内閣府試算「消費税増税をしても経済成長率への影響はほとんどない」更に「消費税を据え置くと、経済成長率は下がる」のはなぜ?
麻生太郎氏は、2006年8月に
「景気が上がるときに消費税を上げると言ったら景気がなえるでしょ。これまたやったらアホですよ」
http://www.news24.jp/65574.html
と発言しています。
また、最近は繰り返し、「景気を回復させた上で消費税増税を」と明言しています。
一例↓(1月14日)
http://www.asahi.com/special/08021/TKY200901140310.html
「この景気を、きちんとよくして、無駄をなくすなどなど、色々な行政改革をやった上で、我々としてはきちんとした対策をやり、景気がある程度回復してきたという前提の上で、20011年ぐらいには、全治3年と申し上げていますんで、そういった形で、景気対策を行った上で、増税をお願いする」
また、与謝野経済財政担当相は、1月20日の参院予算委員会での答弁で、
「中期プログラムは景気が回復する、経済が好調になることが前提。それがないとやらない。やるということは書いていない。『経済がよくなればお願いします』ということだけが書いてある」
と麻生首相と同じ内容のことを述べています。
http://www.asahi.com/politics/update/0120/TKY200901200103.html
一方、1月16日の経済財政諮問会議では「経済財政の中長期方針と10年展望」が審議されましたが、そこに提出された内閣府の試算「経済財政の中長期方針と10年展望 比較試算」に基づき、与謝野大臣は、
「消費税増税をしても経済成長率への影響はほとんどない」
と述べています。
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20090117k0000m020063000c.html
これは一体どういうことなのでしょう?
「消費税を上げるのは、景気が回復してからにしますよ。 良くなったと思った景気が悪くなってしまった、前回の轍を踏まないように」と言っているのですから、消費税増税が国民の消費意欲に一定の影響を及ぼし、経済成長を鈍化させるリスクがある、と誰もが認識していたのではなかったのでしょうか?
そこで、この内閣府の試算の資料を探してみました。
「経済財政諮問会議とりまとめ資料等 平成21年」
http://www.keizai-shimon.go.jp/cabinet/2009/decision0119.html
のページに、
「経済財政の中長期方針と10年展望 比較試算(内閣府)」とあります。(PDFファイルです)
http://www.keizai-shimon.go.jp/minutes/2009/0116/item2.pdf
この試算は、今後の世界経済が (1)2010年に順調に回復する (2)2010年に急速に回復する (3)世界経済はしばらく底ばいを続ける
の3つのシナリオを想定し、それぞれについて検討しています。
まず、平均的なシナリオである「(1)2010年に順調に回復する」を見ます。
(a)消費税を据え置く
(b)2011年度から毎年1%上げ2013年度に8%
(c)2011年度から毎年1%上げ2015年度に10%
(d)2011年度から毎年1%上げ2017年度に12%
の4通りで、実質成長率、名目成長率、公債等残高、国・地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)などを試算しています。
疑問に思ったのは、「(a)消費税を据え置く」のパターンで、2011年度の実質成長率が2.1%だったのが2012年度には1.5%に下がっていることです。(b,c,d は2011年度に消費税を1%上げたのに変化なし。)
この「現象」は、世界経済が「(2)2010年に急速に回復する」のシナリオでも同様で、「(a)消費税を据え置く」のパターンで、2011年度の実質成長率が3.1%だったのが2012年度には2.2%に下がっています。(b,c,d は2011年度に消費税を1%上げたのに変化なし。)
この試算が正しいとすると、与謝野大臣が指摘したように
(A)「消費税増税をしても経済成長率への影響はほとんどない」
だけではなく
(B)「消費税を据え置くと、経済成長率は下がる」
という驚くべきことが起きることになります。
経済に詳しい方、その理由を説明していただけないでしょうか?
(22ページ、23ページに各パターンにおける物価上昇率の見込みも合わせて試算されていますが、これを加味しても「消費税を据え置くと、経済成長率は下がる」という現象は理解できません)
もちろん(A)の理由だけでも知りたいので是非よろしくお願いします。
お礼
回答ありがとうございます。 いまはケインズ経済学の時代じゃないですよ。