#1です。免疫系にご興味があるなら、最近はイラスト入りで分かりやすい入門書も多くありますから、大きな本屋さんに行って入門書をご一読されることをお勧めします。てか、そうじゃないと本質は理解できないです。小学校の算数くらい分からないとExcel使えないのと同じです。
>一度獲得した免疫の有効期間(体はすぐ忘れてしまうのか?)
体は、一度免疫を獲得すればその期間は永遠です。永遠というか、その人が生きている間は有効です。つまり一度やられたウイルスに再びやられることはないのです。ウイルスが体に侵入すると白血球はそいつを取り込んでデータ分析し、抗体というミサイルを作ります。一度この抗体を作るためのデータを得ると、そのデータは永遠に残されるんですね。すごいですね、免疫システムってやつは。ところが敵もさるもの。ウイルスも生き残るために毎年ちょっとずつ型を変えて抗体が効かないようになるのです。
これに対抗するのがワクチン接種なんです。あからじめ弱いウイルスにちょっと感染させてデータを取り込み、体に抗体を作らせておけばもしウイルスが侵入しても飛んで火にいる夏の虫、となるわけです。このやり方で人類は天然痘を克服しました。何年前だったか、WHOは天然痘撲滅宣言をしましたね。医師ジェンナーが牛痘のワクチンを始めてから、天然痘のワクチンで我々は抵抗力を身に着けたのです。私の話はいつも余談が入るけど、だからある世代から上は赤ちゃんのときに天然痘ワクチンを受けているから天然痘にかかりませんが、ある世代から下はワクチンを受けていないのでもし天然痘にかかるとひどい目に遭います。最近天然痘は生物兵器で使われるそうで、つまり私は天然痘兵器は効かないということになります・笑。
閑話休題。インフルエンザワクチンを接種するときに、ひとつ問題があります。それは「今年にどういう型のウイルスがやってくるかは分からない」ことです。ひとつというか根本的な大問題ですよね。「内角高めのストレート待ち」だったのに、内角低めに変化球を投げられたらバットは空を切るでしょう。ID野球がデータを基に配球を読むように、ワクチンも前年に流行したウイルスを分析することで予測したワクチンを打つわけです。この「ヤマ」が当たったらワクチンは有効。ワクチンを打った人はインフルエンザにかからなくて済むのです。もしヤマが外れたら?はい、そのときは残念。ワクチンは何の意味もありません。
んで、インフルエンザウイルスというやつは並々ならぬ敵でございまして、先ほど私は「毎年毎年ちょっとずつ型を変える」といいましたが、実はそれだけじゃなくて何年かにいっぺん「フルモデルチェンジ」をするんですね。これを「ドリフト」と呼ぶのです。もう前年データを一気に吹っ飛ばすような大変化をするのです。こうなると、もうお手上げです。まったくデータがない型のウイルスが蔓延するので、ワクチンで防ぐことはできません。
このドリフトがいつ起きるのかは、まったく予測不可能です。鳥インフルエンザが発覚すると健康な鳥も含めて殺処分されて車に消毒液をぶっかけるような大騒ぎをしますよね。あれは、鳥インフルエンザウイルスがドリフトをすると人間が感染するようになり、傾向として鳥インフルエンザが人間に感染できるようになると死亡率が高い危険なウイルスになりやすいからです。だからドリフトを起こす前に根絶やしにするのです。
まあここまで書けばお分かりいただけたと思います。それでなくても毎年毎年型が変わってヤマが外れることがあるのに、数年にいっぺんというペースでワクチンを無意味にする進化をするインフルエンザウイルスにワクチンという形で対抗するのは難しいね、ということなのです。
>もっと緻密な論証が必要と感じました。
免疫に関する本を読めば、だいぶご理解できると思いますよ。
お礼
ご回答ありがとうございます。 私なりに理解度の確認の意味もこめてまとめるてみました。 回答の繰り返しになりますが、 ・一度獲得した免疫は、生涯有効であるが、ウィルスの変異によって、効果は限定されてしまう。 ・インフルエンザウィルスは、毎年型が少しずつ変化する。時には大きく変化することもある。 ・よって、インフルエンザワクチンの効果は、実質1シーズンのみで、しかも、予測した流行の型が当たった場合に限られる。 といったところでしょうか。 > 免疫に関する本を読めば、だいぶご理解できる 免疫メカニズムの理解以上に、信用に足るデータの入手が必要と感じます。 ですが、健康や医薬ではそのようなデータが少なく消費者は憶測や風評で右往左往するしか無いのが実情で無力感を感じます。