一言で言えば、自由競争の結果です。
明治維新後、数百の私鉄が設立され、一部は国鉄(現在のJR)に統合されましたが、その後多くの統廃合を行っています。いまの私鉄会社の形態に落ち着いたのは大正時代ごろです。明治初期、富国強兵策の中に戦時に速やかに軍隊を移動する手段として鉄道整備がありました。しかし国だけでは膨大な鉄道路線網を整備できず、殖産興業政策としても鉄道の整備を推奨したのです。その結果たくさんの私鉄が誕生したのです。
明治中盤から大正時代には、多数の鉄道の統廃合が行われ、競争原理の中で市場圏を確立しながら「拮抗」していきます。ただし、国鉄は競争相手となる路線に並行させている私鉄になかなか特許を与えませんでしたので、路線は多少入り組んでいます。
JRと並走した私鉄は、詳細は割愛しますが、例外は阪神間と京浜間です。
今の私鉄は、都市部に限れば多いように見えますが、過去幾多の統廃合を経て今日に至ッタもので、都市の輸送網をJRや営団地下鉄などとうまく分担しています。隙間はまだまだありますが、そこは公共機関である都営地下鉄(東京の場合)やバスが埋めています。それぞれの特徴を生かして交通サービスに貢献していると言えます。
しかし、地方では今も、廃止や統廃合はあります。
明治時代には、土地の値段も安く、鉄道路線の建設は小規模な会社でも実施することが可能でしたが、産業が豊かになってくると土地の値段が上がり、戦後はほとんどの私鉄で新しい路線の建設ができなくなりました。また、電力や水道などと同様に公共性が高いため、ある私鉄が他社の私鉄の路線に致命傷を与えるような新線建設には特許がおりません。(その路線のために私鉄が倒産してしまうと多くの利用者が困ることになります。)
簡単に路線を作れない以上、既存路線を最大限生かして顧客サービスを行うことになります。その結果、多角経営を進め、多少のことでは倒産しない体質になっています。
したがって、統廃合する理由がありません。
また、パスモ、IKOCAなどの共通乗車システムの普及で乗客側から見ると一つの路線会社として利用出来るような便利さになりつつありますので、そのことも統廃合する理由を遠のけています。
最近では、株操作で経営危機になった阪神電鉄が阪急電鉄と経営統合したくらいでしょうか。
私鉄同士は、他の企業同様、CSRに留意しながら互いに適正に競争していると思いますし、そういう意識であると思います。