私は、
>彼ら類人猿が将来我々人間のように進化する
という可能性を否定しません。
一応言っておきますけれど、サルは猿でも、類人猿なら、ということですよ。類人猿以外の猿は、違う方向へ進化することを選んでしまって、
すでに猿として完成をとげている
猿として立派な進化をとげている
のですから、今さら人間に退化しよう、とは思わないでしょう。カエルが魚にもどろうとしないのと同じです。でもこういう進化退化という目線は、どうしても人間目線で見てしまいますから、
猿が人間に退化することはありえない? 猿がすでに人間より進化した存在であるってこと?
と意味がわからなくなるでしょう。人間が一番進化した形、という価値観は、人間目線の価値観なのですよ。生物的に見れば、脳器官の複雑さはともかくとして、
人間よりチンパンジーやイルカや昆虫類の方がはるかに進化している
と私は考えます。
人間の2歳よりチンパンジーの2歳の方がはるかに賢い
などの知見がありますし、イルカは水の中でも陸の上でも生きることができますし離れたところとも超音波で会話できますし暗闇でもものの形がわかりますし「半分だけ寝る」ということができますし、昆虫類に人間が勝っているところは私にはワカリマセン。昆虫類が「個体が優れているだけじゃなくて、集団としてもコミュニケーションなどの行動習性に優れている」と見なせます。空飛べますし、環境の変化にも強い。人間よりもいろいろなところに広がっている(富士山山頂にはいないみたいですけど)。
そして何より、客観的事実として、類人猿(霊長類)よりその他の猿の方が種の多様性が大きいのです(ロリス、マーモセットなど含む)。それだけ、「進化する可能性が高い」「進化の先を行っている」ということです。雑食が多いですし、樹上生活だけじゃないですし。私が思うに、こうした「人間より進化している生物」の進み具合は、交配(DNA書き換え)のチャンスの多さ に比例しているでしょうね。
子供を作る機会が多いと、それだけ突然変異も起こしやすいと思うのです。
細かく言うと、ゲノムが長過ぎると進化が起こりやすいのか、逆に進化には邪魔なのか、それにヒトのDNA修復機構が優秀なのか、よくわかりません。(これ言い出すと、毎日毎日生殖する多細胞生物は、もっと進化しているという理屈になってしまいます。)まあこれは置いておいて。
進化を考えるのにあと2つ忘れてならないと思います。
まず、人間は医療行為があって、しかも障碍やハーフは社会的にあまり認めない生き物なので、進化した子供が産まれても、それが系統として残される可能性は他の生物より低いです。
6本指の人はけっこういるらしいですけど、「6本指は進化ではない」として、小さい頃に形成手術を受けるでしょう?
両性具有の人間(雌雄同体)というのがリアルにいますけど、種としては確立せずにもみ消されるでしょう?
次に、進化が「起きた」と認定するには、人間では想像も付かないような時間が経たないと意味がないだろう、ということです。元祖 猿の惑星では、宇宙旅行帰りの「双子のパラドックス」を利用して、自由の女神は立っているのに地球に見えない地球、を舞台にしていました。まああまりネタバレになることは言えませんが。
猿が人間と同じくらいに進化するために、数十万年か数百万年が経過した
ということをにおわせているのです。(確か3部作のうちの 新・猿の惑星は、現代アメリカ編だったと思いますがね。)
まあ、それだけ長い時間が経過して、猿が人間と同じくらいの脳機能を持つように進化しても、
完全に遺伝子が似通うのではなく、体毛は残るし、顔は猿っぽいまま
という映画ならではの演出をしていましたが。私は、けっこうありえるSF演出だと思います。
収斂進化(収れん)という現象があります。
似たような状況なら、似た進化をする可能性がある
ということです。有名なのは、
サメとクジラ(イルカ)が似ているし、ジュゴンやセイウチも似ていると言えば似ている
コウモリと鳥も形態面では似ている点が多い
ということを例で挙げて良いと思います。
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ウィキペディア引用
元々は大きく形が異なっていた節足動物と脊椎動物の足がそのために外見的に似た形となったと考えられる(モグラとケラ)。
このような例は、異なる地域で生物相が大きく違っているのに、似たような場所で似たような生活をしている生物同士の間で見られる。これは、それらの生物が、それぞれの生物群集の中で、非常によく似た生態的地位にある場合に見られる、と言われる。つまり、同じような生活をするものには、同じような形態や生理が要求され、そのため似た姿に進化する、というのである。
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そうですね、おまえの説は突飛過ぎる、と言われないために、
条件がそろったら、可能性はある
と先に前置きしておきましょう。
>現在生息する猿が将来我々のように進化するということはありえないのでしょうか?
ありえる、と言うためには、他の方もおっしゃっているように、もしもこうこうこうだったら、という条件が付きます。
ボルネオ等のように、オランウータンなどが「森を追い出されて常時直立二足歩行をせざるを得ないようになって」食べ物が森の外でも見つかれば、脳が大きく複雑になる可能性はあるかも知れません。ただ、ボルネオはあくまで例えであって、人間・原人(ホモ種)が生まれたと言われるパンゲア・アフリカ相当部分みたいな条件と同じ条件が起きるためには、
草原の遠くまで見渡す必要があった
天敵がいなかった
気象条件(氷河期含め)が良かった
などの条件も必要でしょう。
つまり、宇宙旅行もしていない人間がその進化を確認できる、とは思ってはいけませんよ。
「進化だ」と認定するには大陸が今よりさらに移動するくらいの、人間に想像できない時間の流れが必要でしょうし、
それだけ時間が経てば、人間はさらに変異して行くか、種が先細りになって絶滅していく(ヨーロッパ王家のように、子供が生まれにくくなっていく)
ということも想定しておかなければいけないからです。
東京を徒歩で出発します。ヒトは東海道、チンパンジーは北陸道を通り始めました。両者は滋賀で出会うか大阪で出会う可能性もありますし、山口に着くまでずっと出会わないかも知れません。太平洋・瀬戸内海側と日本海側は、環境がだいぶ違うけれども、西に向かって出発した、という点においては「収斂する可能性がある」わけです。
一方、テナガザルは東北道を進み始めてしまったので、類人猿でありながらかなり早い段階で方向性が変わってしまいました。でもテナガザルの方が早く1000キロ歩いたとしたら、ヒトよりテナガザルが進化している、と言えるのかも知れません。
残念ながら類人猿以上に我々に近かった、我々ホモ・サピエンス・サピエンス以外のホモ亜種は、絶滅してしまいました。東海道を歩いていた、小田原箱根ルートのホモ・サピエンス・サピエンスと伊豆下田ルートのホモ・サピエンス・ネアンデルタレンシスのうち、後者が前者の妨害によって脱落してしまった、という例えです。仲良く進んでいれば同じ目的地に着いた(同じものへと進化した)かも知れないのに。
似ているものどうしは競争して殺し合う、食べ物も住む所も奪い合う、という進化の悲しいサガでしょうね。
以上より、我々のように進化する可能性があるものは、ホモ属以外から選ばざるを得ないのです。
我々はいくつかの進化の可能性を目の前で見てきています。
ウサイン・ボルトは既に、これまでのヒトという存在を超えているじゃないですか。
武井壮もそうかも知れません。
京大の霊長研でしたっけ? のチンパンジーのアイちゃんとその子供は、テレビゲームで遊ぶ、に近い進化を遂げていますよ。
こういう「短時間で見る現象」は進化 とは言わないのですけれども。
異なる個体が交配して雑種を生む、その中で、道具を使う猿が生まれたり火を恐れない猿が生まれたりかなり長い距離を直立二足歩行したりする猿が生まれたりしているのですから、
人間が、「こいつらは人間と近くなってきた」 と気付く時代も来る可能性もあると思いますよ(毎日見ていると気付かない変化だから、ビデオに撮る、人間は滅びていない、などの条件付きですけれど)。
お礼
ご回答ありがとうございます。 >人間が一番進化した形、という価値観は、人間目線の価値観なのですよ。生物的に見れば、脳器官の複雑さはともかくとして 人間こそが霊長類の中の最も進化した生命体、というのは、人間の抱く勝手な 妄想ですね。確かに脳器官は複雑化しておりますが、その他については かなりお粗末ですよね。 収斂進化については、とても興味深く読ませていただきました。 いずれにしろ、ある種が進化に至るまでには、気の遠くなるような天文学的な時間の 経過を必要とするようで、まあ、私たちの生存している間は単なる想像の域をでないみたい ですね。