金属はプラスチックや木材と比べて、非常に熱を伝えやすいのです。そのため金属容器そのものはもちろん、容器内の飲料にも冷蔵庫の冷気がよく伝わり、速く冷えます。また、その容器を手に持ったときも、金属容器+中の飲料の冷気が手に伝わり続けます。
プラスチックではPETボトルでよく経験すると思いますが、中身が充分に冷えていても、手に持つとそれほど冷たくない感触だったりします。これはプラスチックが熱を伝えにくいことによる現象で、手の熱がプラスチックで遮られるため、熱がこもって温度が上がり、あまり冷たく感じないのです。このため、PETボトルのほうが金属缶飲料より中の飲料を冷やすのに時間がかかりますが、冷たい飲料を長く冷たいまま保持することができます。
ではなぜ金属がそのように熱を伝えやすいのかなのですが、金属には電気が流れやすいのと同じ原因です。金属が電気を流しやすいのは金属原子の電子の一部が金属内で自由に動けるようになっているからです。そういう電子を自由電子と呼んでいます。自由に動ける電子があるため、電圧を掛ければ電子は容易に動き、電流が流れます。
その自由電子は熱によっても動きます。よく、熱する、つまり温度が高くするというのは分子の動きが激しいといわれます。固体ですと決まった位置で揺れるだけですが、空気だと分子がスピードを増して飛び回るようになります。
金属内の自由電子も空気中の分子と同じように、熱を加えるとすぐに金属内を速く飛び回るようになります。その自由電子自体も熱を伝えますし、金属の原子核(これの位置は動きません)に当たって激しく揺らして、それも温度上昇につながります。冷やすのは熱するのと逆ですが、自由電子の働きであるというのは同じです。自由電子がゆっくりになるので、その自体、及び原子核を揺らす効果が金属全体で速やかに起こります。
金属でも自由電子が多いほど電気が流れやすくなるのですが、それと当時に温度変化を伝えやすくなっています。自由電子が熱を伝えるからです。銅は電気抵抗が低く、は導線によく使われますが、銅鍋はコンロの火の熱が速やかに鍋全体に伝わってくれ、焦げ付きにくいというメリットがあり、よく使われています。
お礼
大変丁寧なご説明に感謝致します。 >>その自由電子は熱によっても動きます。 実はこれが気になっていました。 まさに頂きたかった回答を得ることが出来た感じです。 ありがとうございます!