#1さんの回答で十分ですね。それ以降の回答は、私のこの回答も含めて、すべて蛇足です。
フントの規則、パウリの排他原理(あるいは排他律)、構成原理(Aufbau principle)、の三つについては、ネットで調べて済ますのではなく、きちんとした教科書で学んでください。
--- 以下は蛇足 ---
> 酸素は二重結合だと高校では教わりましたが、あれはウソだったのでしょうか?
ウソではありません。酸素分子は二重結合です。三重項基底状態の酸素分子が二重結合なのはもちろんですが、いわゆる一重項酸素も二重結合です。
ウソがあるとすれば、共有電子対が酸素分子には2組ある、というところですね。このようなウソをつくのが嫌いな人は、共有電子対の例として H:H, F:F, N:::N, H:O:H, などを挙げて、酸素分子には言及しなかったりします。そして、そ知らぬ顔で、価標で表すと H-H, F-F, O=O, N≡N, H-O-H となる、と酸素分子をこっそり紛れ込ませます。O::OはウソかもしれないがO=Oはウソではないので間違ったことはいっていない、ということなのでしょう。一方で、ウソと知りながら F-FはF:F, O=OはO::O, N≡NはN:::N, と教える人もいます。早熟な生徒に「ウソでは?」と聞かれたら、「うん、ウソだよ」と答えればよい、そして本当のところを教えてあげればよい、ということなのでしょう。ウソも方便です。
大学の化学の授業でしばしば使われる「ウソも方便」の例としては、構成原理があります。
エネルギー準位の低い軌道から順に電子を詰めていくと基底状態の電子配置が得られる、というのが構成原理ですけど、これはウソです。このウソを糊塗するために、3d軌道より4s軌道の方がエネルギーが低い、というウソをさらに重ねることが多いです。
http://okwave.jp/qa/q4170566.html
典型元素だけで構成されている有機分子などでは構成原理がよく成り立ちますから、ウソも方便になります。3d軌道より4s軌道の方がエネルギーが低い、というウソは、私自身にとっては少し迷惑なウソなのですけど、化学を学ばなければならない大学生の数と遷移金属の化合物について学びたい学生の数との比を考えれば、仕方のないことだろうなとは思います。
>三重項の方が一重項よりも安定な理由を教えてくだい。
これについては理由は明確です。フント則で説明できます。計算するとそうなる、のではなく、フント則はある仮定の下で数学的に証明できます。「理論」が「無い」ということはないです。
ある仮定とは以下の二つです。
仮定1:分子軌道関数は(正準)ハートリーフォック方程式の解である。
仮定2:三重項状態を表す分子軌道関数と一重項状態を表す分子軌道関数は同じである。
何を言っているか分からない、解読不能の仮定にみえるでしょうけど、心配しなくてもいいです。大抵の人には理解できませんし、する必要もありません。大事なことは、量子化学と名のつく授業でもない限り、大学の化学の授業で使われる分子軌道はこの二つの仮定を満たしている、ということです。つまり、最も大事なことは、安心してフント則を使っていい、ということです。
それでもフント則には疑問が残る、ということであれば、例えば
佐甲徳栄「ヘリウム様原子におけるフントの第一規則の起源」日本物理学会誌 68, 358-365 (2013).
http://www.phys.ge.cst.nihon-u.ac.jp/~sako/Articles/ra2.pdf
などの解説記事にチャレンジしてみて下さい。
> sp混成の寄与があるためwxとwx,xπは逆転している。
今の議論には無関係なので、わりとどうでもいいですが「厳密には間違っています」。
#2の図も#5の図も、軌道の縮退が明示されていないので、初学者には分かりにくいんじゃないかな、と思います。エネルギー準位図としては#5のリンク先のウィキペディアの図の方が分かり易いでしょう。軌道の順序も間違っていませんし。
ちなみに、ウィキペデアの図も厳密には間違っています (今の議論に関係なくもないけど少し専門的なお話).