ごく最近の実例を使ってご説明します。
「ミニオンズ」というのをご存じでしょうか。
7月31日ロードショー予定のアニメです。
登場人物は、黄色くて寸胴のメガネをかけたバナナです。
あの怪盗グル―という作品の中のキャラクターです。
これからロードショーかもしれないけど大体皆知っているキャラクタです。
だけど個々のメンバーの名前まですらすら言える人はまあ居ないはず。
ただ、かつて主役ではないものの、ずらずら出ていた画像は知られている。
こいつ知っているけどなんだったっけ、が普通じゃないでしょうか。
ときに「チキータ」というバナナ問屋みたいな会社がありますね。
最近見たことないでしょうか。
チキータバナナを売っている店で商品を見ると、あっというケースに入っている。
「ミニオンバナナ」と言っているのです。
単純にミッキーマウスがポップコーンの袋になっているようなものではありません。
バナナのキャラクターが、バナナの袋に印刷してあるのです。
こういうものをアイキャッチ商品と言います。
なんともいえない、「あ、」と声を立てる仕掛けがある商品です。
客が、バナナが欲しくてバナナの売り場まで行ったのであればおかしくもない。
でも通りかかった人間が、ミニオンのまぬけなびっくり顔が印刷してある商品に目が行く。
なぜかこのとき、意識はすべてミニオンに行き、それが何の商品かの意識は薄れています。
「なんだろう」とおもうのです。そして見てみると、なんとバナナなんです。
つじつまが合いすぎて、突っ込みようもない。
目が引っかかる仕掛けを作り、意識を手繰り寄せてみてもらう。
そうすると、みっちり太った栄養満点みたいなバナナがあるのです。
誰もとはいわないけど、買う気になりませんか。
これがアイキャッチ商法です。
しかもこの場合は主体がダブルなんです。
チキータバナナは売れるでしょう。チキータにとって有効なアイキャッチでした。
また、ユニバーサル映画のほうでは、7月31日にロードショーをするけど、スーパーヒーローでもなければ人々に幸せを与える存在でもない。
要するにイマイチキャラなんですけど、日常消費財のバナナに乗ることでバナナとミニオンズが一体化している。
そこで、来客数は増える計算になります。
主婦が毎日買い物先のスーパーでミニオンバナナを見ていたら、子供がいきなり「ミニオンズ見につれていってよ」といわれたらすでに知っています。
安心して行かせられると、まあ錯覚します。
なぜ錯覚するかというと、バナナをたべて甘くてむっちりしておいしかった。ミニオンズは悪いものではないだろう、という意識が発生するのです。
2つの主体がジョイントして、双方にプラスになるアイキャッチをおこなったということです。
さて質問者様の疑問の答えに近いことをいいます。
このミニオンズの漫画のついたバナナパッケージ、どういう色にすべきだと思いますか。
ミニオンズのキャラクター自体は所定の色がありますが、どういう服を着せますか。
どういう背景に立っていたらいいと思いますか。
バナナ会社、映画会社両方の立場から検討してみてください。
それが出題されている問題の本質です。
お礼
大変よく分かる回答をありがとうございます。 とても分かりやすく丁寧に回答いただいたので、テキストの内容がばっちり理解できました。 あまりの分かりやすさにうれしくてなりません。