数理論」の最初の目標は、標準的量子力学と同等以上の性能を持つ、確率解釈を不要とするような数学的枠組みという事になります。そしてそのようなものが出来た暁には、物理的実在の確率的挙動を決定論に基づく「疑似確率性」として説明できるような、新たな物理的知見を期待した訳です。アインシュタインは、確かにこの方向を望んでいました。  そこでキーとなる概念装置はパイロットウェーブ(先導波)といわれるもので、パイロットウェーブは波動方程式の波動関数に対応し、明らかにド・ブロイの物質波の延長上にあります。結果からいうとパイロットウェーブの数学的定式化は成功し、標準量子力学と同等な計算結果を出せる事もわかりました。  しかしパイロットウェーブの具体的物理機構を、誰一人考えつけなかったんですよ。新たな物理的知見は、得られなかった訳です。そうなると、「隠れた変数理論」が「標準量子力学と全く同じ計算結果しか」出さない以上、それに何の意味があるのか?という事になります。同じ計算結果を出すように工夫された、数学的現象理論でないのか?と言われればそれまでです。  「隠れた変数理論」のもう一つの問題は、それが決定論(素朴実在論)に基づいている点です。個人的に素朴実在論が全部駄目だとは思っていませんが、それの疑似確率性は、決定論に基づくならば、いわば一様な確率分布になります。  しかし現実の確率挙動は、量子力学に従った一様でない偏りを持つ事が、ベルの不等式を検証したアスペの実験によって示されました。アスペの実験の追試は、その発展形まで含めて現在まで、何度も何度も行われています。  アスペの実験結果を反映するような「隠れた変数理論」は不可能だという数学的証明が出たと記憶していますが、理論のこの部分の仮定を外したり変更したりすれば、反映も可能だとかいう細かい話が、その後出たのも事実です。けれどそれが可能だったとしても「それに何の意味があるのか?」という限界を突破できていません。  そういう事態で生産性の悪さから、「隠れた変数理論」を本気でやる人達は今では少数です。しかし一方で、それに究極的な駄目だしも出来きません。もともと量子力学の結果のコピーを目指した理論なので、実験によって反証するのも難しい訳です。それでいまだに「隠れた変数理論」を信望する人達もいます(素朴実在論しか許容できない。多くはアマチュア)。  ・・・で、自分もアマチュアですけどね(^^;)。

concomesoup
質問者

補足

詳しく解説して下さって有難うございました。 個人的には頭コチコチの素朴実在論よりも、ナイフみたいな論理をズバズバ展開する龍樹の関係主義に信奉しています^^。 ホログラフィック・パラダイムを仏教と絡めたがる輩も居て困るのですが、 龍樹の流れを汲む大乗仏教は因果律を否定していますからね・・・。

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